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「個人主義が発達した」という枕詞がつきがちなフランス。事実、おおかたにおいてはその通りで、「私を滅して公に奉ずる」なんて姿勢はクレイジーであっても美徳となるようなことはまずない。 絶対アンタッチャブルな「個人」領域、人々は「個人」の益を追求し、「個人」の権利を声高く主張しまくる 。
しかし一方では情に厚くてお祭り好きな「ラテン系」の顔も持ち合わせるフランス人、伝統的にはけっこうベタな近所付き合いがあり、意外なことにそれが健在な地域が今でも点在する。

道端にテントを張って集まる Repas de quartier(ルパ・ドゥ・カルチエ)、訳して「ご近所さんお食事会」。
田舎の収穫祭といった典型的なものもあるが、パリのような大都会や地方の新興住宅街でも椅子やテーブルを持ち寄ってのお食事会の光景に出くわすことがある。
とにかく屋外で食べるのが大好きなフランス人、この「お食事会」は夏の季語だ。

バイキング方式、主催は肉! フランス西南部にある人口約1500人の街、サン・シプリアン。その街の一集落では毎年7月14日に「恒例お食事会」を開く。もともとは広い牧草地だった土地の「切り売り」の結果にできた集落で、旧市街地の住民は「あの新興住宅街」と多少イヤミっぽく言うが、そうした「よそ者同士」の集まりだからこそ結束が固い部分もある。
最初は6家族から始まった「革命記念日のお食事会」も今年で9回目を迎え、15家族約40人が集まる。前菜かデザートのうち、どちらを持参することになっていて、幹事さんは会費から飲み物やチーズを買い、主菜を注文する。

各家庭手作りの前菜が並ぶ

トマトとカニ缶のサラダ。色が美しい

デザートは真剣勝負!全種類食べるぞ!

胃休めはビールとカードゲームで

ようやく暮れ始める10時過ぎ
この「お食事会」、こてこてフランスパーティの例にもれず、「大量飲食マラソン」だ。お昼の12時に食器持参で集合。もちろん「食前酒」からまったりと入り、各家庭の主婦が腕を振るった前菜、仕出し屋さんが持ってきたメインディッシュ、グリーンサラダ、チーズ、デザート、食後酒…と続く。宴席から離れるのは早くても午後の4時を回ってから。その後、男性陣はビールを片手にカードゲームやペタンクと呼ばれる玉転がしスポーツ、女性陣はプールのあるお宅で水浴びなどをしながら「胃休み」。
夜の8時には再集合で、「食前酒」「前菜」…と繰り返される。夏の明るい夕刻がようやく暮れ、革命記念日の花火が上がる11時頃は丁度デザート。「ああ、長かった過食の一日よ」と食い倒れている場合ではない。翌日の昼には「再々集合」がかかる。
この国での愛情表現やコミュニケーションは「食」を通じる場合が多い。フランス生活、語学力よりも丈夫な胃袋がモノ申すシーンが多々ある。
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記:小笠原めい
特集:世界の夏を食べ歩き!
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