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ファイナル・デッドコースター

どう考えても辻褄が合わない。まぁ、ホラーって大体そんなものだが。主人公たちがハイスクールの卒業イベントとして訪れた、人生でもっとも楽しい一日になるはずだったアミューズメント・パーク。ジェット・コースターでの惨状を皮切りに、様々な血塗られたアクシデントが次々と起こってしまう…というスプラッタ・スリラーだ。

偶然に起こる不可解な惨劇の原理はこうだ。シリーズの『ファイナル・デスティネーション』(00)、『デッドコースター』(03)から一貫している設定だが…死亡事故を予知した人物が、その事故を未然に防ぐ。すると“死神”サイドとしては死者の魂を集める予定が狂ってしまうので、数合わせのために他の人間を殺しにかかる。事を起こしているのは死神なので、どんなにありえない偶然であっても難なく実現させることができる…。言わんとしていることはわかる。原理としても矛盾はないように見える。映画の中だけならば。

ホラーの怖さは大まかに二種類に分けることができる。一つは、現実に起こりそうなことを想起させる設定、および描写を中心に描くタイプ。もう一つは、ファンタジー要素を前面に打ち出して別世界を構築し、そこで恐怖を展開するタイプ。どちらも、通念としての恐怖要素が盛り込まれることが重要だ。メジャーな宗教であるキリスト教や仏教をもとに、聖書や仏典における邪悪な存在の概念を盛り込むか、ジャパニーズ・ホラーなら日本に昔からある言い伝えや迷信を盛り込むか、もしくはそれらに頼らず、独自な科学的根拠を展開しながら恐怖の裏打ちとするか。通念なしでも、人間の持つ狂気を掘り下げて描く方法もあるだろう。これらの要素を論理に矛盾なく綿密に描くことで人間の心理に直接働きかけ、恐怖の感情を呼び起こすことが可能になる。

本作の場合はどうか。舞台はあくまでもリアルな現実世界だ。ここまではいい。通念としての恐怖要素は何か。主人公の脳裏に現れる死亡事故の予知、そして先ほどの死神の数合わせの論理だ。ここが甘い。予知はまだよしとしよう。充分に恐怖要素になりうる。だが、死神のノルマが、現実に起こりそうにないくらい論理が破綻しているのだ。よくよく考えれば、我々の生活は「起こりそうな事故を防ぐ」ことの積み重ねで成り立っている。予知できる人間がいなくても、機械の整備はやって当然の作業だし、事故を未然に防ぐために様々な工夫をしながら生きているのが普通の生き方だ。それを防いだからといって死神の都合が悪くなるなら、今ごろ世界中のあちこちで死神はジェット・コースターの部品を外しまくらなくてはならなくなる。死神の大量雇用が必要になるくらいに、死神業は繁忙の極みとなるだろう。

ぶっちゃけ、「ジェット・コースターのシーンも何もかも、ただの整備不良でしよ?」と言いたいだけなのであるが。残虐なスプラッタシーンと、次に誰が犠牲になるか? の謎解きサスペンスがお好きな方には、イチオシの作品。アトラクション感覚で“楽しめる”映画だ。

ファイナル・デッドコースター 通常版(DVD)
監督:ジェームズ・ウォン
脚本:ジェームズ・ウォン
出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド/ライアン・メリマン/クリス・レムシュ
ジャンル:洋画

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エンタメ シネマピア   記:  2006 / 09 / 08

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