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登頂:14:40 登攀時間、コースタイムより20分短縮。
撮影時間以外に休憩をほとんど入れなかったのが功を奏した。そしてアタシの足は確実に強靭さを増した。
震えながら、にぎりメシ2個をムリヤリ胃に落とす。周りはモヤモヤ真っ白だし、おっそろしく寒い。そして独り。
だし、急いで下山にかからないと。あれよという間に、ますます霧が深くなる。

ボタボタボターッ。大粒の水粒らしきが地を打つような音。
え?雨?!!ヤバ!!!
が、地面はぬれていない。アタシにも水滴がかかったわけではない。
木の葉の落ちる音?
確かに樹々の下で断続的に聞こえる。ボタボタボターッ。
でも木の葉がそれほど激しく落ちている様子もない。じゃー、何?
よくよく辺りを観察して、ようやくわかった。

ものすごいモヤモヤの霧。その細かい水粒が樹の枝に露を結ぶ。その露の粒が一定以上の水分量に達すると、こらえきれずに落ちるのだ。
枝という枝先に水滴が光っている。ほんの少しの水分量だったのが、見る間にウルウルと膨れ上がり、ついに落ちる。枝々が一斉に露を落とす。樹々が泣いている。
いやいや、感動している場合じゃあ、ゼンゼンない。そんなこんなしているうちに20分経過。いかにも、マズイ。
コースタイム3時間40を15時なにがしに加えると19というとんでもない数字。今さら顔から血の気が引いていくのが、自分でも感じる。
15:03下山開始。3時間足すと18:03。遅い!! なんで、もっと早く切迫感を持てなかったか?わけがわからん。
泣きたいなど言っとれん!
Lonelyのなんの、そんなオセンチはとうに吹っ飛び。幻想的な深霧光景を楽しむゆとりも到底なく、恐怖で髪の毛が逆立ちそうになりながら走った。
なんとか暮れきる前に下山。その思い一つで岩と岩をカッ飛び、比較的歩きやすい山道は最速で走った。活性酸素が湧こうがかまったこっちゃない。
どうにも肺・爆発、心臓・破裂って時は、止まって10数える。その数秒も惜しかった。
山の日暮れは早い。ましてや林下の道は見る間にどんどん暗くなる。もう何時間走ったかわからなくなる。止まって確かめる時間すら惜しい。
ついに日が暮れた。漆黒の闇に抱え込まれた山道。もう走れない。フツウに歩くことすらままならない。
「どんな登山でも、懐中電灯は装備に加えること」 山の鉄則を守らなかったツケ。それでも進むしかない。
地べたに鼻がつくほどに姿勢を低くして、カッと目を見開いて1歩ずつ進む。小さな石でも乗り上げて、足でもくじこうものなら、動けなくなる。と、どうなるか?!!
不思議と「もう、ダメ」とは思わない。原子炉が臨界に達したかのように体中がグワァーとなって熱を発する。
決して諦めない。今日中に生きて下山する!!!
山道を回りこんで、ふと顔を上げて前を見たら、ほーっと明るい!
山道から出た!!助かったーっ!!!
下山、17:19
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