「雨の奥」 夜中に雨の音を聞く 睡眠の深みにとどかないもどかしさに もつれた神経のかこむ視野の奥に 刑事事件のある種の判決文に感じるのに似た 緊張感 慎重さ 真摯さ 慎ましやかさ クリスタルの硬 いてざわり がよどんでいる 記憶の時空感とは少しちがう かたさとやわらかさが背中合せの 確信という言葉に近いような だが覆われたものが 細いもつれた雨にじっとぬれている
有働薫著『冬の集積』より 詩学社刊