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「フランス料理」というとリモージュ焼きなどのお高い皿の上で、彩りよく体裁よく絵画のように鎮座しているイメージがある。「ヌーベルキュイジーヌ」の流れをくむ、いわゆる高級レストランではその通りであるが、フランス人にとってもそれは特別なディナーであって、毎日食べる訳ではない。
日常食の郷土料理や家庭料理は豪快そのもののフランス。そのなかでも多くのフランス人に熱烈に愛されているのが「ステーキ」だ。
もちろん例外はいるが、子羊ちゃんやウサギちゃん、牛さんを見かけると「かわいい」ではなく「美味しそう」という言葉がでるフランス人、根っからの肉食なのだ。支持率ナンバーワンは「牛肉」であろう。
2〜3cmの厚さで、タオル大の真っ赤な肉を両面ジューッ、ジューッと焼いた、血のしたたるレアを好む人が多い。
「もっと火を通して」などと言おうものなら「分かっていないわね」という顔をされるのがオチだ。
この超A4サイズの赤い肉、さすがに活力盛んな若者の食べ物だろうという考えはこの国では通用しない。
市場に行けば、「一人分ね」と言いながら買うおばあちゃんに手渡される肉の量は半端ではないし、「最近は年を取って肉があんまり食べられなくなってね」と言いつつデカステーキをペロリと平らげるご老人は枚挙にいとまがない。
そもそも病気をしたら「おかゆ」や「お豆腐」あたりを食べたくなるのが日本人だが、「なに?食欲がない?じゃ、がつんとステーキで精をつけなきゃ」とくるのがこの国の人たちである。
そんな国民食的存在のステーキ。夏になるとやはり大人気の「バーベキュー」との相乗効果で露出度は大幅にアップする。庭のある家庭に必ずあるのがバーベキューセットだし、バカンス用の週貸し物件で「バーベキュー可」はキホン設備だ。
緯度の高いフランスの夏、夜の10時頃まで明るい空が人々を陽気にさせる。肉を焼くのはたいてい「男の仕事」というお決まりで、火の周りにはビールを片手に男どもが集まり、テラスのテーブルではご婦人たちが「女のおしゃべり」に花を咲かす。

しかし「何かにつけてバーベキュー」な夏、牛ステーキばかりでは高コストな上に、飽きてしまう。そんな訳で、バーベキュー網の上には豚の三枚肉や鴨の胸肉、シポラタという豚肉のソーセージやメルゲーズというアラブ風のスパイシーなソーセージなど様々な肉が登場する。お伴はフランスご自慢の赤ワイン。この国に「夏やせ」という言葉はない。
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記:小笠原めい
特集:世界の夏を食べ歩き!
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