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愚行録

GUKO_17021501.jpg 一年前の一家惨殺事件、真相を探る週刊誌記者、記者自身の家族の問題。表向きはごく普通の人々だが、それぞれの人間が持つ裏の顔が徐々にあぶり出されていく……! イヤミス(イヤな気持ちになるミステリー)の先駆者、貫井徳郎の大ヒット小説にして映像化不可能とまで言われた名作を、妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美ら豪華俳優陣を迎え実写化。本作が長編映画デビューとなる石川慶が、ロマン・ポランスキーらを輩出したポーランド国立映画大学で培った技術で色調の細部にまでもこだわり、原作に忠実に、かつ映画オリジナルの描写も加え、観る者の心をえぐる陰鬱な筆致で監督した大傑作。ベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門正式上映作品。

高級住宅地で起こった、一家惨殺事件。一年前から未だ犯人が見つかっていない未解決事件の真相を記事にすべく、週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は取材を開始する。殺された夫(小出恵介)の同僚(眞島秀和)、妻の大学の同期生(臼田あさ美)、その同期生の元恋人(中村倫也)。それとは別に、田中自身が妹(満島ひかり)の問題を抱えていたが……。

GUKO_17021502.jpg 特筆すべきは満島ひかりだ。役そのものと化した、神がかり的な演技。本人は演技している感覚はなく、役になりきっているだけなのだろうが、それがもう役者として一流といわしめる所以だ。本作で、満島は映画界の究極の至宝となった。一方、兄役の妻夫木もまた、『悪人』の頃とは別人のような段違いの演技を見せる。

まさに、心をえぐられるとはこのことだ。観客の多くがこの登場人物のうちの誰かの境遇に位置づけられるだろう。彼らの誰にも共感を覚えないような人は、それはそれは幸せな人生を送ってきたのだろうから、本作を観ても何も心動かされることなく、「つまらない作品」として一笑できてしまうのだろう。または、人間社会のヒエラルキーの上部に生まれ育った人ならば、本作の顛末を不服とし、無意識に「つまらない」との判断を下すかもしれない(実際、試写後に「つまらない」ふうな会話をしていた女性二人連れは、若くして上品で高級そうなお召し物を身にまとっていた)。

だが、ヒエラルキーとは正三角形だ。上部の人口は少なく、続いて中部、下部に行くにつれて人口が多くなる。観客としての人口割合も圧倒的に中部、下部が多いだろう。本作を観て心を動かされるのは、圧倒的にその中部、下部の人たちだ。私とて例外ではない。だが果たして、ヒエラルキー上部出身で作品の根幹が分からない人たちと、中部以下の出身でも本作の言わんとすることがつぶさに分かる人たちと、どちらが「心」は幸せだろうか。

小説が原作の本作は、小説のように「行間」を読むことが必須スキルとなる。分かりやすいテレビドラマのように、セリフですべてを説明することはない。登場人物の表情であったり、ちょっとした仕草であったり、間接的な言い回しこそが物語の核心を伝える。瞬きさえも惜しいほど、密度濃く流れていく時間芸術だ。

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原作:『愚行録』貫井徳郎
監督:石川 慶
脚本:向井康介
出演:妻夫木 聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜、中村倫也、眞島秀和、濱田マリ、平田 満
配給:ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野
公式サイト:gukoroku.jp
公開:2月18日(土)全国ロードショー

©2017「愚行録」製作委員会
 














エンタメ シネマピア   記:  2017 / 02 / 15

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