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こぐれひでこの「いただきもの日記」
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スペイン・アンダルシアの旅
 今年の2月、私は還暦を迎えた。“村の渡しの船頭さんは今年六十のおじいさん、歳をとってもお船を漕ぐときにゃ、元気いっぱい櫓がしなる”という歌でお分かりのように、還暦を迎えた女はおばあさんと言うことになっている。私はおばあさんなのだろうか…たしかに年老いたような気もするし、いやいやまだまだおばあさんと言われるほど年老いてもいないんじゃないのか?…しかし、他人から見たら私の姿形はおばあさんなのかも…そんな想いで心が揺れ、落ち着かない気分になっていた。

  「そうだ、ひとり旅をしよう」そう思ったのは5月の初旬。レンタカーを借りて、ひとりで旅することが出来たなら、たとえ見た目は老人でも、気力はまだまだ、総合的に考えたら私はおばあさんではない、と言い切れるのではないか、そう思ったからだ。それに60という年齢は人生に於いて大きな変曲点。いずれにしても今後、本人が認めようが認めまいが、老人への坂道を転がっていくのは避けられない。いくら抗ってもいつかは自他共に認める老人になるのだ。だから気力がある今、どこかへ行って自分だけの記録を胸に刻みたかったのである。

  過去に一度、アンダルシアを旅したことがある。夫が住んでいたバルセロナから(私はパリに住んでいた)オンボロ車で地中海沿岸を走り、セヴィージャからコルドバ、ラ・マンチャ地方からマドリッド、そしてパリまで走り抜けた。1974年11月のことだ。パリでは厚いコートを身につけないと寒くて仕方がないという季節だったのに、地中海沿岸に降り注ぐ太陽は真夏。マラガ近くの海岸でパンツ一丁になって泳いだ記憶は今でも鮮明に残っている。この海の先はアフリカ大陸…遠い土地に立っている自分に感動したものだった。初めて出会ったアルハンブラ宮殿のアラブ式建造物、オレンジの実るセヴィージャの並木道、そしてなにより、もう一度この目に焼き付けたいと思ったのはコルドバのメスキータだった。照りつける太陽とそれによって作られるはっきりした影、激しいほど明暗のある土地へ行ったら、自分の気持ちに白黒をつけ易いのではないか、そう考えてアンダルシア行きを決めたのである。

  アンダルシアは素敵だった。若いだの年寄りだの、そんなことは自分にとって何の意味もない事柄だと、私は私なりに生きていけばいいのだと、心の底からそう思ったのである。

私がお世話になったレンタカー。運転技術に自信はないのでオートマティック車を予約しておきました。
運転し初めの頃、数度、回りの方にご迷惑をかけたかもしれないけど、事故もなく旅は終了。ありがとうございました。

これは私の影。ひとりだと自分の撮影が出来ない。

青い空の下にはオリーブ畑が広がっている。雄大だ。

マカロニウエスタン(若い人は知らないだろうが、あったんですよ、こういう映画が)に登場しそうな家の門(じつは私が泊まったホテルです)。こういうお金持ち風の家を私は「ロドリゲスさんち」と昔から呼んでいる(マカロニウエスタンに登場する悪徳金持ちはロドリゲスという名が多かったような気がする)。

アルカサル(イスラム宮殿)から見たカテドラル(キリスト教の聖堂)。

山間には真っ白な村が幾つもある。美しい!

 

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