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盛岡文士劇は大成功のうちに幕を閉じた。
今年(2007年)は12月1日(土)夜と12月2日(日)昼・夜の三回公演で、どの回もチケットは発売日に完売した。
盛岡文士劇は地元の文士や名士らによる素人芝居の公演として1949年から1962年まで行われていた。旧盛岡劇場の閉鎖とともに公演もなくなった。
これを高橋克彦さんが中心となって1995年に復活させた。ぼくの父(斎藤五郎。盛岡市民文化ホール初代館長)もそのときのメンバーのひとりだ。旧盛岡劇場で祖父が舞台の仕事をしていたから、我が家では三代にわたって盛岡文士劇と関わってきたことになる。
演目は、第1部が「盛岡版『芝浜』 八幡町出世横町」。落語の「浜芝」をもとに地元の劇団で活躍する藤原正教さんが脚本化し、アナウンサーらが盛岡弁で演じた。
ほとんどのアナウンサーは県外出身者なので、方言にいつも苦労するようだ。でも、方言を覚えるおかげで地元とのつながりが深まるという。
第2部は「丹下左膳」。主演は座長も兼ねる高橋克彦さん、相手役は女優の藤田弓子さん。
これまで盛岡文士劇には井沢元彦さん、内館牧子さん、北方謙三さん、浅田次郎さんらがゲスト出演しているが(剣道の達人として知られる谷藤裕明市長も常連の出演者のひとりだ)、女優さんとの共演は初めてだ。
さすがに違う。いや、こうも違うものか、と驚いた。
藤田弓子さんが舞台に立つだけで場の空気が、がらりと変わる。そして、一緒の舞台に立っている人が、昨日までとは打って変わって上手に見える。ぐいぐい引っぱられて、演技がよくなるのである。
「丹下左膳 百万両の壺」を舞台用に脚色した道又力さんは『花舞台だよ、お母さん』(わらび座で1月12日から3月23日まで。問い合わせはたざわこ芸術村まで)など進境著しい活躍を見せている。『開封! 高橋克彦』などの著書もある。演出の浅沼久さんは主演の高橋克彦さんと竹馬の友であり、また、岩手県の演劇界を強力に牽引してきた方だ。
文士劇は文藝春秋社の主催でかつては盛んにおこなわれていたが、現在は盛岡市の文士劇が唯一のものとなった。
文春文士劇は酒を飲みながらのぶっつけ本番だったというから、お座敷の余興の延長のようなものだったらしい。
盛岡文士劇は稽古が厳しいことで知られている。今までゲスト出演された諸氏のほとんどは、おそれをなして「もう二度とごめんです」と口をそろえる(例外は井沢元彦さんと内館牧子さん)。
実は高校時代に演劇部だった高橋克彦さんの演劇にかける熱意と愛情は生半可なものではない。ぼくが
「本番さえしっかりやればいいのだから」
などと屁理屈をこねて稽古にあまり出ないでいると
「それではほかの出演者が迷惑をするだろう。セリフなど覚えてあたりまえ。そこから先は稽古で磨いていくもの」
とお叱りを受ける。
復活文士劇は今年で13回目を迎えた。これだけ続いているのも、ただの余興ではなく、それなりの稽古を積んで励んできたからだろう(もっとも、アマチュア劇団の足元にも及ばないが)。
なお、盛岡文士劇「丹下左膳」の模様は、NHK-BS2で2008年1月5日午前10時から放送されるのでぜひご覧ください。
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記:斎藤 純 2007/12/20
特派ルポ:風に吹かれて、岩手
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