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【映画レビュー】TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー

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その“手”を握って「トーク・トゥ・ミー」と唱えるだけ。お金も要らない、危ないドラッグも必要なし、お気軽カンタン、しかも合法でハイになれる「憑依チャレンジ」は、単なるお遊びのはずだったが……!? サンダンス映画祭で観客騒然! 『ミッドサマー』 のアリ・アスター監督やサム・ライミ、スティーヴン・スピルバーグら巨匠監督の面々もこぞって大絶賛。カリスマ的カルト映画『ミッドサマー』 や、2023年のアカデミー賞で作品賞・監督賞ほか最多7冠受賞の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』等々、数々の傑作を生み出した映画製作会社のA24が各社争奪戦の末に北米配給権を獲得。今年7月に北米で公開されるや否や『ヘレディタリー/継承』の興行収入も軽々と超え、イギリスやフランスら各国でも初週でトップ10入りするなど、全世界で大ヒット中の新感覚ホラーが、いよいよ日本上陸だ!!

母を亡くし、父と2人暮らしの17歳のミア。高校では少しばかり皆から“浮いて”いるが、親友とその家族とは仲良しで、彼らもまたミアを家族同然の距離感で接していた。そんな折、SNSで「憑依チャレンジ」なる遊びが流行っていると知ったミアたち。呪物の“手”を握り「トーク・トゥ・ミー」と唱えれば、霊を招くことができるのだという。だが、タイムリミットは90秒以内。それまでに“手”を離さなければ霊が自分の中に残り、永久に支配されてしまうという。最初は半信半疑だったミアたちだったが、それが“本物”だと知るや否や、今までにない高揚感を求めてアイス・バケツ・チャレンジのノリでそのスリルを我先にと味わっていき……。

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なんっっっだこれは。こうしてレビューを書くというお仕事ゆえに日頃からコンスタントに映画鑑賞をしている私だが、正直、心の底から手放しで「面白い!!」と思える映画はそう多くはない。そもそもの設定が破綻していたら没頭もできないし、ホラーなら怖くなければモトは取れないし、血の色や邪悪な存在やらの肌の質感なんかが作り物っぽければそこで醒めてしまうし、単に怖ければ良いというものでもなくストーリーにもちゃんと意味がなければ、面白いとは言えない。
が!!! 本作は!!!!! そんな基準をすべてクリアし!!!!!!! 夜、寝ようと部屋で灯りを消した途端に暗闇が怖くなってしまうほど(お子様か)、ちゃんと怖かったのだ。寝床に入ってもなお、怖いシーンが脳裏に思い出されてきて寝つきが悪くなったのには困ったが、ホラー映画たるもの、それくらいでなければ。
(ちなみにだが、同じくA24製作の名作『ヘレディタリー/継承』は、各所の描写こそ優れるもののラストだけは中途半端感が否めないので、怖さもストーリーの秀逸さとしてもやはり本作に軍配が上がる)

どうしてここまで「怖い」と思えたのか。それは本作の設定も描写もリアルで、現実でもこれがありえそうだからだろう。しかも、畳みかけるようなテンポのおかげで画面を食い入るように見てしまう。
監督は本作で長編映画デビューとなる、オーストラリア出身のダニー&マイケル・フィリッポウの双子の兄弟。登録者数681万人のYouTubeチャンネル「RackaRacka」で活動する2人は、ヤバい動画の数々で多くのユーザーを虜にし、様々な賞を受賞してきた。
監督たちは言う。「僕たちがこれまで作ってきたものは全て、長編映画デビュー作を作るためだったんです。だから文字通り、夢が実現したんです」と。
その夢は本作でゴールではなく、本作が皮切りとなる。本作での成功で一気に注目を集めた彼らは、続編となる『Talk 2 Me』がA24の製作ですでに決定しており、人気ゲーム『ストリートファイター』の実写化の監督にも大抜擢。オモシロ動画のイチYouTuberから、飛ぶ鳥を落とす勢いの監督コンビへと上り詰めたのだ。
聞いていて気持ちのいいほどのこの素晴らしきサクセスストーリーよ。心よりお祝い申し上げます。

悪い霊も悪い人間(生きてる方)も、人の弱い部分を突いてくる。孤独の寂しさ、群れからの疎外感、親しい人と会えない喪失感、意志の弱さ、知識や知恵の足りなさ、そして「自分にとって都合のいいことを信じたがる」という心理。
これは単に、本作に登場するティーンエイジャーだけに当てはまることではない。成人している大人たちにも十分該当する話なのだ。

結論。ルールを守ることは大切だ。それがどんな些細なことであっても。
(それを言っちゃあストーリーは出来上がりませんが)


監督・脚本:ダニー&マイケル・フィリッポウ
脚本:ダニー・フィリッポウ&ビル・ハインツマン
出演:ソフィー・ワイルド、アレクサンドラ・ジェンセン、ジョー・バード、ミランダ・オットー(『シン・レッド・ライン』『宇宙戦争』『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』)
配給:ギャガ
公開:12/22(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
公式サイト:https://gaga.ne.jp/talktome/ 

© 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

 


記:林田久美子  2023 / 11 / 09











エンタメ シネマピア   記:  2023 / 11 / 10

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