勝手に読書録

闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相

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作者名:一橋 文哉
ジャンル:ノンフィクション
出版:新潮文庫

闇に消えた怪人―グリコ・森永事件の真相


生まれてこの方、「いちばん印象に残っているニュース」とはなんだろうか。
『千葉ロッテマリーンズの31年ぶり日本一』とか『ドーハの悲劇』とかスポーツ方面、はたまた芸能関係のニュースを挙げる人もいるだろう。しかしとりあえずここでは“社会面に載るようなニュース”とする。
そうするとどうだろう。年配の方なら『終戦』なんてのもあるかもしれないが、たとえば『あさま山荘事件』であるとか『3億円事件』。『ベトナム戦争』とか『9.11』なんてのもありそうだ。『ロッキード事件』や『リクルート事件』なども考えられる。
どれもこれも印象に残る、また興味深くもあるニュースであり、さまざまな文献も読んだ経験がある。
だが、「いちばん印象に残っている」ということならば、それらから『グリコ・森永事件』を挙げたいと思う。

世にも有名な“スーパーの防犯カメラの男”の映像が公開されたのが、小学校2年生というニュースもなんとなく見るようになった時期であり、しかもそこには毒入りのお菓子という衝撃的な兵器も登場する。さらに犯人像とされた“かい人21面相”という名前、そして“キツネ目の男”の似顔絵も怖すぎて強く印象に残っていた。ちなみに、当時やっていたドラマを見ていて、「キツネ目の男だ!」と思わず父親に訴えてしまった俳優がいた。矢崎滋だった。すみません矢崎さん。
警察の動きやさまざまな犯人像を、テレビや週刊誌などがこぞって取り上げ続けた、いわゆる“劇場型”の犯罪であり、しかも未解決——物心が付き始めた時期に起こったそんな大事件について著されているのが、『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』(一橋文哉)である。

本書は『グリコ森永事件』の発端とされる“江崎グリコ社長誘拐事件”から、各社の脅迫事件や青酸ソーダ入り菓子のバラマキなど、事件に関する筆者の分析や解説がなされているほか、さらに送られてきたとされる脅迫文(内容)なども掲載されている。
すでに30年近い年月が経った事件だが、読み進めるごとに当時の犯人側と警察側、そして社会の反応など、リアルタイムで経験した人間ならば思い出し、また、初めて触れたとしても推理小説のように絵が浮かんでくるのではないだろうか。
後半では警察が追いつめることが出来なかった犯人像についての考察もあり、当時“キツネ目の男”の有力な候補とされた現在は作家の人物のイニシャルや、ある団体組織をほのめかす記述などが飛び交い、なかなかスリリングな展開となる。もちろん、2000年の2月13日に、関連したとされるすべての事件が時効を迎えたことで、考察された犯人像もすべて闇の中となるが、少なくとも読み進めているうちは犯人が目前にいるような雰囲気に浸れるのは、“エンターテインメント”として間違いなく正しい一冊だろう。

最後に。
「世紀の大事件を扱ったノンフィクションでエンターテインメントなのはおかしくないか」という意見もあるだろう。しかし、本書は確実にエンターテインメントの面が存在する。まあ、その展開は、『3億円事件』をはじめとする筆者の作品、すべてに言えることでもあるのだが。
エピローグまでたどり着いたとき、その衝撃が待っている。











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