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思いが高じて遠距離通畑!? そんなに畑がしたかったんだ!
汗と努力と、ちょっとお気楽な畑作りの顛末を、
畑をしたい、畑で悩んでいる、畑を自慢したい……方々に贈ります。
その14.鍛冶職人と赤いバンダナ
畑では相変わらず青虫との闘いが続いている。前回撒いた珈琲の豆殻では、青虫を撃退できなかった。結果、ブロッコリーとスティックセニョールはほぼ壊滅してしまった。
無念……。

そして恐れていたことが遂に。青虫軍団がキャベツへの侵攻を始めていたのだ。キャベツの葉の内側を見ると、青虫のウ○チがいっぱい! ご飯はあるし、風よけもできる。もはや食う寝るできる、ドリームハウス化しているぞ……。青虫の勢いが勝つか、キャベツの成長スピードが勝つか、かなりギリギリのラインだなぁ。

そんな状態なので、白菜の元気な姿には、癒し効果すら感じてしまう。ちゃんと太陽の陽が直角に入る角度で育っていて、なんとも可愛いらしい。
ネギたちもずいぶん伸びてきたので、根元に土寄せを。

畑の帰りに、農具を作る京都の鍛冶屋さんを訪ねてみた。
前からオットが行きたがっていた鍛冶屋さんで、写真で見ると、ご主人はたぶん60代くらいかな。
がっしりした体に作務衣を着て、真っ赤な炎に照らされた顔は、岩のように頑固そう。鉄と対峙する鍛冶職人とは「こうであって欲しい!」と思い描くイメージ通りだ。

お店に入ると、床や壁にいろんな道具がぎっしり並んでいた。鎌や鍬といった馴染みの農具もあるけれど、何に使うのか分からない道具も多い。
「やっぱりホームセンターとは違う!」
期待通りの硬派な雰囲気に、オットと私はすっかり嬉しくなった。

そこへ、店の奥からデニムシャツにチノパン、オデコには赤いバンダナ姿のがっしりしたおっちゃんが現れた。ニコニコ笑顔で「いらっしゃい」と言う。
どう見ても鍛冶職人というよりは、ペンションのオーナー風。
あまりにもこの場の雰囲気にそぐわない人物の登場に、私とオットは思いっきり「へ?」という顔をしてしまった。
けれど間違いありません。このペンションのオーナー風のおっちゃんが、写真で見たあの我が理想の職人さんだったのです。

私たちの硬直をものともせず、次々に農具を手にとっては、使い方や改良した点など、楽しそうに説明してくれるご主人。ところが、教えてくれる道具が妙に珍しいものばかりだし、それにまったく「勧める」という気配がない。おかしいなぁと不思議に感じていたら、理由が分かった。
「2年くらい野菜作りしています」ってオットが言ったら、ご主人、眼を丸くして驚いていた。
どうやら私たちは、「農具とは無縁の人」と思われていたみたい。
でも、商売っ気無しで、あんなに丁寧な説明をしてくれていたなんて、私たちだって、びっくりです。

すると、
「これからわたしも畑へ行くんだけど一緒に行く?」
と言って、ご主人が二カッと笑った。
それまで服装に気をとられて気がつかなかったけど、陽に焼けて、深く皺の入ったご主人の顔はやっぱり頑固そうだ。けれどその皺がくいっとあがった笑顔は、とても親しみやすく温かみがあった。

細かいことはどうでもいいって思えてしまう、大きい笑顔。
私もオットも、ニカッと笑ってしまった。

記:おおたか みき 2007.11.09
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