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桜に続き、日本では色とりどりの花が咲き始めるころ、ここカナダではシュガーシャックが始まります。シュガーシャックとは、メープルシロップの原料となるメープルウォーター(樹液)の採集のことです。
今年は積雪記録を更新しそうなくらい雪が多く、去年の11月から降り積もった雪はまだまだかなりの量を残しています。シュガーシャックはまだ雪の多いこの時期に始まりますが、今年はこの積雪により例年よりもスタートが少し遅かったようです。
カナダの人はこの収穫をとても心待ちにしています。というのはシュガーシャックの始まりが本格的な春の訪れの合図になるからです。
メープルウォーターの収穫ができるのは、気温が夜は氷点下、昼は0℃以上という条件を満たしたとき。夜、氷点下で真空になった幹に吸い上げられた樹液が、昼間暖められて膨張した幹からにじみ出るのを、あらかじめ差し込んでおいたパイプから採集します。昼間でも-10℃より気温のあがらない日が続いていた真冬を思えば、日中が0℃を越える気温はずいぶんと暖かいといえます。
カナダのメープルシロップの90%以上を生産しているケベック州では、シロップ作りを見学できる農場がいくつもあります。農場にはたいていパンケーキハウスがあり、農場で生産されたシロップを味わうことができるようになっています。収穫された樹液はシロップになるために40分の1にまで煮詰められます。
シロップ作りって大変…と思いながら暖かいパンケーキにたっぷりシロップをかけて味わえば体も心もほかほか!シロップはどこのものも甘くおいしいのですが、農場によっては苦味や木の香りが残っていることもあり、お店で並んでいるものとは違った、自然の恵みそのものを味わうことができます。
メープルの林のなかのトレイルを散策すると、とてもすがすがしい気分に。きんと張りつめていた空気もどこか丸くなってきて、高く積もった雪も少しずつとけはじめて陽の光を浴びてキラキラと輝き、青空によく映えています。
農場に立ち並ぶメープルの木に葉はなく冬枯れの状態ですが、枝を青空に細く伸ばしながらその姿はどこか力強く、この凍てついた大地に根を張りながらあまい樹液を作り出す自然の不思議な力を秘めていることを感じさせます。

桜が咲くと日本人がお花見に出かけるように、シロップの収穫が始まると今年の出来具合を味わいに多くの人が農場に出かけます。収穫が始まれば週末は人でいっぱい。
シュガーシャックが始まれば春は一気に加速していきます。雪がとけて大地が顔を出したところにはもう新しい命が芽吹き、クロッカスの花もちらほら。
シュガーシャックはカナダの長い冬の終わりと、すぐそこにまで来ている春を感じることのできるイベントといえます。
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記:羽崎亜華
特集:春待ちのころ…
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