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毎日が贈り物 (その1)
2月7日の誕生日が近づくにつれて心が乱れるのは毎年のこと。だから、今年三十路を迎える私は壮大なパーティーを開くのではなく、ささやかな、ちいさなちいさなバースデーを過ごすことに決めた。

人生をじっくりと振り返るためには、騒がしく情報の多い町の中ではなく、大地と自然に囲まれた新鮮な空気の中での方が良い。心の奥の、もっと奥まで見ることができるから。絶え間ない笑いや、心を許しあえる友達の笑顔に囲まれた時間も必要だけど、こうした静謐(せいひつ)な時間も必要なのである。

そんな大切な舞台に私が選んだところは、イギリス南部にあるセブン・シスターズの丘。B&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)に宿をとり、1泊2日の誕生日旅行へと出かけた。

天気予報は、曇りのち雨。しかし、神様は私の味方をしてくれた。風はちょっぴり強かったけど、天気は晴れ、2月にしては気温もポカポカと暖かい。

野うさぎが大地を跳ね回り、羊や牛たちがのどかに草を食んでいる。緩やかなカーブを帯び、果てしなく広がる淡い緑の大地を一歩一歩踏みしめて歩いた。宇宙まで突き抜けた雲一つないブルーな空、ほのかに香る潮の香りが体にピリリとした気持ち良いしびれを与えてくれた。細胞がピチピチと元気になる。

太陽は私の右にあり、大きく広がる銀色の海をキラキラと照らしていた。その輝きの一つ一つに私の30年間がスポットライトを当てられたように輝いている。

一歩一歩足を進めて歩いてきた自分の人生を、目を細めて見つめてみる。海外に住んでみたいという漠然な思いだけでイギリスへ鉄砲玉のように飛んできた10年前のあの日や、言葉や文化が違う海外生活の中で自分というものを見失わないように必死になって生活してきた毎日や、バイトをしながら生計を立ててイギリスの大学に泣きながら通った日々などが思いだされる。いろいろとあったなー。

楽しいばかりの人生では物足りない。渋い柿は、時間と共に甘くなるのだ。そんなスイートな日を心待ちにして生きていてもいいと思う。

「毎日が贈り物」と私のパートナーは言う。その言葉に私も共感する。自分を信じて夢を諦めずにいれば、10年後の私が笑顔を浮かべて、今日の私を暖かく迎えてくれているはずである。

シャンパン・グラスを紅く染めながら夕日が水平線へ落ちていく。たわわな私の30年間に、ありがとう。明日からまた訪れる、輝かしい未来にも乾杯をしよう。
Cheers!


記:原田周作
特集:Party!Party!

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