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2007年の盛岡文士劇に女優の藤田弓子さんをお迎えしたことなどを前回紹介したが、もう一人、漫画家のロドリゲス井之介さんもゲストの一人である。
ロドリーさん(我々はそう呼ぶことを許されている)は、漫画家になる以前、○キスイ○ウスにつとめていた。
10数年前、高橋克彦さんがご自宅を新築されとき、担当したのがロドリーさんだった。盛岡の営業所に転勤してきていたのである。お二人はこの夏に劇的な再会を果たし、そういった縁で文士劇に出演することになった。
実はその顛末をロドリゲス井之介はビッグコミック・スペリオールの連載で書いている。
ロドリーさんは本番直前からの参加だった。セリフはもちろん、殺陣は覚えなければならないし(ぼくと斬りあう場面もあった)、ダンスの振り付けまで憶えさせられ、ご苦労されたに違いない。もちろん、本領を発揮していただく場面もちゃんと用意してあって、舞台上で「人相書き」を描いてもらった。
高橋克彦さんは今回の役がよほど気にいったようで、
「来年からは演目が何になろうと、オレは丹下左膳の役で出るよ」
とおっしゃっている。
その左膳だが、本当は右腕がないはずなのに克彦左膳は左腕がない。最初の稽古のとき、オリジナルに従ってやってみたのだが、左腕では殺陣などで不自由があった。それで、右腕のある左膳でいくことになった。
やはり客席からは、
「おやまあ、左膳じゃなくて右膳じゃないか」
と指摘があった。
ま、これも素人芝居のご愛嬌ということでご勘弁いただきたい。
ご勘弁といえば、毎年、チケットの入手が困難なため苦情が殺到する。盛岡劇場メインホールの客席数は500席。3回公演だから1500席。スポンサーの招待席を除いても1300枚以上のチケットが発売されるのだが、どこにも足りない(昨年は玉山村合併記念ということで特別に4回公演だったが、それでもチケットは即日完売だった)。
なかなか手に入らないものだから、我々に頼みこんでくる方も少なくない。
ところが、我々出演者も1人1公演につき2枚までと決まっていて、それ以上は買うことができないのだ。ボランティアで出演しているのに(いや、持ち出しだってあるくらいなのに)チケットが手に入らないなんて、妙な話でしょ?
それはともかく、ロドリーさんが盛岡駅から乗ったタクシーの運転手が盛岡文士劇のことを日本でひとつしかないなどと盛んに自慢していたので、
「岩手の人はみんな文士劇のことを知っていて、楽しみにしていることがわかりました。これは大変なものに出ることになったと思いました」
と話していた。
日本で唯一の文士劇が盛岡でおこなわれているのは、盛岡にその土壌があるからだ。まず、盛岡には高橋克彦さん、中津文彦さん、松田十刻さん、菊池幸見さん、澤口たまみさん、周辺も含めると山本礼子さん、北上秋彦さん、平谷美樹さんなど文士が多い。そして、アマチュア劇団の活動も熱心で、盛岡劇場はその活動拠点になっている(盛岡文士劇を陰で支えてくださっているのも、アマチュア劇団の若い劇団員たちだ)。
したがって、ほかの土地で真似をしようとしても、それは文士劇とは似て非なるものにしかならないだろう。
2007年の盛岡文士劇が終わったばかりだというのに、まちを歩くと
「来年の演目はなんですか? 来年こそはチケットを入手して観にいきたいです」
と声をかけられる。
そういう市民のみなさんが盛岡文士劇を育ててくださっていることを最後に銘記しておきたい。
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記:斎藤 純 2008/01/07
特派ルポ:風に吹かれて、岩手
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