「書評」なんぞというたいそうなものじゃありません。「批評・評判」もどちらかと言うと苦手。
ま、無理矢理「おすすめの一冊」ってとこですか。

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■ GOTH

記事年月日 2002/09/17
作者名 乙一 
ジャンル ミステリー 
出版 角川書店 

GOTH
さて、本作は何といえばいいのか。
「触れれば切れるようなセンシティヴ・ミステリー」とは帯の謳いだが、なんと仕分けしても、どこかはみ出すような感があるような・・・。

「殺す側」と「殺される側」に2分するとして、「殺す側」に生まれついた者「GOTH」による凄惨な「殺し」の場面は、それはものすごい。にもかかわらず、さほど怖さを感じない。

作者は無理を承知で「殺す理由」あるいは「動機」を「病理」に求めはしない。
正常な者の中にも潜む「異常性」の拡大としての「異常」ではなく、いわば「先天性異常」。
つまり理由も動機も「ナッシング」で、ただあるのは「殺す側」としての「生」の具現化、と規定する。

だから返って、人体を生きたままパーツに分解して並べる、「指」だけをコレクションするために殺す、など極めて「異常」な「現場」表現も、読者に恐怖心をもたらさないのだ。これは興味深い「逆説」なのかもしれない。

殺されるのは、もちろん怖い。だが同時に、殺す「動機」や、そこに潜む「病理」に人は恐怖するのだ、と改めて知らされる。

「深層心理」を差し挟まない、言ってみれば書かれた「殺人ゲーム」と解釈するならば、そうとう高度なレベルのゲームではある。
犯罪病理をアンチな形で表現しようとした、実験ゲームなのかもしれない。

「もっとも将来が恐ろしく、楽しみな」新人とともに、とてつもない「ニュー・ジャンル」の出現である。

記: 2007-03-08