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【新着情報】だってしょうがないじゃない

datte_001.jpg 坪田義史監督の最新作、ドキュメンタリー映画「だってしょうがないじゃない」が11月2日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開となり、さらに10月3日から開催される釡山国際映画祭のWIDE ANGLE部門でのワールドプレミアが決定した。
発達障害を抱えながら独居生活を送る叔父の日常を、発達障害と診断された映画監督が三年間撮り続けたドキュメンタリー映画。
各界の著名人の方々からたくさんのコメントを寄せていただいた。

■ストーリー
精神に不調をきたした映画監督/坪田義史が精神科で問診を受けたところ発達障害のグループの一つである「ADHD/注意欠如多動性障害」に適合すると診断を受け、親類に広汎性発達障害を持ちながら一人暮らしをする叔父さん(まことさん)の存在を知る。坪田は衝動的にカメラを持って会いにいく。以降3年間、まことさんとの交流を深めていく中で「親亡き後の障害者の自立の困難さ」や「知的障害者の自己決定や意思決定の尊重」「8050問題に伴う住居課題」などの問題に直面していく。

datte_002.jpg ■監督/プロフィール
坪田義史(つぼたよしふみ)

1975年、神奈川県出身。多摩美術大学映像演劇学部在学中に制作した『でかいメガネ』がイメージフォーラム・フェスティバル2000で大賞を受賞。2009年には、『美代子阿佐ヶ谷気分』(英題:MIYOKO)で、劇場デビュー。第39回ロッテルダム国際映画祭コンペティション部門「VPROタイガー・アワード」選出。イタリア・第46回ペサロ映画祭 審査員特別賞受賞。韓国・Cinema Digital Seoul映画祭、Blue Chameleon Award(批評家連盟賞)、Movie Collage Award(観客賞)をダブル受賞。ポルトガル・2011 FANTASPORTO映画祭 特別賞、最優秀脚色賞をダブル受賞。主演女優の町田マリーが、第31回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞、第19回 日本映画プロフェッショナル大賞新人 奨励賞受賞。また、韓国・ソウルの映画館CGVにて「美代子阿佐ヶ谷気分」(英題「MIYOKO」)劇場公開する。2012年 文化庁在外芸術家派遣によりNYで一年間活動。2016年2月、リリー・フランキー主演映画『シェル・コレクター』(監督・脚本) テアトル新宿、桜坂劇場他、全国42カ所で公開。本作『だってしょうがないじゃない』は初の長編ドキュメンタリー作品となる。

■主な出演者/プロフィール
大原 信(おおはらまこと)

神奈川県藤沢市辻堂出身。中学を卒業後、名古屋にて溶接工などの職を転々とした後、二十歳を越えた頃自衛隊(北富士演習所)に入隊。数年間勤務したが、父親の他界を機に、地元・辻堂へ戻り、以後40年間、母・辰子さんと二人きりで過ごすことになる。8年前に辰子さんが他界。成年後見人の叔母のすすめで病院へ行き、広汎性発達障害と軽度の知的障害を伴う自閉症との診断を受け、現在は障害者年金二級を受給しながら暮らしている。

■監督の言葉
僕の親戚の叔父さん、まことさんと出会ってから約三年の月日があっという間に過ぎました。 まことさんを被写体にしたい。その衝動にかられ、やたらとこだわりが強く偏った僕の視線は、まことさんのどこまでも純粋な感性に触れるとともに、フレームに収まりきらない、そのありのままの姿に惹かれ、まことさんの見つめる世界をもっと知りたくなりました。
当時の僕は、鬱や不眠に悩み、眠剤と安定剤欲しさに精神科を受診したところ、注意欠如多動性障害との診断を受け、破れかぶれの状態でした。そんな危うい状況のもと、撮影に及ぶ僕を、広汎性発達障害を抱え障害年金を受給するまことさんは「義史さん」と呼び、穏やかな表情で、カメラを持つ自分を受け入れてくれました。毎度、取材を終えた別れ際の玄関先では、必ず「またね」と言って自ら手を差し出して握手をしてくれたまことさん。本作「だってしょうがないじゃない」は、被写体のまことさんの協力なしでは、成立しえなかった作品です。
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさによるもので、症状は人それぞれ違います。その性質の違いを発達の凸凹(でこぼこ)と表すことがあります。この凸凹の差が大きく日常生活に支障をきたしている状態であれば「障害」となり、ほかの能力でカバーできていれば「個性」として捉えることもできます。
発達障害を生き抜く為には、誰もが自分らしくいられる社会が必要です。 本作『だってしょうがないじゃない』は、今後の上映活動を通して、見た目では分かりづらい発達障害の「社会的受容性」への契機にしていきたいと考えています。僕は、これからも、まことさんに会いに行きます。 
 監督 坪田義史    

■著名人コメント
・リリー・フランキー

幸福というものを求めて、前に前にと歩んできた僕らは、
もしかしたらとっくにその場所を通り過ぎていたのかもしれない。
この映画を観て、何故だかそう思った。
・谷川 俊太郎(詩人)
見終わった瞬間、これからまことさんはどうするんだろう、どうなるんだろうと、
他人事でなく心配になりました。映画のリアルと私自身の日々の現実がシンクロしたんです。
・諏訪 敦彦(映画監督)
誰かを撮影したいと思い、カメラを向けることは、それがどんな相手であってもある種の愛の行為であると私は思う。その笑顔に魅せられて「彼の見る世界を知りたくなった」と人間味に満ちた友情の物語が紡がれてゆくが、ふと物語が消え、カメラが立ち尽くし、黙ってただ彼を見つめるしかない瞬間が何度も到来する。その時カメラが発見しているのは決して語ることのできない何かである。カメラは語るのではなく、ただすべてを肯定するのだ。そしてその何かが知らぬ間に成長し、ドキュメンタリーとかフィクションも関係なく、信じがたい純粋なイメージとなって立ち上がる瞬間が訪れる。まことさんはひとりである。そしてまことさんはひとりではない。そのことを私たちは知る。それは恐ろしくも美しい映画の結晶のような瞬間だった。
・原 美樹子(写真家)
身の回りの事々を執り行うまことさんの一つ一つの所作の美しさ、確かさに、まことさん自身が在り、お母さんが在る。まことさんの存在は、かつてお母さんの日々のよすがでありつづけ、そして、今は、生きづらさを抱えた監督さんの創造のよすがとなる。世の中捨てたもんじゃないなと思う。まことさんと監督さんの「しあわせ」を、二人とともに、星に願う。
・綾屋 紗月(自閉スペクトラム症者/東京大学先端科学技術研究センター特任研究員/
おとえもじて(発達障害者が運営・参加する当事者研究会)代表)

慎重に繰り返される自己身体やモノとの微調整が「こだわりが強い」と呼ばれてしまうこと。その微調整の積み重ねがいっぱい詰まった、ささやかな生活習慣と環境から引きはがされる不安と痛み。それらは “自閉症”とされる人間に限った特徴ではなく、多かれ少なかれ誰しもが持つ感覚であることを、「まことさん」の日常を繊細に伝えるこの作品を通して、多くの“健常者”が気づかされることだろう。
・稲葉 俊郎(東京大学医学部付属病院 循環器内科 助教)
発達障害とされる人たちは、ゆっくりゆっくりと自分のペースで発達する人たちだ。慌ただしいスピード社会からはじき飛ばされて困っている。植物は引っ張っても伸びない。サンサンと照る太陽の光と、適量な水と、根を張る大地とが必要なだけだ。植物原理で生きる人たちも、光と水と土地を求めている。儀式のような日々の暮らしは、社会の歪みのバランスをとる神事のように見えた。わたしたちはその神事に参加できているだろうか。
・森 達也(映画監督・作家)
この題材で映画として成立するのか。そう危ぶみながら観た。杞憂だった。目を離せない。でもラスト近く、撮る側の意図が透けて見え始めた。作品の危うさとエゴと被写体への加害性。同業者として正視はつらい。目をそむけたくなる。あなたにはそれも含めて観てほしい。
・栗栖 良依(SLOW LABEL ディレクター)
観ているうちに、主人公のまことさんに対する尊敬の念が芽生えてくるとともに、「障害って何だろう?」と改めて考えさせられる作品です。わたしたちは「常識」なんてつまらない概念を捨てるべきときに来ていると思うのです。作品の中で、まことさんと坪田監督が「幸せになりたい」と願う場面がありますが・・・「じゅうぶん、幸せそうですけど!?」って叫びたいです!
・松浦 祐也(俳優)
どうしたんだよ坪田さん!もっと傲慢で吐き気するくらいの露悪的な映画にすりゃあいいじゃない!「だってしょうがないじゃない」って何よ!言い訳がましい事やらんでよ!続編観たいよ坪田さん、、、。映画を観終わり消化できないモヤモヤした感情とやるせなさが噴出してから、ふと思う。坪田さんやまことさんと同じように宿題だらけの自分の家族のことや親族のこと、社会のこと。むむ、なんだか色んなことを考えさせられちまうナ。畜生!坪田さんよ!これがあんたのやり方かよ!畜生め!しょうがねぇからもう一度観る!
・渡辺 篤(現代美術家)
発達障害を持つ"おじさん"を見つめ続ける監督の目は、ゆったりと優しい。ありのまま存在を肯定する眼差しだ。 カメラは時として人の営みを搾取し傷ける。けれどもカメラは人に寄り添う事の出来る眼差しでもあると知らされる。おじさんに向けられた眼差しは、そこに監督自身を投影し、自らを知る探求にも進む。 映像を見つめる私たちは、これまで他者にどんな眼差しを向けてきたのだろう。そしてどんな眼差しを求めてきたのだろう。
・姫野 桂(フリーライター)
淡々とした一見「普通」の日常でも、全員が全員、見ている世界が同じなわけではない。広汎性発達障害のあるまことさんの、私には見えていない世界が、ほんの少し垣間見えた気がする。本作品ではまことさんが毎日入浴しなかったり、洗濯をしなかったりすることを監督が問いただす場面があるが、もしかするとそれは、我々が洗脳されているだけなのではないか、必用以上に「普通」にとらわれ過ぎているのではないかと考えさせられた。

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邦題:「だってしょうがないじゃない」 
英題:「What can you do about it」
※本作はバリアフリー字幕が付いています
製作:サンディ株式会社
制作プロダクション:サンディ株式会社
企画・監督:坪田義史
プロデューサー:柏田洋平
制作プロデューサー:池田将
制作:平岩大知 バイロン・グールド
撮影:坪田義史 池田将 和島香太郎
編集:和島香太郎 坪田義史
編集協力:柏屋拓哉
音楽:宇波拓
アニメーション:つのだふむ
作画:坪田義史 坪田達義
音響:今村左悶
英語字幕:高間裕子 石井 美和
英語字幕協力:Byron Gould
バリアフリー字幕監修:Sasa/Marie
メインビジュアル提供:篠田太郎 MISA SHIN GALLERY
宣伝美術:原田光丞
宣伝協力:きつねうさこ 洋洋 伊藤尚哉
出演:
大原信 坪田義史 木村真智子 木村義則 坪田達義 坪田洋子 坪田正子 
関美晴 三澤直子 岩瀬一郎 大澤健二 寺島薫 長岡由生 柴田浩生 関根幹司
協力:
パークサイド柴田メンタルクリニック 社会福祉法人 藤沢育成会・ふらっと
特定非営利活動法人ワーカーズ・コレクティブ実結 藤沢市役所
studio COOCA(スタジオ・クーカ) シーアンドアイ そば処金太郎
富士ガーデン湘南パール
助成:
文化庁文化芸術振興費補助金
ACY アーツコミッション・ヨコハマ
公式サイト: datte-movie.com
公開:2019年11月2日(土) ポレポレ東中野ほか全国順次公開!!
 















エンタメ シネマピア    2019 / 09 / 19

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