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一般のオランダ人にとって3度の飯より好きなこととは、一体何だろう?それはFeest(フェースト)、つまりパーティーである。パーティーと称せばちょっと気取ったきらいがあるが、オランダ人たちが、実際に最も好むのは、庶民的な宴会だ。
人々は年間を通じて、誕生日やら引越しやら就職やら、何かと理由をつけて宴会を催すのが常だが、年末ともなれば更に拍車がかかり、今年も残りあとわずか、さあ宴会だ!と人々の気もそぞろとなるのである。
まず、そのこて始めが11月の第3週目の土曜日である。毎年この日には、子どもの守護神であるシンタ(聖)・クラースが、オランダにお供を連れて上陸する、ということになっているのだ。サンタ・クロースの原型と称されている聖人クラースこそ、オランダに、パーティの季節を運んでくる張本人である、と見なしても過言ではない存在である。
このクラース、西暦1400年程前に実在した聖人といわれ、その伝説ではスペインから、船に乗ってオランダに上陸した、ということになっている。その伝説にちなみ、毎年この日になると、オランダ中あちこちの河川には、クラースとそのお供が乗った船が現れ、行儀よくそれを待つ子どもたちに、次々と贈り物が配られるしきたりがある。最近では子どもだけでは飽きたらず、親たちも聖クラースの名を借りた巷での便乗商法にのっとり、贈り物を交換するパーティの開催を、子どもたち以上に心待ちにしているほどだ。この聖クラース、自身の誕生日である12月5日まではオランダに居座るとされているため、その期間中、何かとパーティが行われるのももっともといえそうだ。
無事、聖クラースがスペインへ帰郷したら、今度はキリスト生誕のクリスマスがやってくる。今度は、アメリカナイズされた聖・クラースと称される、サンタ・クロースがオランダに上陸、これからクリスマス商法とパーティー本番化が始る。では、オランダのパーティー、というのはどんな感じなのだろうか。
12月24日、25日の両日のパーティの食卓を飾るのが、「エキゾティックな生きもの」。つまり、ちょっと目先が変わった動物を調理して食する、というのがメインとなる。猪、駝鳥、鹿、キジなどが、年に1回テーブルの上に乗るのもクリスマスならではというところだ。もちろん、そこには歌ありビールあり。飲んで歌って限りなく騒ぐのが、気取らないオランダ式。カラオケもすっかり定着したオランダのパーティには、とかく庶民的な歌謡曲がつきものなので、にわか歌手の歌声に大拍手と大爆笑でパーティの夜は更けてゆく。
クリスマスの二日酔いからさめた頃、人々を更に待ち受けているのが、大晦日の年越しパーティと花火大会である。
これは、個人の庭先や近所の道端で、家族や友人とともに大晦日の午前12時を回った瞬間に打ち上げられる、ミニ花火大会といったところだ。
花火はオランダ中の園芸店で、12月になると季節限定販売が許可されるのだが、気の早い連中は国境を越えてベルギーまで遠征し、花火をごっそりと購入、この大晦日だけではなく、その前後にも御近所だけの花火大会を試みるという寸法だ。
年越しパーティは、やはり宴会と呼ぶにふさわしく、その騒ぎ方も1年の計こそ、ここにあり、という具合なので、これはむしろ無礼講、と呼んでしまっても差し支えあるまい。
この騒ぎに欠かせないのが、オランダ式ドーナツのオリ・ボール。
このオリボールを食べながらカウントダウンを行い、午前12時を回ると同時に花火を一斉に打ち上げるのが、オランダの大晦日の過ごし方である。
それまでの騒ぎっぷりとはうって変わって、新年は寝正月となるのも、いかにもオランダ式。11月に聖クラースの上陸によって引き起こされるパーティの季節が、ようやくここで終焉となるわけである。
寒く、長いオランダの冬に欠かせないパーティは、きらびやかでゴージャス、というよりも、庶民的で騒がしいきらいこそあるが、憂鬱になりがちなこの季節に華を添える存在であることは、昔も今も間違いないだろう。
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記:かおる・ホーフアッカー
特集:Party!Party!
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