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スペインの春の訪れは桜ではなく、桜によく似たアーモンドの白い花が知らせてくれる。
バルセロナから約100km地中海沿いに南下したタラゴナ県に小さな村VALLSがある。アーモンドの咲く頃が旬である、この地発祥の名物料理カルソッツが今カタロニア地方で静かなブームを引き起こしている。
最近ではバルセロナ市内のレストランでまでこのカルソッツを出すところが沢山ある。
この時期になると地元民の間では「カルソタダ(カルソッツの料理のこと)いつやる?」もしくは「いつ食べに行く?」という会話が週末になるといたるところでやりとりされる。
カルソッツとは長ネギを真っ黒に焼いてアーモンドのたっぷりはいったソースをつけて食べるといういたってシンプルだがくせになる料理だ。作り方はシンプルなのだが少々変わった食べ方をする。

ここでカルソッツの正しい食べ方を紹介しよう。
まずは真っ黒なカルソッツがでてきたら白いところが出てくるまでつるりと皮を剥く。
そしてロメスコソース(トマト、にんにく、アーモンド、パン粉、乾燥赤ピーマン、塩、オリーブオイル)をたっぷりとネギにつけてそして上を向いて食べる。
手が汚れているのでワインは容器に入れて飲む。
カルソッツを食べると、手やしばしば顔も真っ黒になるし、大きな口をあけて長ネギをかぶりつく正しい食べ方はとてもお行儀のいい食べ方とはいえないので、親しくないうちのカップルのデートにはとてもおすすめできない。家族や友人たちとわいわいと食べるのがカルソッツの美味しい、そして楽しい食べ方なのだ。
正統派のレストランではこの料理用にはエプロンと手袋は出てくるが、ナイフもフォークも出てこないのであしからず。
もちろんこれは前菜で、ネギを20〜30本(レストランの場合カルソッツはたいてい食べ放題)食べた後にはカタロニア名物のソーセージや鳥、ウサギ、羊肉の炭火焼が山盛りになって出てくる。
コーヒーやデザートをすっかりと食べ終わる頃には、すっかりと日もくれて夕方になる。
元祖の村VALLSでは1月の最終日曜日に毎年カルソッツ祭りがあり、カルソッツの大食い大会などが催される。
ちなみにカルソッツの食べごろは2月〜3月中旬。なにしろカルソッツがあまり太くなると味も落ちるし、食べにくくなるからだ。
最近では地元民だけではなく結構遠くからカルソッツ目当てにやってくる観光客がたくさんいるので、この時期カルソッツで有名な村のレストラン週末は1ヶ月以上前から予約しないとなかなか席がとれない。
スペインにはその時期にその地域でしか食べられない美味しい食べ物がたくさんある。
機会があればぜひ手を真っ黒にしながら、アーモンドの花が咲く頃に上をむいてがぶりとネギを食べにいらっしゃることをお勧めいたします。
風邪予防にもばっちりのカルソッツ。待ちきれない春の訪れはまさに「花よりだんご」で迎えるのがスペイン風だ。
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記:宮脇留美子
特集:春待ちのころ…
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