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【映画レビュー】渇きと偽り

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干ばつが続くオーストラリアの片田舎で起こった、一家心中事件。その真相を暴くために1人の連邦警察官が故郷を訪れる。だが、それは自らの青春時代の傷と向き合う旅でもあった……。主演には、『ハルク』で主役のブルース・バナーを、そして『スター・トレック』で悪役・ネロを演じるなどハリウッドでも活躍するオーストラリア出身のエリック・バナ。他、『gifted ギフテッド』『アメリカン・スナイパー』のキーア・オドネル、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のジュネヴィーヴ・オーライリー、そして『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』で監督を務める傍ら『M:I-2』では俳優業もこなすジョン・ポルソンら、いずれもオーストラリア出身やオーストラリア育ちで世界的に活躍する実力派俳優たちが脇を固める。過去と現在、2つの時間軸が絡まり合いながら行き着く、その真実とは……?!

旧友であるルークの葬儀に参列するために20年ぶりに故郷・キエワラに帰郷したのは、メルボルンで連邦警察官を務めるアーロン・フォーク(エリック・バナ)。妻と子供を殺して無理心中を図ったとみられるルークだが、彼の両親は「自分たちの息子がそんなことをするわけがない」と、フォークに真相究明を依頼する。だが、フォークもまた、青春時代の忌まわしい事件により人生を変えられてしまったという、辛い過去を背負いながら生きていた。故郷に戻った今、フォークの胸に再びあの事件の記憶が甦る……。

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舞台は、キエワラという名の架空の町だ。長らく干ばつが続いているという設定だが、実際にオーストラリアでは気候温暖化の影響で干ばつに苦しむ土地は至る所にある。自然に恵まれた観光大国というイメージどおりの地方がある一方、1年を通して乾燥が続く砂漠気候の場所もある。生物の生命維持には欠かせない「水」が不足した環境で、人間の感情はいったいいかなる一面を見せるのか。すさんだ人心どうしがこすり合わされる中、傷ついた心と心は、いったいどこへ行きつくのか。水分に飢えたドロドロとした血液は、乾いた大地にゆっくりと落ち、そしてどこへ行くのか。行き着いたその先に、果たして救いはあるのか。命を潤す水のような救いは、果たしてあるのか。
エリック・バナをはじめ、俳優たちの物言わぬ演技が光る。これぞ演技だろう。これをこそ演技というのだろう。渇いた心を長い年月をかけて磨き上げたような、きらりと光る至高の輝きがそこかしこに溢れる。

2015年、原作「渇きと偽り」がまだ出版されていない段階でビクトリア州知事文学賞(未発表原稿部門)を受賞すると、版権元はすぐに映画化の検討を開始。映画化権を得たのは『ゴーン・ガール』の製作総指揮で知られるプロデューサー、ブルーナ・パパンドレアだった。
原作者のジェイン・ハーパーは語る。「あのブルーナ・パパンドレアから電話がかかってきて、映画化権を買いたいと思っていると言われ、予想外でどきどきしました。小説を書いていた頃、こんなことが起こるなんて思いもしませんでしたから」
そう、本作は原作未出版の段階で有名プロデューサーによってすでに映画化が決定したという、正真正銘のお墨付きの傑作なのだ。しかもこの原作は、作家への夢を持ちつつジャーナリストとして活動していたジェインが、仕事の合間に書き進めていたというデビュー作。決して売れっ子作家の未完作でも、将来の売上があらかじめ見込まれているシリーズ作でもない。原作が持つその実力が、世界のトップ俳優たちを配した映画化への道を拓いたのだ。 そののち、出版された原作は見事に世界的なベストセラーとなった。凄まじいまでのプロデューサーのこの先見の明。これがトッププロデューサーたる所以か。やはり常人ではない。恐るべし。

ちなみに原作のジェインは、ルークの葬儀の場面に住民役でカメオ出演している。劇場の大スクリーンで是非、チェックを。

なお、続編(原作「潤みと翳り」ハヤカワ文庫刊)の撮影もすでに開始となっている。映画においても人気シリーズとなること間違いなしの、オーストラリア発・クライムサスペンスの傑作だ。

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原作:「渇きと偽り」(ジェイン・ハーパー/青木創 訳)ハヤカワ文庫刊
監督:ロバート・コノリー
脚本:ハリー・クリップス、ロバート・コノリー
出演:エリック・バナ(『ブラックホーク・ダウン』『ミュンヘン』『NY心霊捜査官』)、ジュネヴィーヴ・オーライリー、キーア・オドネル、ジョン・ポルソン
配給:イオンエンターテイメント
公開:9月23日(金)、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
公式サイト:http://kawakitoitsuwari.jp/ 

© 2020 The Dry Film Holdings Pty Ltd and Screen Australia

 


記:林田久美子  2022 / 08 / 09











エンタメ シネマピア   記:  2022 / 08 / 10

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