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北極圏内の北緯70度近くに位置するノルウェーの都市トロムスの4月。オスター谷、ディヴァイ谷、ロスタ谷などのある750km²のオブル・ディビダル国立公園内を何10kmと駆け回っても、緑や黄色やピンクや紫の、春の色はひとつもない。
北緯70度近くでは、標高200m付近で樹木限界となっていて、森林限界線がはっきりと見える。茶色くはげているように見えるのは樺の森で、この森に一歩足を踏み入れてみても隙間なく真っ白。
メキシコ暖流の影響を受ける北欧の海は、冬でも凍ることがない。しかし、11月から降りだす雪は、6月ごろまで大地を敷き詰めたままだ。
トロムス内陸部の小屋には水道水なんてものはなく、川へ降りていって水を汲んでくるしかない。
しかし、そこまで足を向けられないこの時季は、小屋の前に積もった雪をバケツに集めて、溶かして飲み水とする。
こたつもエアコンももちろんなく、暖炉で薪を焚いて体を暖める。暖炉の炎に暖められながら、揺らめくキャンドルライトの下で静かに読書をするのは最高に素敵な時間である。

4月の初めには、なんとブリザードに見舞われたりもする。春知らずのパワーである。そり犬として活躍するハスキー犬は、荒れ狂うブリザードの中でも平気らしい。
ノルウェー北部のフィヨルド、センア島とリンゲン山地をドライブした。センア島の中でも、ギュレフョードやフッソイは、標高1000mほどの山々に村や入り江が囲まれており、何とも形容し難いそのスケールに圧倒される。
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リンゲン山地にはいくつもの氷河があり、夏になるとその空色の姿を現す。しかし、今はまだその華麗な姿を見ることができない。その代わり、クロスカントリースキーで登山したり、スキーで滑り降りたりする楽しみが別にある。

そんなトロムスの春の訪れは、日中時間の長さでしか確認できない。4月初めの日没は20時半以降とかなり遅く、6月になると日没はなんと23時以降となる。
太陽は水平線の辺りを散歩でもするかのように、ゆっくりと沈んでいく。過ぎ去る季節を名残惜しみながら。
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記:原田周作
特集:春待ちのころ…
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