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懐かしい風景画が並ぶ画廊は、その外観が築80余年の古びた民家にしか見えない。しかし木戸を開けて中へ足を踏み入れると、白を基調とした壁に囲まれた清潔感のある静かなアトリエだった。 大阪市営地下鉄・駒川中野駅から東へ歩いて数分。戦前からの道筋がほぼそのまま面影を留める細い道を入って行くと、「アトリエ観」がある。「観」と書いて「mil(みる)」と読む。大きな看板を掲げているわけでもなく、むしろ戦災をくぐりぬけてひっそりと存在し続ける目立たない家なのだが、なぜか凛とした存在感も醸し出している。
オーナーの山中孝夫さんは1963年に旧電電公社(NTT)に入社。働きながら独学で絵画を学んだ。じつはこの家、山中さんが生まれ育った家だ。事情があって23年前に堺市へ移った。NTTを定年退職したのを機に、家の内部を改装して念願だったアトリエを開いたという。借家なので家の構造には手を加えることはできなかったが、壁と床を張り、お洒落で静かな佇まいのアトリエになった。
奥にはピアノが置いてあって、この一角をアコーディオンカーテンのような「折れ戸」で仕切ってしまうこともできる。そして天窓から注ぎ込む光が自然の光で優しく、癒しの効果もあるようだ。

山中さんが描く世界は、大阪の下町風景だ。子供の頃に遊んだ路地や、いびつに傾いているけれどなかなか倒れないトタン壁の駄菓子屋、新世界の一杯飲み屋、たこ焼屋の屋台、紺色の暖簾がかかった大衆食堂(いわゆる「めしや」)など、絵の中にそのまま庶民の生活がある。はじめて山中さんの絵を見たとき、無性に懐かしい思いに駆られた。そしてなぜか安心する。子供の頃から慣れ親しんだ世界が描かれているからだろうか、不思議な心情がわいてくる。
アトリエ観を訪れる人は、よく「山中さんの絵に会いに来た」と言うそうだ。山中さんの絵を一度でも見た人には、その意味が分かるだろう。山中さんの絵にぜひ会いに行ってみてほしい。
アトリエ観
木・金・土・日の12:00〜19:00
URL http://www17.plala.or.jp/atoriemil/ |
記:平藤清刀2006/05/25
特派ルポ:大阪おもろいでぇ
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