シネマピア

ビー・デビル

20110330picm.jpg 東北関東大震災の影響はまだまだ収まらず、公開延期になる作品も後を絶たない。
災害を連想させるシーンがある作品や、そうしたシーンがなくともポジティブではない印象を抱かせると懸念される作品、そして大スターが主演のため、本来なら多大な動員が見込めるはずなので然るべき時期に延期して確実な黒字を確保したい作品……
そうしたところが延期の主な理由だろうか。逆に、大手配給ではないのでこの1本がコケたら配給や宣伝会社もろとも経営が立ち行かなくなり、社員らに経済的な二次被害をもたらしかねない作品は、内容に左右されずとも公開に踏み切るだろう。

20110330pic1.jpg 本作は一見、ネガティブなメッセージを発する作品かのように推察される。だがその本質には、今回の震災の真っ只中にいる我々に必要不可欠なメッセージが込められているのだ。

ソウルの銀行員ヘウォンは都会生活に疲れきり、幼いころに暮らした小さな島を再び訪れる。自然に囲まれた絶海の孤島にはたった9人だけが暮らしており、幼馴染のキムが人懐っこい笑顔で迎えてくれた。だがその実、キムは島民全員から日常的に虐待を受けていた……。

氷の彫刻のような美貌のヘウォンに対し、野生の果実のようなたくましい美しさのキム。そして美しい自然の風景の中で繰り広げられる、かくも醜い人間の所業の数々。その見事な対比と詳細な人間描写が本作の狂気の純度をこれ以上ないほどに高めていき、加害者が行なう行為が“正しい”ことのようにも思えてきてしまうのだ。

本作に登場する一部の人物らは、他人の不幸を見て見ぬふりをし、自らの生活、生き方を確保することを第一優先とする。傍観者であることは一見、自分の身を守るかのようだ。だが事態は一転し、傍観者であるが“ゆえに”その悲劇は訪れる。被災地のニュースを横目で見ながら、様々な食品やガソリン、飲み水を買い占める人々は、本作の“傍観者”を見て何を思うだろうか。

20110330pic2.jpg 残念ながら、よくありがちなスプラッタでの非現実的な描写がないわけではない。細かな描写は驚くほどリアルで思わず目をそむけてしまうのだが、力学を無視した攻撃方法も少々見受けられた。
また、「夢落ちか?」と見紛うばかりのぶった切られたストーリー展開には驚いてしまったし、被害者が加害者に転じる瞬間についても、少々消化不良の感は否めない。だが、偶然にもこの時期に、これほど的確なメッセージ性を持った作品が公開されるというのはまさに奇跡的でもある……と言ったら言い過ぎだろうか。

経済が滞れば国全体が衰退してしまう。被災地への募金以外でお金を使うことは何やら悪いことのような風潮もなきにしもあらずだが、国が滅んでは援助さえ不可能になってしまう。劇場に足を運ぶのは経済復興のためにも決して悪いことではない。
観たいと思ったら観る、それが映画の鉄則。放射能騒ぎで情報被曝するよりも、良質な映画を観て心を潤すほうが余程有意義な時間の使い方だろう。


ビー・デビル(DVD)
監督:チャン・チョルス
脚本:チェ・クァンヨン
出演:ソ・ヨンヒ/チ・ソンウォン
提供・配給:キングレコード
ジャンル:洋画
公式サイト:http://www.kingrecords.co.jp/bedevil/

© 2010 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved















エンタメ シネマピア   記:  2011 / 03 / 29

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