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オランダに春を呼ぶ野菜、といえばアスパラガス。
発芽した芽に土を被せて育てた、ホワイトアスパラガスの収穫期が始るのは、4月下旬からである。
この頃になると、田舎道の側らばかりではなく、高速道路脇にも「取れたてのアスパラ売ります」と手書きされた看板が立ち並ぶ。矢印の標識に従って、車で農家の入り口まで行けば、取れたてのアスパラガスを即、キロ単位で売ってくれるという寸法だ。
このアスパラガス、オランダではちょっと特殊な野菜である。旬の期日が、昔からきっちりと定められているからだ。毎年、4月の第2週目の木曜日から数えて約2ヶ月間のみが旬とされ、6月24日の聖・ヤンの日を迎えたら、旬は終わりとされている。
ならば、旬の日を1日でも過ぎたら、そのアスパラガスはもはや旬に収穫された、とは言えないのか?
答えは、正解。1日でも過ぎたらダメなのだそうだ。
実は、これだけ旬にこだわるのには理由がある。
アスパラガスは、最低でも10年間は、毎年同じ株から継続して収穫が望める植物なので、早いうちに収穫して再度成長を促し、来年の収穫時に再び備えるというわけだ。毎年4月には、主要3都市でアスパラ祭りと銘打った、「旬始め」の酒宴が開催されるのだから、いかにオランダ人たちがアスパラガスの季節を特別視しているのかが、簡単に想像にできるだろう。
さて、このアスパラガス、それだけ愛されているのだから、さぞかしメニューに上るレシピも多く、バラエティに富んでいるのだろう、と思いきや、その数はあっけなくも少ない。基本は、茹でるだけ。あまりにも味気ないが、このシンプルさが旬のアスパラガス本来の味を堪能するに最もふさわしいのだと、どのオランダ人も胸を張って答えるのだから、間違いないだろう。
では、シンプルなアスパラの食べ方とは?
まず、アスパラの皮を剥き、塩と酢を入れた湯で5分くらい茹でれば出来上がり。何とも簡単である。これにバターと卵黄で作ったオランデーゼ・ソース(※)をかけ、ハムとゆで卵を添えれば,秀逸な一品の完成だ。一口頬張ってみれば、やはりオランダ人が待ちに待った春の味が満喫できることは請け合い。ただ、この味を楽しむに当たり、1つだけタブーがあるそうだ。それは、付け合わせを増やすこと。オランダの春の味は、淡白に。シンプルがベスト、ということだ。ホワイトアスパラガスが手に入ったら、一度お試しあれ。オランダの春を手軽に満喫出来て、味も結構オツなものである。
※オランデーゼソース・・・Sauce Hollandaise(仏語・ソース・ホランデーゼ)
卵黄に、水大さじ1・塩・白コショウを加え、湯煎にかけ泡立てる。もったりしてきたら、澄ましバターを少しずつ加えて混ぜれば出来上がり。
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記:かおる・ホーフアッカー
特集:春待ちのころ…
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