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気象庁観測記録に新たなレコードを提供するほどの暖冬を記録した今年のオランダ。2月中にチューリップが芽を出し始め、クロッカスが咲き乱れるという例年にない現象が起こり、各地に早い春が訪れた。これも異常気象がもたらした贈り物、と人々は大いに喜んでいるが、それに文字どおり花をそえる存在なのが、桜である。
オランダ人は一般に桜好きが多い。しかし、日本のように桜のトンネルの下を歩きながら……という壮観さを楽しむのではない。自分の庭で桜を愛でるのだ。庭の中心に1本か2本の桜を植え、春が来るのを待つのである。各種ある桜の若木は、ガーデニングセンターなどで1年中購入可能なので、庭のデザインにもっともぴったりあう桜を探し出して植えるのだ。
オランダの冬は長い。10月から木枯らしが吹き始め、3月末までは、冬の様相を呈するのが普通である。その冬に耐え、4月ともなれば庭で美しく咲き始める桜に春を呼ばせる、という感じだろうか。壮観さこそないけれども、しっかりと根付いた桜の木が満開となり、庭を彩っている姿を愛でるのは、なかなか赴きがある。
そんなオランダの桜はもうひとつの楽しみを人々に提供する。それは、桜桃(さくらんぼ)である。その甘さに野鳥が群れ、人々は窓からその様子を楽しみ、その後はもいでジャムにしたり、器に入れてインテリアとして飾ったりと、桜は鑑賞するだけでは終わらない存在である。
3月末、オランダの桜は全国でほぼ満開となった。公園でその美しさを堪能していると、オランダ人親子が話しかけてきた。さくらんぼを拾うのが待ち遠しい、と笑顔で話してくれたので、日本には「桜湯」というものがあり、塩漬けにした花を湯に浮かべ、風流な飲み物として嗜むのだと説明した。
「それこそが、本当の桜の楽しみ方ね!」
日本文化の一端に触れたことに感激した親子と、桜談義に“花を咲かせた”1日だった。
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記:かおる・ホーフアッカー
特集:3月・4月は桜 特集
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