シネマピア

カウントダウンZERO

20110830cpicm.jpgこの作品を通して思うことは、事実をしっかり把握しておくということ。私たちにとっていちばん恐ろしいのは“知らない”という事態。全世界で唯一、原爆を使用された国の人間として、世界の平和を考えるうえでいま何が出来るのか……、そう考えさせる作品である。

「我々は、糸で吊り下がった核の下で生きている。その糸は、事故・誤算・狂気で切断される。戦争兵器は滅ぼさなければならない。我々人類が滅ぼされる前に……」
これはジョン・F・ケネディ大統領が語った言葉。

20110830cpic1.jpgオバマ大統領が09年のプラハ演説において「核なき世界を目指す」構想を示し、10年の8月6日、広島で開催された平和記念式典に初めてアメリカ政府の代表としてルース駐日大使が出席、国連からも潘事務総長が初出席を果たした。唯一の被爆国である日本にとって「あの日」から66年――核軍縮への気運が高まる一方で、知られざる核の脅威が私たちの身近に迫る。地球温暖化の危機を唱え、07年にアカデミー賞を獲得したドキュメンタリーの傑作『不都合な真実 』のプロデューサー、ローレンス・ベンダーが、私たちが気づいていないだけの、身近で進行していながら意識されることのない、迫り来るさらなる<地球の危機>――核の脅威――を警告する。

核兵器廃絶=<ゼロ>へ向けての意識を目覚めさせる衝撃のドキュメンタリー、それがこの『カウントダウンZARO』。核兵器の材料が、いかに粗末に管理され、世界を、私たちを危険にさらしているのか、いつ何者かの手に渡り恐ろしいテロ行為が起きてもおかしくない恐るべき実態。今、世界に存在する約2万3000の核兵器。各国の首脳と国際的な専門家、元CIA工作員など様々な視点による証言と衝撃の映像が重なりながら、背筋が凍る事実が目の前に示される。

ソビエト“帝国”が崩壊するまでは、私の中で“原爆”という言葉は、かなり意識するものであった。冷戦時代が終わり危機は去ったかのように思え、その言葉は記憶から遠のいた。しかし、テロという問題が拡大していくなか、政治的影響力ではなく大量破壊の道具としての使用を望む者によって、今、危機がそこまで迫って来ている。また、人為的過誤や失敗によって起こりえる危機もある。この作品を通して偶発的事故の可能性が日ごとに増している事実を知る事は背筋が寒くなるほどだ。今まさに原子力の恐怖という事を身近に感じる私たちは、この現状を知る事が大切である。まずはそこから始めよう。


★ルーシー・ウォーカー監督とのQ&A★

Q:この映画を作ろうと思った動機はなんですか。
02年、私が初めて作った長編ドキュメンタリー映画で、アーミッシュのティーンエージャーたちを取り上げた作品が公開される直前のことでした。その若者たちの中の一人がアーミッシュでいるべきか否か葛藤する姿について、『ニューヨーク・タイムズ・サンデー・マガジン』に記事が載ったので読んでいたのですが、ちょうどその号のカバーストーリーが、当時私が住んでいたニューヨークのタイムズ・スクエアで核爆弾が爆発した場合に関するものでした。
そのとき思ったのは「何も考える必要はないわ、皆でアーミッシュになればいいじゃない!」ということでした。今すぐ全員ニューヨークから避難したほうがいい。ここで核爆弾が爆発するのなら、こんなところにいるべきじゃないわ、と思いました。何かを読んであれほど怖い思いをしたのは初めてでした。どのブロックにいたら自分が蒸発してしまうか、焼死するか、バラバラになるか。ブルックリンやクイーンズでも爆風で死んでしまうし、弾頭の大きさと風向きによってはボストンにいる人々まで放射性降下物によって死んでしまう。
核兵器問題の適時性と緊急性については、いくら誇張しても誇張しすぎることはありません。なぜならば、これから先のことを考えれば、シナリオは恐ろしさを増す一方ですから。これほど時宜にかなったテーマはありません。チャンスがやってきた瞬間に飛びつきました。

Q:この映画で取り上げている三つの主な懸念事項を説明していただけますか。
1.ならず者国家が爆弾を作ること
他の国に原爆を所有してほしくないのであれば、自分たちがそれを保有し続けていることをどう正当化できるでしょうか。核兵器保有国が5カ国だけで、相互確証破壊(MAD)体制で抑制されていた冷戦時代の状況を振り返っても仕方ありません。核拡散防止体制は失敗しつつあり、世界は臨界点に達していると私は考えています。もしイランが核爆弾を手に入れたら、一体いくつの国が後に続くでしょう。
私たちに残された選択肢は二つだけです。誰も核兵器を持っていない世界。あるいは、ならず者国家や非国家主体ですらも核兵器を持つ世界です。あなたは、どちらの世界に住みたいと思いますか。

2.テロリストが核爆弾を作る
テロリストたちが核爆弾を作るために必要なすべてのステップは起きる可能性があるだけでなく、すでに起きてしまっています。ただ単にそれがまだ一続きに起きていないだけのことです。少なくとも私たちが知っている限りにおいては、ですが。テロリストたちには核爆弾を作る意思があります。彼らは原子物理学者を雇っています。彼らは核物質を買おうとしたことがあります。密輸業者がテロリストたちに核物質を売ったことがあります。今のところ、これらのステップは、テロリストによる核攻撃に至る一連の出来事としてつながってはいません。でも、そうならない保証は何かありますか。
それを防止するために、私たちにできることをすべてやりたいと思いませんか。テロリストたちが爆弾を入手した場合、こちら側が爆弾を保有していることはなんの役にも立ちません。テロリストたちは条約に縛られているわけでもありませんし、彼らに報復することもできません。彼らには返信先の住所がないのですから。

3.人為的ミスによる爆破
スコット・セーガン教授の“The Limits of Safety”という著書や、彼が言う“余剰性の問題点の問題点”についての記事を興味深く読みました。核事故の危険性への対策のために、より多くのことがなされていない、またはより広く普及していないということに、私は信じられない思いでした。事故のように偶発的なものに関する理論が存在するということも興味深かったです。
その後、ブルース・ブレアから、発射コードがどこかに置き忘れられたり、クリーニング屋に行ってしまったり、すべての数字がゼロにセットされたり、といった逸話を聞きました。間違いが招く結果がどんなに深刻なものであっても、人間はやはり間違いを犯すものだということを人々に理解してもらいたい、と私は思いました。事故または間違いが起きる可能性は決してゼロにはなり得ません。そしてリスクがゼロでないならば、いつの日か悲惨なことが起きます。それは統計上の事実です。


監督:ルーシー・ウォーカー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
公開:9月1日(木)映画の日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国順次ロードショー
公式HP:http://www.to-zero.jp/

©2010 NUCLEAR DISARMAMENT DOCUMENTARY, LLC















エンタメ シネマピア   記:  2011 / 08 / 30

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