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アップグレード

UPGRADE_001.jpg 究極の進化を遂げたAI(人工知能)は、果たして男の人生を救うのか? それとも破壊するのか? 2018年サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)のミッドナイターズ部門、そして第51回シッチェス・カタロニア国際映画祭のオフィシャル・ファンタスティック・コンペティション部門で、ともに観客から絶大な支持を受け観客賞受賞となった本作は、『ソウ』シリーズの脚本家であり、『インシディアス 序章』で監督デビューを果たしたリー・ワネルが脚本も手がけた監督2作目。人類にとって決して遠い未来ではない、すぐそこに手が届きそうな近い将来の恐怖を、ユーモアとウィットたっぷりに描きだすSFアクション・ミステリー。

AI搭載の自動運転の車が道路を行き交う近未来。自宅であえての手動運転車、ビンテージカーの修理業を営む男グレイは、AIの台頭は自分の仕事を奪う……と危惧を抱きつつ、妻と2人で仲睦まじく暮らしていた。ある日、不死鳥・火の鳥の名を持つビンテージカー“ファイアー・バード”の納車のため、巨大IT企業の経営者のもとに向かったグレイだったが……。

UPGRADE_002.jpg 本作は、できるだけ前知識なしで観ていただいた方が、その面白さを最大限に享受することができる。予告編もオフィシャルサイトにあるあらすじも、できるだけ頭にインプットしないように、だ。その前提があるから、実は先ほど私が書いたあらすじはオフィシャルの方で明かされている内容は極力書かず、事前に知っても鑑賞に差支えのない内容だけにしてある。映画宣伝の側としてはある程度どういった傾向の作品なのかを明示しなければ集客には繋がらないという面もあるのでそのあたりはジレンマになってしまうだろうが、偶然にも本作に関する情報は本記事が最初だったという方は、オフィシャルサイトや他のレビュー記事をご覧になるのは本作鑑賞後をお薦めする。本作はラストのみならず、ストーリーの大半が「ネタ」なので、「ネタバレ」は最大限避けたいところであるのだ。

いつものようにメイクも中途半端のままバタバタしながら試写状を手に慌てて試写に出かけた私は、幸いにもというかなんというか、ほとんど前知識なしで本作に臨むことができた。で、ドッカーンと笑い、驚き、画面に釘付けのまま上映時間の100分を終えることが出来たのである。この感動を、これを読んでくださっているあなたにも是非! な心境なのである。

ということで、作品の中身には極力触れずに周辺情報をメインに紹介していこう。監督・脚本は前述のとおり『ソウ』シリーズのリー・ワネル。自らも俳優としてスクリーンで演技を披露するだけあり、脚本の台詞すべて、役者の演技ひとつひとつに無駄がないのに遊びがあり、観客としては終始ニマニマしながら作品に没頭することができる。製作は『ゲット・アウト』で各賞を総なめにし、映画ファンの心を鷲掴みにしたジェイソン・ブラム。主演は『プロメテウス』のローガン・マーシャル=グリーン。その才能を発揮して見事に難しい役どころを演じきる。そして、やはり『ゲット・アウト』で家政婦役を演じ、ぬるっとした強烈な存在感を知らしめたベッティ・ガブリエルは、本作では刑事役として出演。

死んでしまったネタの命が生き返ることは決してないので、もともとネタバレには多大な注意を払いつつ映画紹介をしてきた私だが、中でも本作はネタバレさせない率トップ5に入るレビューだっただろう。誰もが知る大スター級のセレブ俳優の出演こそないが、だから何だ? 脚本と演出と役者の力と……、すべての作品力で「めっっっちゃくちゃ面白かった!」と心から思えた本作。是非、劇場の大スクリーンでご覧いただきたい。




監督・脚本:リー・ワネル
製作:ジェイソン・ブラム
出演:ローガン・マーシャル=グリーン、メラニー・バレイヨ、スティーブ・ダニエルセン、アビー・クレイデン、ハリソン・ギルバートソン、ベネディクト・ハーディ
配給:パルコ
公式サイト:UPGRADE-MOVIE.JP
公開:10月11日(金)より渋谷シネクイントほか全国ロードショー

© 2018 UNIVERSAL STUDIOS
 














エンタメ シネマピア   記:  2019 / 09 / 09

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