|
前日暗くなってからクシャダシのホテルに着いたため、周りの景色が分からなかった。表が明るくなるとエーゲ海を見渡せる素晴らしい立地。にもかかわらず、あまりにもゆったりと朝食をいただいてしまった。冬季は使用できないらしい素晴らしい室内プール脇を抜け、表にでると「エーゲ海の水を触ってきました」とツアー仲間のご夫婦が。え、外に出られるの?と思ったがすでに時遅し。出発まで15分では海岸に行くのは無理であるから、早起きは、いや、早飯は30リラくらいの得かもしれない。
エフェス(エフェソス)の奥、さらに7kmほどの山奥に聖母マリアが晩年を過ごしたと云われている家がある。まずはそこを目指す。山一面に植えられたオリーブは収穫期。家族で収穫している様子は、おそらく古代から続いたやり方だろう。大きくひろげた布に木をゆすり実を落とす。機械や新しい便利グッズのようなものはなにもない。牛追いの姿といい、羊飼いの姿といい、トルコには何千年の昔から変わらない生活があるようだ。

山道を登って行くと、一昨年大規模な山火事に見舞われたという地域に入った。その焼け跡は聖母マリアの家のすぐ裏で鎮火した。おそらく信者の大変な努力の結果と思うが、見事にぎりぎりのところまで火の手が迫った様子が焦げた木を見れば分かる。
数日前に、イスラム教とは何かと問題のローマ法王が訪れたということで、入り口には花が飾られていた。テレビではアヤソフィアを訪れたローマ法王を流していたが、今は修復され聖母マリア教会となっているこの小さな家は、歴史上無視できないということでバチカンが公認した巡礼地なのだという。わたしたちがトルコに入ったその日、ローマ法王はトルコを離れたらしい。今回の旅行の出発直前、テレビで流れたイスタンブールでの7万人デモには驚いたが、その騒動には巻き込まれずに済んだのは幸いだった。
聖母マリアの家は小さな石造りで、入り口で50クルシュを寄付し、蝋燭を立てる。なんとも簡素な造りが逆に神聖な雰囲気を醸し出している。尼僧が唄う生の賛美歌が響き渡り、思わず祈りをささげてしまった。カソリック信者なら誰しも訪れたい場所に、わたしのような神様、仏様という人間が訪れてよいものなのかと思ってしまったほどである。

ここには小さな郵便局があり、絵葉書を出すと、聖母マリアのスタンプを押してくれるというので、息子に聖母マリアが涙を流している絵葉書を送ることにした。「母はあなたの幸せをマリア様にお願いしてきました」とだけ書いて。我ながら、実にいやらしい母親だと思うが、半分冗談、半分本気。ヘヘ。
この郵便局では、一人の素晴らしく正直なおじいさんが両替にも応じてくれる。もちろん円からリラもOK。もし、この地を訪れることがあれば、両替の予定地に選ぶといいかもしれない。
バスはメインのエフェス遺跡に行く前に革製品のお店に。これは格安ツアーのお約束。大きな一軒家の門をくぐり、庭園の片隅に建つファッションショー会場に。ここで、革製品のファッションショーを観る。ツアー客も引き込みショーは多いに盛り上がった。Takakoさんも引っ張り出され、モデルと腕を組みステージをリズムに合わせて歩いた。きっと冥土のみやげになることだろう。

|