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全国的に今年は桜の開花時期が早かったようだ。盛岡の桜もいつもより一週間から十日早く満開を迎えた。
ついこの前までは、盛岡市西郊の岩山では道ばたに残雪が見られたのだ。雪が解け、バッケが姿を出す。バッケはフキノトウのことで、これを目にすると「ああ、冬が終わった」と我々は思う。しかし、山々の木々はまだ冬枯れの様相を呈していて沈んで見える。
それから何やら息つく間もなく、マグノリアが咲いてその香りで街を包み、ほぼ同時に桜がいっきに咲いた。昨日まではやせたホウキのような姿だった河原の柳も緑の芽をいっぱいにつけている。

今年は桜の花のつきがとてもよかった。毎年、うちのまわりの桜を定点観察しているので、桜にも豊作とそうでない年があるのがわかる。ことに去年はウソが大量にやってきて、桜のつぼみをついばんだものだから、ちょっと寂しいような満開だった。
去年はあんなに見かけたウソも、今年はほとんど見ない。そして、例年なら桜の見頃となるゴールデンウィーク前に葉桜になってしまった。桜は咲くのも早いが散るのも早い。

以上のことがわずか1カ月のあいだに起こるのだから、北東北の春は賑やかだ。
桜は散ったものの、北東北が本当に美しい姿を見せるのはこれからの季節だ。木々が芽吹いて、小豆色、薄緑、橙色、銀色、飴色などに山を彩る。山笑う春である。この季節の山の風景は、刻一刻と色を変えるので、本当に目が離せない。
とかく秋の紅葉ばかりに目が行ってしまいがちだが、この時期の山こそが一番美しいと思う。
紅葉のような派手さはないが、何とも言えない素朴な温かみと爽やかさに満ちている。
ゴールデンウィークにはぜひ北東北の里山の美しさを味わっていただきたい。
山笑う季節が終わると、北東北は新緑に包まれる。これがまた素晴らしいのだが、いずれ改めてご紹介する機会があるだろう。
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記:斎藤 純 2008/05/09
特派ルポ:風に吹かれて、岩手
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