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アリー/スター誕生

ASIB_1812_001.jpg その出会いは彼女の人生を変えた......! 世界各国の映画祭で大絶賛されている本作は、『スタア誕生』(1937年)の4度目のリメイク作。レディー・ガガ初主演、ブラッドリー・クーパー初監督による壮大な感動エンターテインメントの大傑作だ。
三十路も過ぎ、歌手への夢を半ば諦めながらレストランでウエイトレスとして働くアリー(レディー・ガガ)。彼女が場末のドラァグ・バーでの短いパフォーマンスを終えると、国民的人気を誇るミュージシャンのジャクソン(ブラッドリー・クーパー)がアリーの楽屋を訪ねてくる。にわかには信じられない事態に、アリーは慌てふためくが......。

これ以上カンペキな映画が他にあるだろうか? こんなに心から涙がしたたり落ちた映画も久しぶりだ。初監督にしてこれとは、ブラッドリー・クーパー、あなたは天才か? いや、疑問形にするのは失礼だ。断言しよう。あなたは紛れもなく天才だ。
例を挙げればきりがないが、序盤でアリーの心がジャクソンに揺れる瞬間のシーン。そう、人は恋に落ちる時、そんなふうにまるで時間が止まるような、世界中に自分たち2人しかいないような錯覚に陥る。それを言葉を使わずに、役者の表情とカメラワークだけで表現するとは。女性ならあたかも自分自身がアリーになったかのような、男性ならジャクソンになったかのような、完全にそんな気分になれる。文字通り、観客が役に自分自身を投影してしまえるのだ。

当初、本作の監督はクリント・イーストウッド、主演はビヨンセで進んでいたが、ビヨンセの妊娠とイーストウッドへの政治的見解の違いからビヨンセが降板。その後イーストウッドも監督を降り、ビヨンセの相手役だったクーパーが監督を務めることとなったという経緯がある。
クーパーとガガの出会いは劇的だ。セレブが集うチャリティパーティーでガガの歌に感銘を受けたクーパーが、翌日ガガ宅を訪れ出演を依頼したという。まさに本作そのもののシンデレラ・ストーリーがこの映画の裏側で起きていたのだ。更に、そのイベントで歌われた曲は、劇中でジャクソンがアリーの歌を初めて聴く曲に採用されている。まるでドキュメンタリーのように、現実で起きたことをそのまま本編に当てはめているのだ。

とはいえ、映画製作側はアリー役のガガ起用に最初から乗り気というわけではなかった。だが、ガガの才能に惚れ込んだクーパーが彼女とのデモ演奏の動画を製作側に見せるなどの猛プッシュが功を奏し、ようやくアリー役をガガに据えることができたという。俳優業も監督業も今や超一流となったクーパーですら、最初からすべてが思い通りに進んでいたというわけではないのだ。信念を貫き通すためには、地道な努力と、受け身ではなく積極的なアプローチが必要だということを、このエピソードは教えてくれる。

ASIB_1812_002.jpg キャスティングが発表された際、批評家の中にはガガ起用を批判する向きもあった。役者ではなくそもそもミュージシャンで、TVドラマの出演しか演技経験がないガガにそんな大作の主演が務まるのか、不安に思うのも無理もない。だが、いざ作品が出来上がったらそうした御仁たちも手のひらを反し、今や大絶賛に転じている。まるで007シリーズで新ボンド役にダニエル・クレイグが起用された時のようだ。あの時も、クレイグ起用は散々な言われようだったが、作品が完成するや否や批判は絶賛に転じた。それと同じ現象が、今、ガガの身に起きているのだ。

レディー・ガガの演技力も、初主演とは思えないほど素晴らしく完璧だ。最初は垢抜けずに自信のない素人だったアリーが、華やかなオーラで人々を魅了するスターへと徐々に変貌を遂げていく。ちなみにガガ自身、ミュージシャンになる前は役者志望だったそうだ。そうした若い頃からの目には見えない努力の積み重ねが、今こうして花開いたのだろう。実に素晴らしい花だ。実に美しい花だ。

劇中でガガとクーパーが歌うすべてのボーカルは、口パクではなく、全部が全部生演奏で生収録だという。逆に、バンドの楽器演奏の方がアテブリ、すなわち演奏しているふりなのだ(実は日本の音楽番組でも、歌はナマなのに楽器のほうが「エア」なことがよくある)。それを知れば俄然、サウンドトラック盤も欲しくなってしまう。

ライブシーンの中にはガガのファンをエキストラとして撮影したものもあるが、数万人の観客の前で演奏するシーンは、エキストラを使わず、実際に開催されていたコーチェラ音楽祭等の大規模フェスでゲリラ的に行われたものもある。フェスの観客の前で何の告知も前触れもなく突然ブラッドリー・クーパーがステージに立ち、パフォーマンスを行い、それを撮影したのだ。居合わせた観客は驚いただろうが、しかしラッキーだったろう。

本年度アカデミー賞最有力の呼び声も高い本作。各部門最多ノミネートになることは容易に予想できる。本作は監督賞と脚本賞、主演男優賞、主演女優賞を獲る! と私は予想しておこう。当たりますように......。



監督・脚本・製作:ブラッドリー・クーパー
脚本:エリック・ロス
出演:ブラッドリー・クーパー(『アメリカン・スナイパー』)、レディー・ガガ、アンドリュー・ダイス・クレイ(『ブルー・ジャスミン』)、デイブ・シャペル(『コン・エアー』『ユー・ガット・メール』)、サム・エリオット(『マイレージ、マイライフ』)
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:12月21日(金)全国ロードショー
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/starisborn/

© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
 














エンタメ シネマピア   記:  2018 / 12 / 17

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