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カナダの国旗は楓のマーク、秋になると沢山の楓の木がいっせいに紅葉し始める。カナダ東部の紅葉は有名だが、バンクーバーの紅葉も趣があり、色とりどりの楓が華やかに街を彩る。紅葉は9月から始まるが10月に入ると、日に日に赤・オレンジ・黄色の色が鮮やかになっていく。
そして秋と言えば松茸、日本人の私は、秋の香りというと、どうしても松茸が思い浮かぶ。
バンクーバーの日本人向けのフリーペーパーには、9月に入ると松茸の予約販売や、日本向けギフトの広告が出る。しかしほとんどが通信販売、どこで松茸が買えるのだろうか。
10月のある日、用事でダウンタウンに出かけた。用事が終り、キムチを買いに立ち寄った韓国食材の店で、数パックの松茸を見つけた。価格も高めだが、2人で食べるにはちょうど良い大きさのパックを1つ買った。ようやく見つけたカナダの松茸を手に、心も軽く落ち葉を踏んで帰路についた。
バンクーバー・ウエストエンドのバクレー・ストリートは、古い歴史的建造物と楓や桜の巨木の並木道が落着いた雰囲気を醸し出している。その近くまで来ると、ダウンタウンの喧騒は嘘のよう、春は桜、夏は深い緑・秋は紅葉を楽しみながら、ゆったりと街を歩くことが出来る。
今は秋の真っ盛り、その道の両側には目にも鮮やかな黄色に紅葉した楓の木が並び、落ち葉で覆われた道路は黄金色の絨毯を敷き詰めたよう。その上を踏むとカサカサと乾いた音が耳に心地よく、微かな枯葉の匂いで、なぜか日本の秋を思い出した。
次の角まで来たとき、巨大な木の下に栗の実がたくさん落ちているのに気が付いた。私の足音で、黒いリスが木の太い幹を駆け上がって行った。そのリス達が食べ散らかしたのか、イガ栗のままの栗に混じって実の割れたものが散乱している。
さて、ようやく見つけた松茸、台所でパックを開ける前から、こんなに松茸の香りは強烈だったかしら、と思うほど強い香り。その香りも日本のとは、少し違うようだ。パックを開けて眺めてみれば、色は日本の松茸に比べて少し白っぽい。
とにかくこのカナダ産松茸を、松茸ご飯と焼き松茸にすることにした。
七輪も焼き網もない我家の台所で、松茸をアルミ箔で包み、オーブントースターで焼くこと10数分。食卓でアルミ箔を開けると、立ち上る湯気と共に松茸の香りが鼻をくすぐる。初めてのカナダ産の松茸を、レモンと醤油で食してみた。味は日本のものと変らないが、匂いが強いのは新鮮だからだろうか。
秋の深まりを満喫できた一日に感謝しながら、松茸ご飯と久々の焼き松茸をしみじみ味わった夜だった。
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記:藤野美津子
特集:秋のかほり
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