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【映画レビュー】ロックダウン・ホテル/死・霊・感・染

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致死ウイルス蔓延?! とある一軒のホテルを訪れた宿泊客たちに、次々と異変が起こり始める! 釈由美子の世界進出第1弾となる本作は、コロナ前の2019年1月に撮影されたにも関わらず、まるでコロナ禍を予言したかのような、驚愕のパンデミック・ホラー・ミステリー。監督のフランチェスコ・ジャンニーニは、『X-MEN: フューチャー&パスト』やローランド・エメリッヒ監督最新作『ムーンフォール』にも出演する俳優でもあり、長編監督デビューを飾った本作でブラッド・イン・ザ・スノー映画祭の最優秀監督賞を受賞した新進気鋭の異才監督。人類滅亡へのカウントダウンが、このホテルから始まる……!?

カナダのとあるホテル。日本からそのホテルにやってきたナオミ(釈由美子)のお腹には、小さな命が宿っていた。だが彼女は、夫とは別れる決意で、妊婦ながらも仕事のためにたったひとりでこのカナダにやって来たのだ。ひょんなことから他の宿泊客の女性と身の上話を交わしたあと、ホテルの部屋でPCに向かって仕事を始めるナオミだったが……。

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奇しくも釈由美子自身が私生活で男の子を授かり、母となったのちの最初の出演となった本作。釈は38歳という年齢での高齢出産、しかも排卵機能障害である多嚢胞性卵巣症候群と診断されていた状態での出産。そして出産日の2016年6月12日は自身の誕生日と同じ、すなわち生まれてきた子どもと自分が同じ誕生日だったという偶然。更にカナダ作品である初の世界進出となる本作での役柄がお腹に子どもを宿している妊婦役なのだから、偶然中の偶然、奇跡中の奇跡とでも言おうか。孫の誕生を楽しみにしていたという亡きお父上が、本作出演を天国から手招いてくれたのかもしれない。

表向きはパンデミック・ホラーでありながら、ミステリーの要素が根幹である本作。時系列を交錯させながら徐々に謎を解き、未知のウイルスの脅威をグロテスクに描きだす。そのグロさは釈とて例外ではなく、撮影当時40歳にも関わらず十分に、いや十二分に美しいその顔面が、ウイルスに無残に侵されていく。自らの美貌が崩れ去らんばかりの役に体当たりで臨むその姿勢、さすがの俳優魂だ。ほどよい日本語なまりが混じった英語も、かえってリアルさが感じられる絶妙な匙加減で実に良い。同じ日本人の女性として(私にはそこしか共通点がない! 残念!!)、心ひそかに喝采を送りながらの鑑賞となった。本作を皮切りに、今後の活躍が切に待ち望まれる。

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見どころとも言えるそうしたシーンの他に、ふとしたシーンでの釈の手の甲にも、実は魅了されてしまった。人間の年齢は顔よりもむしろ手の甲に出るというが、とあるシーンに釈の手の甲がさりげなく、だが確かに齢を重ねた陰影で映っており、それが今回の役どころ、生まれてくる子どもをこれから女手一つで育てていくであろうその人生の苦労を、如実に表していたのだ。監督があのシーンを狙って撮っていたとしたら、人間観察力と演出力が凄い、の一言に尽きる。さすが各国のファンタスティック映画祭で高評価を受けているだけある。率直に純粋に、感服してしまった。

さて、本作の鑑賞に当たっては重要な注意事項がある。エンドロールが始まっても、決して席を立たないこと。とにかくそのマナーはお守りいただいた方が、鑑賞者の益になることが確実なのだから。

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監督:フランチェスコ・ジャンニーニ
原作・脚本:デリック・アダムス、アダム・コロドニー
出演:カロライナ・バルトチャク、釈由美子、マーク・ギブソン、ベイリー・タイ、ジュリアン・リッチングス
配給:TOCANA
公開:7月2日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ 他、全国”トラウマ必至”ロードショー
公式サイト:lockdown-hotel.com 

© 2020 THE HORRORS OF HALL PRODUCTIONS INC

 


記:林田久美子  2021 / 04 / 09











エンタメ シネマピア   記:  2021 / 04 / 10

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