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「お天気も金魚日和に恵まれまして、魚も質の良いものがたくさんでています。よく目を開いて競っていただきたいと思います」
ここ、江戸川区船堀は全国でも有数の金魚生産地。3月の第1木曜日、春の風物詩ともいえる今年初めての金魚のセリが行われると聞いて、見学させてもらった。
セリの会場は東京都淡水魚養殖漁業協同組合。セリが始時間より早めの12時50分ころ到着。組合の方に挨拶して、見学させてもらう。養殖池は入り口の左手にあり、間仕切りも兼ねた歩行用通路が等間隔で渡されている。う〜ん、挨拶の際、しきりに「落ちないようにね」と言われた理由がわかった。通路の幅は狭く、両サイド池という状況は、歩きなれていないと怖く感じる。
その通路に沿うように、本日の主役、金魚たちが箱に入って待機している。赤、黒、まだら模様、大きさも大小様々だ。

私が到着したときには余裕のあった駐車スペースも、いつの間にかバンでいっぱいになっていた。バンに書かれたナンバープレートを見ると神奈川から来ている仲買人もいるようだ。さらに取材関係者もちらほら来ており、初セリの注目の高さが伺える。
13時30分過ぎ。冒頭に記した組合長の挨拶、拍手とともにセリがスタート。池の中央に、仲買人が集まり、金魚の入った箱が横から流れてくる。
「はい、サラサリュウ175!」
「センマル」
「センリ」
「センツキ」
「センチョウ」
「センテン」
「いいの?」
「センテーェン!」
独特の言葉で金額を示し、威勢良くセリが行われていく。かけ声には語尾を上げる特徴があり、「センテン」の場合は、「テン」の部分を力強く発音していた。
競り落とされた金魚は、箱の中に仲買人の屋号が書かれた札を入れられ、そのまま横に流れていき、すぐさま次のセリが始まる。一つのセリにかかる時間は30秒程度だが、中にはじっくりと金魚を見る場面もあった。
それにしても、「競り」という言葉とは裏腹に、笑いながら、和気あいあいと楽しそうに進められていく。皆さん顔なじみのようで、「タンチョウコメットは○○さんのお気に入りだからな〜」なんて声も聞こえてくるくらいだ。
金魚の種類は、デメキン、アズマ、リュウキン、コメット、パールなど。基本、一箱の中には、一種類の金魚が数百尾入っているが、物によっては「デメまじり」と呼ばれていた箱や、ほんの数尾しか入っていない箱もあった。
数尾しか入っていない箱の金魚はさすがに大きく、「3大ランチョウ」と呼ばれていた金魚のサイズにはびっくりした。お祭りでどんなに頑丈な最中を使っても、あの大きさの金魚はすくえないだろう。1尾数万円の値が付いた金魚もいたというので、もしかすると、そういった数尾で取引されていた金魚にその値段がついたのかもしれない。

セリの見学は自由。咲き誇る花のように美しい金魚の種類の豊富さと、セリの意外な一面を知ることができた時間だった。
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記:高橋定幸
特集:春待ちのころ…
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