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HUMAN LOST 人間失格

HUMANLOST_001.jpg 「恥の多い生涯を送ってきました」……太宰治の「人間失格」を原案に、全人間が死ねない体となった世界を描くSFアクション大作。明治の文豪による日本文学の最高峰と、今も高度に進化し続けるジャパニーズアニメーションのエリートたちとの融合が、新たな世界観を、そして新たな絶望を観る者の心に叩きつける。

昭和111年、東京。医療の進歩により死を克服した人類は、120歳の無病長寿を約束された人々で満ち溢れ、幸福な生活を送っているはずだった。しかし、その生活スタイルと社会構造は常にゆがんだ構造を内包しており、自分の存在価値を求めて精神のみならず肉体にも異常をきたす者が少なからず存在していた……。

太宰とSFの融合。一見、奇想天外かに思えたこのアイデアは、現代日本が抱える格差社会、年金問題、高齢化社会、そうした“現代日本”の様々な問題を示唆しつつ、ストーリー全体が社会風刺を孕むかのように推移していく。

各キャラクターの造形を含む作画の美しさが水準以上なのは勿論、日本のアニメーション業界の精鋭たちが集結してのことだから当たり前といえば当たり前のことなのだろう。ここで何か動きが不自然だったり、デッサンの狂い等があったりすればそれらが気になって気になって作品そのものに没頭できないのだから、当たり前のこととはいえここは重要なポイントだ。劇場公開作品にはあまりないことだが、テレビ用のアニメには時々そうした興醒めなシーンが紛れ込んでいる。本作には一瞬たりともそうした不自然な動きがない。人間が人間として動き、太宰の「人間失格」よろしく、頭を抱えたくなるような絶望が如実に伝わってくる。

HUMANLOST_002.jpg 『AKIRA』や『攻殻機動隊』を彷彿とさせる世界観とストーリー展開の中、太宰のあの救いのない物語のように、本作もまた人間たちが奈落の底に落ち続ける。だが、本作で示される人類のこの不幸は、果たして本当に不幸なのだろうか。先の見えない不幸な文明を破壊することは、果たして悪なのだろうか。既得権益にしがみつき、自分たちさえ良ければ他はどんなに不幸でも構わない……そう思う一部の人々に操られた社会を破壊することは、悪なのだろうか。

かくして、壮大すぎるテーマかと思われた本作は、我々ひとりひとりの立ち位置に降りて来て刃を突きつけ、問いかける。あなたの住むその社会、それは今そのままでいいのかと。生きてさえいられればそれでいいのかと。

現状維持であればそれでいい、自分たちの世代に明るい希望などない……そう考える若者世代の心に燃える火を灯し、社会を変えようと立ち上がってくれる、本作がそうしたきっかけになるのではないか。そんな風に思わせてくれた、“希望”ある作品だ。

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原案: 太宰治「人間失格」より
監督:木?文智
スーパーバイザー:本広克行
ストーリー原案・脚本: 冲方 丁
声の出演:
宮野真守、花澤香菜、櫻井孝宏、福山 潤、松田健一郎、小山力也、沢城みゆき
配給: 東宝映像事業部
公式サイト:human-lost.jp
公開:11月29日(金)全国公開

©2019 HUMAN LOST Project
 














エンタメ シネマピア   記:  2019 / 11 / 08

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