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有働薫のQui est-ce, Madame?

「ペレアスとメリザンド」

メーテルランク(メーテルリンク)の戯曲『ペレアスとメリザンド』は 1901年にパリで出版されたメーテルランク戯曲全集全 3巻中に含まれている。ドビュッシーが作曲したオペラは、この戯曲のさわりの部分を残し、あとをはしょって作った台本に曲をつけたものである。それにしても、この戯曲ほど不思議な感じが残るものはない。はっきりとこれといえる筋書きもあいまいで、劇に必要なプロットやドラマ、フィナーレといったドラマティックなものはほとんどない。それにもかかわらず、一度読むと生涯忘れられないほどの印象を人の心に残す強い力を秘めている。このような不可思議な劇を作ったメーテルランクが「蟻の生活」という綿密冷静な観察記録や、子どものための教訓的な劇「青い鳥」と同じ作家だというのは容易に納得しがたいものがある。だが、『ペレアス…』系のミステリアスな劇は他にも数篇あり、私はそれらと高校時代に演劇部の部員として上演可能な台本を探しているうちに出会った。

都立竹早高校演劇部ではメーテルランクの戯曲集の中から、舞台装置のシンプルな、登場人物の少ない『ひそみ入るもの』の上演を試みて、台本の読みに入ったが、けっきょくこの段階で、つぶれた。その過程では部員間の様々な人間関係のからみあいがあった。前年には「そら豆の煮えるまで」でかなり好評な公演をこなしていたので、この破綻は大変残念な後味を残した。ただ、もう大昔のことを今から振り返ると、たとえ上演までこぎつけても、たぶん惨憺たる結果に終っただろうという気はする。メーテルランクは16,7才の高校生の手に負える戯曲ではないという気がするからである。ちなみに、「ひそみ入るもの」とは死のことなのだ。…ちょっと話がそれてしまった。次回は『ペレアス…』の筋書きを紹介しよう。





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