シネマピア

記憶の棘

20061226155204picm.jpg 愛する夫を突然の心臓発作で失った未亡人のもとに、亡くなった夫の生まれ変わりだと主張する少年が現れる。夫だけしか知らないはずの秘密を語る少年の言葉に、周囲は揺らぎはじめ…。

転生輪廻、生まれ変わり、前世の記憶。摩訶不思議な気もするが、どこかロマンチックでもある。科学では証明することのできない、魂の記憶。だが、証明できないからと言って、それが真実ではないなどと言い切ることはできない。輪廻の証明はできていないが、ありえないとも証明できていない。科学が真実の全容を解明していないだけなのだ。

恋愛に限らず、仕事も趣味も人間関係も何もかも、人生で経験したことはすべて魂に記憶されていくという仮説は、時に心を慰めてくれる。死んだら何もかも終わり…と言い切ってしまうのは簡単だ。でも、生まれてからこの方、私たちは様々なことを経験し、自分自身の糧として心に沁みこませてきた。長い年月をかけて蓄えてきたその記憶が、死ぬと同時にすべてなくなってしまうなんて、そんな悲しいことはない。せっかくなら、死んだあとでもそれらの宝物は次回に繰り越せる…来世に持っていける…と考えたほうが、虚しい人生を送らずに済むと思うのだ。

第一、そのほうが犯罪だって減る気がする。悪事を働く輩は大概、刹那的な人生観を持っていることが多いからだ。この世限りの人生だから、自分の好き勝手に生きようじゃないか。どうせ死んだら何もかも終わりなんだから、バレなければ何をやってもいいんだ、と。皆が皆こんな考え方で生きていたら、世の中だって殺伐としてくるだろう。

最近、ふと思うことがある。もしかして“個性”というのは、この魂の記憶なんじゃないかと。私が私として生まれる前の過去、前世というものを何回繰り返して来たのか判らないが、前の人生での経験の積み重ねが、個性というものを形成しているんじゃないかと。後天的要因として、生まれ育った環境や経験に因るところもあるだろうが、先天的要因としては、この魂の記憶こそが個性を形作っているんじゃないかと。だって、両親には似ずに、しかもその方面の環境にも恵まれずに育ったにも関わらず、なぜか得意なことがあるんだもの。

といいつつ、本作の結末は輪廻肯定論と否定論 どちらにもとれる結末になっている。大胆なショートヘアに変身したニコール・キッドマンの繊細な心理演技もさることながら、互角の共演ぶりを見せる少年役のキャメロン・ブライト(ex.『X-MEN ファイナルディシジョン』)も堂々の演技だ。果たして、少年は本当に夫の生まれ変わりなのだろうか?

記憶の棘 オリジナル・バージョン(DVD)
監督:ジョナサン・グレイザー
脚本:ジョナサン・グレイザー
出演:ニコール・キッドマン/キャメロン・ブライト/ローレン・バコール
ジャンル:洋画

© 2004 NEW LINE PRODUCTION INC.















エンタメ シネマピア   記:  2006 / 09 / 26

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