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ピレネー山脈の麓の街、サン・ジャン・ピエ・ド・ポー。ここはバスク地方の小さな町。私が歩いてきたルピュイの道の終着点。歩き始めて34日目、やっと辿り着いた。


最後の数日間はバスク地方を歩いた。バスク地方とはフランス南西部とスペイン東北部の一帯を指し、バスクとは独自の言葉と文化を持つ民族。
巡礼路でもバスク地方に入ると標識もフランス語とバスク語で記されている。またバスクベレーを被ったお年寄りの姿や、バスクの十字架・ラウブルを目にする。
私は、毎年のようにバスク地方を訪れているけれど、何と言ってもバスクのプライドみたいなものを感じるところが気に入っている。



現在、バスク地方はちょっとしたブームになっている。まず、グルメの分野で人気がある。生ハム、黒さくらんぼ、唐辛子を使った料理が有名で、アラン・デュカスもバスクにオーベルジュをオープンしている。
さらベレー帽、エスパドリーユ(サンダル)はバスクが発祥で、バスク織りをはじめバスクのデザインの雑貨も人気だ。
中世より巡礼者の宿場町として栄えてきた、ここサン・ジャン・ピエ・ド・ポーも実はファッション誌で紹介されている。


さて、740キロの34日間の旅もあっという間に終わってしまった感じ。
町の巡礼宿は賑わっていた。多くの人が明日からピレネー山脈を越えてスペインへ入り、1ヶ月歩いて聖地・サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。


私の今回の旅はこの町で終わり。
次の朝、ピレネー山脈を越える巡礼者を見送り、駅へ向かった。ホームに到着した列車からは続々と巡礼者が降りてくる。入れ替るように乗り込み、TGVに乗り継いでパリへ戻った。旅は旅をしている瞬間がすべて。想い出に浸る間もなく数時間でモンパルナス駅に着いてしまった。
ルピュイの道はスペイン側を歩いた時のように毎晩大騒ぎすることもなく、とても静かに歩くことができた。フランスの田舎は素朴で美しく、パリとは全く異なるフランスの一面を見ることができたのは本当に良い経験だった。こうして、無事に歩き通せたことに本当に感謝したいと思った。

記:安田知子 2006/09/26
特派ルポ着の身着のままのパリ

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