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東京では桜の並木道のある所で育った私は、桜の季節になるとまたあの大きな桜のかたまりを見たくてソワソワしてくる。もちろんウィーンにも桜はあるが、上野公園や千鳥ヶ淵のような桜のトンネルはなく、ポツン、ポツンと大通りに2、3本植えられている程度だ。でも、ウィーン郊外にあるドナウパークには、96年のオーストリア建国千年祭を記念して日本から寄贈された1000本の桜がある。今年はそれを見に行くのを楽しみにしていた。
ところが、である。1月のある日、愛犬の散歩から帰る途中、歩道のど真ん中で突然隣人の飼っているテリアが私の犬に吼えかかってきた。よけようとしていったん車道に降りようとした私は、なんと不覚にもリードと歩道の段差に足を取られて転倒。全身打撲にして全治2ヶ月の大怪我をしてしまった。
やっと回復した時は桜の季節。とはいえ、ようやく杖なしで歩けるようになった私には長時間は歩けない。ドナウパークは、健康な人の足でも1時間はかかるのだ。しかたなく地下鉄で行ける、かつてベートーヴェンが遺書を書いた家のあるハイリゲンシュタット駅からほど近い「世田谷公園」へ……。
なぜ世田谷公園なのか? 今から22年前、この公園のあるウィーンの19区デーブリングと東京の世田谷区が姉妹区の協定を結んだ時に、当時の世田谷区長だった大場啓二氏がここに桜を贈ったので、本家の世田谷公園にちなんで同じ名前がつけられた。
この公園は老人ホームと隣接しており、お年寄りがベンチに座ってお花見に余念がない。ウィーン北西にひろがる広大な森に近いため、空気が澄み、小鳥のさえずりもにぎやかだ。今年は暖冬だったので3月中旬には桜が咲き始めた。種類もいろいろあり、満開の桜もあれば、まったく蕾のままのものもある。
世田谷公園を訪れた数日後、友人のマンションに遊びに行ったら、その敷地内にも素晴らしい桜があった。ソメイヨシノだろうか? 写真を撮るというと、彼女の息子(20歳!)がなんと枝をガタガタ揺らしはじめて……あれ〜と思っているうちに花びらが落ちてきたところを慌てて撮った1枚は傑作だった。
もう人生の半分以上をウィーンで暮らしている私だが、毎年桜に癒されるところはやはりピュアな日本人だ。
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記:パッハー眞理
特集:3月・4月は桜 特集
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