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ハワイが好きな私、カナダに移住する前は、毎年ハワイに行くのが楽しみだった。
でも時期はほとんど夏休み、秋や冬にも行ったことはあるが、春には行ったことがなかった。そして今年4月の半ば、久しぶりにハワイを訪れる機会に恵まれた。
ハワイを常夏の島と人は言うが、晩秋から冬にかけては肌寒く、雨が多くお天気の良い日は少ない。ということはハワイにも四季はあるはず、北半球は今、春の真っ只中。常夏のハワイにも春が来るのだろうか。そんな疑問と期待をもってホノルル空港に降り立った。
日本からハワイに行くと、着くのはいつも午前中、寝不足の眼に陽射しが眩しかった。
今回、バンクーバーからサンフランシスコ経由でハワイに着いたのは夜7時過ぎ。夜の帳が降りたホノルル空港の外に出ると、暖かい風が快く頬をなで、ホテルに着くと、部屋はエアコンで適度に冷やされていた。その日の朝、バンクーバーのアパートに暖房が入っていたのが嘘のよう。たった5時間のフライトで、北国から南国に来てしまった。

翌日は良いお天気、ホテルのバルコニーからは、アラワイ運河の穏やかな景色。
朝食を終えて、街に出た。ワイキキの目抜き通り、カラカウア通りを歩く人々の服装も夏すがた。プルメリアの木を見上げると、チラホラ白い花が開き始め、道端にはハワイの州花ハイビスカスが大輪の花を咲かせ、ブーゲンビリアも鮮やかなピンクで街を彩り始めていた。
通りに面したワイキキビーチに眼をやると、海の色は明るいコバルトブルー、海岸には色鮮やかなパラソルが並び、人々は泳いだり、サーフィンを楽しんでいる。春というより夏の光景が目の前に広がっていた。
遅い午後、また海岸に出てみた。午前中、人影がまばらだった海岸は、真夏のような賑わいを見せていた。砂の上にしばらく座り海を眺め、波の音に耳をすませた。陽射しは強いもののまだ暑くはない。黄昏時になると、海岸にハワイアンミュージックが流れ、フラのショウが始まった。軽快なウクレレの音色に惹かれてできた、人の輪。
フラショウもたけなわになった頃、海の彼方に夕陽が沈み始めた。傾きかけた陽の光に照らされて、滑らかな海面に漣(さざなみ)が輝いて見える。沖から海岸に戻ってくるサーファーたちのシルエットが、柔らかな光の中に映し出される。このフィルターをかけたようなオレンジ色の夕陽に、私は春を見つけた。

ハワイの春は、桜のような特別な花が咲くわけでもなく、夏のように南国の花が咲き乱れることもない。しかし、花は控えめに咲き始め、夕陽は柔らかく、気候もまだ暑くない。冬と夏の間の穏やかなひととき、夏への準備の途中に感じられる優しい季節なのだ。
もうすぐ、日本のゴールデンウィークが始まる。このワイキキビーチも、日本からの観光客で更に賑やかになるだろう。
常夏の島ハワイの主役はやはり夏、人々は春より夏を待っている。それでも、咲き始めたばかりの初々しい花たち、やわらかな陽射しのサンセットに、私はかすかだが、確かな春を感じることができた。
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記:藤野美津子
特集:春待ちのころ…
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