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夏日を思わせる日差しがようやく届くようになった4月半ば。よく4月は気まぐれなお天気がくるくると日替わりでやってくることが多く、「彼のやりたい放題だ」といった意味の慣用表現で表されるドイツの春。雹(ひょう)も降れば30度近い日もある、そんなところ。
よく晴れた土曜の昼ごろ、友人からお花見の誘いが舞い込む。そろそろかな、と期待していたところだった。というのは、ここ3年くらい、ベルリンの桜の咲いている公園を舞台に「お花見」と称して集まる会が恒例となっている。コミュニティと呼ぶほどの連帯感や形式はないのだけれど、みんなで桜を見ながら集まりたいね、と始まった。日本人のアイデンティティの表れと言いたくなるほど、自然な感じの集まりだ。
さて、今年の会場はマウアーパーク。マウアー(Mauer)とはドイツ語で「壁」という意味である。東西を隔てた壁の脇にたたずむマウアーパークは、今ではフリーマーケットのメッカとして有名だが、壁近くの家屋の裏庭なんかにはまだ心なしか暗い影が残る。そんな空き地にベンチだけ用意したバーやカフェに人が集まる姿もベルリンらしい。
ドイツでは、公園にバーベキュウセットを持ち込んで、夕暮れまでのんびり公園で過ごすグループが多い。もちろん公園によっては規制があるが、夏の定番の過ごし方と言えばピクニック。とりわけみんなでワイワイ楽しめるバーベキュウが大のお気に入り。ウインナーやステーキを自分の分さえ持っていけば、誰か世話好きさんが焼いてくれる。ビールやプロセコ(ドイツの発砲ワイン)を持ち寄って、あちこちで美味しそうな匂いが漂う。
昨年のお花見で友人の一人が「シャケのちゃんちゃん焼き」を披露し、和食に飢えた我々あいだで一躍ヒーローになったものだ。
代々木公園のようにスポーツハレを隣接させた作りのマウアーパーク。到着するとすぐにピンクの桜が目に入る。こちらは八重桜が満開の季節。ハラハラ舞い散る姿はお目にかかれなかったが、壮大な敷地に派手に咲き誇る姿は真っ青な空と我々の気分にはピッタリだ。 すぐ横ではギターを鳴らしてBGM役を買ってくれている人も。
ちょっとした知り合いから普段の鬱憤話まで話せる友人、友達の友達やその彼氏彼女、子供達やペットの犬までが入り混じり、和気あいあいとした公園でのひと時がやってきた。北国に位置することを再認識する日の長さのおかげで、夕暮れのバーベキュウも9時まで続く。
はじめてこの夏を体験した日を忘れない。いったいいつ夕食を食べたらいいのか判らないほどいつまでもいつまでも明るく、ルームメイトたちもいっこうに家に帰ってこない。お腹をすかして妙なところでホームシックを味わったものだ。
今では夏は外で楽しむもの! というスタイルが定着し、家の中で楽しむ読書や縫い物は冬の楽しみに取っておく余裕もできた。
お花見と言ってもまずは食とお喋り、みんな桜をみているかどうかも怪しい賑やかな会だったが、やっぱり桜の木の袂に敷物をしいてゆっくりしたい気持ちは、どこにいても変わらない。一人でギターを鳴らしている青年にはギター仲間ができ始め、風が少し冷たくなってくるまで座って話し続けている。初夏の気配を感じながら、夜桜ならぬ夕桜を大勢で囲んで過ごした春。思い出深い日となった。
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記:進士恵理子
特集:6〜7月はアウトドア!
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