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【映画レビュー】コンペティション

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奇妙奇天烈な映画業界の真実に、観客唖然……!? ペネロペ・クルス扮する風変わりなカリスマ天才監督と、アントニオ・バンデラス演じる世界的大スター、そしてオスカル・マルティネス演じる老練舞台俳優が三つ巴で激突!! 米映画批評サイトRotten Tomatoesでは96%の高評価を叩き出した業界風刺エキセントリック・ブラック・コメディが、満を持して日本上陸。

映画のこともろくに知らない製薬業界トップの男が、自らの名声のために映画製作を思いつく。原作はノーベル賞受賞作の小説「ライバル」。男からの依頼を受けた映画監督・ローラ(ペネロペ・クルス)は、ダブル主演の兄役に舞台俳優のイバン(オスカル・マルティネス)を、弟役に世界的大スターのフェリックス(アントニオ・バンデラス)を指名。だが、監督は業界きっての変わり者で、俳優2人はそれぞれキャリアも演技のアプローチも私生活も全く逆のタイプ。まずは脚本の読み合わせを始めた面々だったが、早速、波乱の一幕が……。

映画・演劇業界の不可解な内幕を収めた映画は世の中に多々ある。『サンセット大通り』(1950)、『ザ・プレイヤー』(1993)、『トラブル・イン・ハリウッド』(2008)、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)、そして直近では園子温監督の『エッシャー通りの赤いポスト』(2020)等々。これらの作品では、我々業界人ではない者から見たら“非常識”かのように映る事柄が、ごくごく普通の“常識”かのように映し出される。

本作もまた、そうしたエキセントリックなエピソードが各所に散りばめられ、「は〜、映画業界ってヤバい所なのねぇ〜」と感嘆のまま、あるいは呆れたままに終わるのではないか……と予想して観始めたのだが、私の浅はかな予想はあっさりと裏切られた。確かに、実話から着想を得たという数々のエピソードに度肝を抜かれたのは間違いない。だがそれよりも何よりも本作は、一癖どころか十癖も百癖もある監督と2人の俳優のお三方、それぞれの性格や信念が捻じれに捻じれて絡まり合い、挙句とんでもない化け物のようなストーリーを作り上げ、さりげない伏線もすべて余すところなく回収し、コメディ仕立てのドラマで終わるかと思えばなんとサスペンス要素すらも加わり、他に形容がしがたい絶妙なテイストの作品に仕上がっているのだ。

特に、特に、だ。ネタバレにならないように慎重に言葉を選ぶ必要があるが、のちにペネロペは、とあるシーンについて「彼女(監督)はイバンに何が起こったか知っていたと思う」と、インタビューで語っている。私はなるべく前情報を入れないままに映画を観るタイプなのだが、本作もまた、すべて観終わってからこのインタビュー内容を読んだ。そして、ペネロペと同様にそのシーンで監督がそう思っただろうと解釈した。そのシーンに台詞はない。役者の表情がすべてを物語っている。このシーンはまさしく“圧巻”以外の何ものでもない。

2023年、新年が明けた最初のレビューとなる本作。うさぎ年は飛躍の年になるといわれる。本作を是非とも劇場でご覧いただき、本作を機に発想の転換を図り、読者皆々様の人生も更なる飛躍を遂げるよう、祈念する次第だ。

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監督:ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン
脚本:アンドレス・デュプラット、ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン
出演:ペネロペ・クルス(『それでも恋するバルセロナ』、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』、『悪の法則』、『オリエント急行殺人事件』、『ペイン・アンド・グローリー』)、アントニオ・バンデラス(『フィラデルフィア』、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』、『デスペラード』、『ペイン・アンド・グローリー』)、オスカル・マルティネス(『笑う故郷』、『人生スイッチ』)
配給:ショウゲート
公開:2023年3月17日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開
公式サイト:competition-movie.jp 

© 2021 Mediaproduccion S.L.U, Prom TV S.A.U.

 


記:林田久美子  2023 / 01 / 08











エンタメ シネマピア   記:  2023 / 01 / 10

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