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バンクーバーに春を告げる花
バンクーバーの春は、意外なほど早い。一番先に春が来るのを告げるのは、スノードロップという鈴蘭に似た花。まだ雪が残る落ち葉の蔭から、雪の化身のような白い蕾と緑の葉を見せて、春が近づいたことを知らせてくれる。今年、私がスノードロップの小さいつぼみを見つけたのは1月の末、2月に入ってふっくらとした純白の花が咲き始めた。

日本では馴染みが薄い花だが、ヨーロッパでは古くから、春を告げる花として親しまれている。カトリックの教会では、教会の行事にもスノードロップが使われているそうだ。
スノードロップの伝説の中で、「アダムとイブが楽園を追われたとき、天使がイブを慰めるために、降る雪に息を吹きかけ、その雪の落ちたところにこの花を咲かせた」というものや、「お正月前にこの花を見ると、幸せが約束される」という話が興味深い。


スノードロップの次に春を知らせてくれる花はクロッカス。
この花もヨーロッパでは春を告げる花として、昔から親しまれている。オランダに住む人から、2月にはクロッカスバカンスといって、1週間も学校がお休みになるという話を聞いた。

クロッカスにまつわる伝説もいくつかあるが、その1つは、アルプスに住んでいた狼が自分の子どもの結婚相手として若くて美しい青年を連れ去った。その青年の両親が嘆き悲しんだ時、その涙で雪が解けて黄色や紫など色とりどりの花が咲いたという物語。クロッカスはその青年の名前。
他の伝説でも、クロッカスというのは男性の名前で、それも美しい若い青年だった。

スノードロップが満開になった2月末、再び同じところに行って見ると、落ち葉の林の中に、カラフルなクロッカスの株が点在していた。よく見ると所々に、白いスノードロップも一緒に咲いている。
去年同じ場所に来たはずなのに、この2つの花が混ざって咲いているのを見たのは初めて。今年は、いつもは先に春を告げるスノードロップの開花が遅れたからだろうか。雪解けの落ち葉の中から咲くクロッカスとスノードロップは、今年は一緒に咲いて、遅い春を待ち望んでいるようだ。


バンクーバーにヨーロッパ由来の花が多いのは、100年以上も前にヨーロッパから渡って来た移民が作り上げた街だから。
スノードロップとクロッカスも、その移民たちと共にバンクーバーに渡って来て、当時の移民たちに春を告げた。そして今、しっかりとこの土地に根を下ろし、美しい花を咲かせ、私たちに春の訪れを告げてくれる。


記:藤野美津子
特集:春待ちのころ…

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