シネマピア

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

【善悪をないまぜにする恐ろしさ】

日本の教育現場で深刻な問題となっている“いじめ”。最近では、いじめ問題の発覚によって自らの指導能力のなさが露呈することを恐れ、教育現場側がいじめの事実を「なかったこと」として処理し、挙句の果てには「被害者にも悪い部分があった」「いじめなどない。被害者は嘘をついている」などとして、本来は加害者が被害者に謝らなければいけないところを、逆に被害者が加害者へ謝罪することを強要するなどの“いじめ隠蔽”が問題視されている。

「悪いこと」をされて心が傷ついているのに、それどころか自分は何も「悪いこと」などしていないのに、「みんな仲良く」などの耳障りのいい言葉で「悪の事実」を誤魔化され、言葉巧みに自分が悪者に仕立て上げられ、謝罪まで要求される。子どもたちだけでなく、被害者の親にもそのやり方を押し付ける。暴行罪の被害者が、「あなたも悪いところがあったのだから、加害者に謝りなさい」と言われ、頭を下げさせられるようなものだ。これを、学校側をはじめ教育委員会までもがグルになってやっているというのだから、行き場のないいじめ被害者が自殺を考えてしまうのも無理のない話だ。善と悪の立場が逆転した、まさに地獄の様相としかいえない。

本作でも、闇の帝王が甦った事実を学校側は認めようとせず、“真実”を知っているハリーを嘘つき呼ばわりする。悪を悪として認識しないでいるとどうなるか? 悪は堂々と活躍の場を与えられてしまい、我がもの顔でのさばり始める。一方、善は逆に動きを止められ、悪事の広がりに、ただなす術もなく立ち尽くすばかりだ。病原菌が体内に入っても「これは病気ではない」として治療を始めなければ、病は立ち所に体中を蝕み、手の施しようがなくなるだろう。
善悪をないまぜにすることほど恐ろしいものはない。善は善として、悪は悪としてきっちりと見極め、適切な処置を施すことは、この世界をよりよい世界にしていくために我々が日々なさねばならない義務でもあろう。また、あきらかに“暴力”などの判断しやすい悪だけでなく、本当の悪は言葉巧みに善の顔をしていたりする。本作での学校側の見解のように、「闇など甦っていない」とすれば印象はいいし、あたかも平和が訪れるような気もする。だが、事実は事実だ。悪を振り分ける知恵を持ち、勇気を持って戦うこと…子どもたちだけでなく、大人の世界にも必要なことを、本作は教えてくれるのだ。

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(Blu-ray)
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 第五巻 上下巻2冊セット(単行本)
原作:J.K.ローリング
監督:デイビッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ /ルパート・グリント /エマ・ワトソン
ジャンル:洋画
公式サイト:http://harrypotter.jp.warnerbros.com/















エンタメ シネマピア   記:  2007 / 07 / 12

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