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有働薫のQui est-ce, Madame?


まりこさま

ドゥタンベルの本はボリュームもあり、場面設定などが入り組んでいて、はじめの部分はけっこう読みにくかったと思いますが、みごとにクリアしてくださってうれしいです。ここまで読んでくださったら、もう、この作家についてかなり切り込んでいけると思います。では、まずは作家ドゥタンベルのプロフィールから。

レジーヌ・ドゥタンベルは1963年10月8日にフランス東北部、モーゼル県のドイツとの国境の町サン・タボルドに生まれました。2006年の今年で43歳になります。 父親は炭鉱労働者でしたが、のちに一家は南フランスのモンペリエに移住しました。彼女は将来、音楽か医学の分野で職業を得たいと希望し、そのための学業を交互に積みましたが、学資が続かず、やむをえずコースの変更を余儀なくされました。無産の両親から自力で自立を試みるとき、青年が経験するにちがいない辛苦をつぶさになめたことが、いまでこそ、作家としての得がたい経験ではあったと言えるのかもしれません。

しかし、まりこさんが思い浮かべた歌のような青春時代の混沌を抜けきって、一人前の大人としての人生にはいるためには、どれほど傷つき、周囲を傷つけないではすまないかは、彼女の作品を通して痛いほど伝わってきます。人間として大人であること、生まれつき感覚の鋭敏な、頭脳の明晰な若者が、充実した人間として成熟すること、ドゥタンベルの望みは、ひとたびこの世に生をうけたからには、当たり前のことではあるのですが、どの社会でも、当たり前のことを当たり前に請求することがどれほど困難であるかを知らずには居られないのです。

南仏地中海に面するエロー県の首府モンペリエ近郊の町でパートナーと共に理学療法院を営みながら、1990年に第一作『切断手術』を発表していきなりフランス文芸家協会賞を受賞しました。いらい小説家のキャリアは15年を越え、小説だけでもおよそ20作、他にエッセイ、詩集、ラジオドラマ、オペラと、幅広いジャンルに才能を発揮しています。作風としては、デビュー当時はウリポの作家達を手本に、例えばeの文字を使わないで一冊の小説を書き上げるなど、技術面で凝ったものをめざしていたのを、編集者のアドバイスなどもあり、自分の経験を生かした若い世代の自立をテーマにするようになって、読者層も広がりました。

長くなりましたので、今日はこのへんで。
 
有働より
 




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