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【映画レビュー】あのこは貴族

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この世界には、目には見えない階層がある……。東京の上流家庭に生まれ、何不自由なく育った「箱入り娘」と、地方で死に物狂いで勉強し、見事名門大学に入学が叶いオノボリサンとなった「上京組」。二人の女性の人生が交差するとき、それぞれの人生は少しずつ軌道を変えていく……! 「箱入り娘」役には、本年度NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」のヒロイン、門脇麦。一方、地方からの「上京組」には、女優、モデル、デザイナーと多彩な才能を発揮する水原希子。真逆な境遇の二人を、それぞれベクトルの違う煌めきを放つ二人の女優のダブル主演で綴る、シスターフッドムービー。

東京の上流家庭に生まれ育った華子(門脇麦)は、20代後半のお年頃女子。幸せな結婚を夢見て、良家の縁から様々な男性と見合いをするが、なかなか理想の人とは出会えない。そんなある日、義兄からの紹介で出会った幸一郎(高良健吾)に一目惚れ。お付き合いが始まり、幸せな日々を送る華子だったが、ある夜、幸一郎のスマホに届いたメッセージを偶然目にしてしまう。一方、富山に生まれた美紀(水原希子)は、猛勉強の末に名門大学に合格し、上京。だが、実家の貧しさゆえにバイトで学費と生活費を稼ぐ日々に追われ……。

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ちなみに私はといえば、上京組だ。作詞家になりたくて新潟から上京し、仮歌のバイトをするうちに初めて参加した作詞コンペで採用されて作詞家デビューを果たし、今に至る。だが、本作の美紀と同様、地方の実家は裕福ではない。「あちら」の世界に行きたい行きたいと思いながら、未だに行けていない。貧しい生まれで成功した人といえばアンミカの例もあるのだから、私にはまだまだ頑張りやその他いろんなものが足りていないのだろう。だから水原希子演じる美紀には共感しまくりなのである。

折しも東京オリンピックの森会長の女性蔑視発言が、国内のみならず海外にも大きな波紋を広げている。本作はその森氏がいうところの女性に焦点を当てた作品でもある。女性だからという理由で、本作の登場人物たちもいわゆる女性の役割を押し付けられ、苦悩する。それは上京組であろうと貴族の側であろうとお構いなしに、ある時はあからさまに、ある時は真綿で締め付けるかのように、周囲は彼女たちに「女性」の役割を押し付ける。それぞれの人生にそれぞれの希望や理想があったとしても、だ。

だが、そうしたことは同時に男性にも起こりうる。本作でも、幸一郎がそのいい例となって描かれる。彼がのちに歩むことになるその道は、果たして彼が本心で望んでいたものだったのだろうか。男性であるから、あるいは女性であるから、こうあらねばならない、こうすべきである……目下流行りのAdoが歌う「うっせぇわ」のように、そうしたしがらみは現時点では私たちの世界からなくなってはいない。

そんなしがらみから解放される日は、果たして来るのか。「貴族」でさえも縛られる見えない糸を、私たちは断ち切ることができるのか。答えは華子や美紀が選んだ道の中にこそ、あるのだろう。


監督・脚本:岨手由貴子
出演:門脇麦、水原希子、高良健吾、石橋静河、山下リオ、佐戸井けん太、篠原ゆき子、石橋けい、山中崇、高橋ひとみ、津嘉山正種、銀粉蝶
原作:山内マリコ「あのこは貴族」(集英社文庫刊)
配給:東京テアトル/バンダイナムコアーツ
公開:2021年2月26日(金)全国公開
公式サイト:anokohakizoku-movie.com 

© 山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会

 


記:林田久美子  2020 / 02 / 09











エンタメ シネマピア   記:  2021 / 02 / 10

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