シネマピア

わたしに会うまでの1600キロ

sine20150824_01.jpgたった一人で3ヶ月かけて1600キロもの道のりを歩く女性――ニューヨークタイムズNo.1ベストセラー小説となった実話を映画化し、本年度アカデミー賞®にて主演女優&助演女優のWノミネートを果たした、愛すべき感動作。

アメリカ西海岸を南北に縦断する自然歩道、パシフィック・クレスト・トレイル。1600キロの過酷なこのコースを踏破しようと、たった一人でスタートを切ったシェリル(リース・ウィザースプーン)。だがシェリルの普段の趣味はアウトドアでもなんでもなく、そもそも簡単な山歩きの経験すらない。そんな超ド初心者のシェリルは大小さまざまな凡ミスを犯し、些細なことから生命の危機に見舞われることもしばしば。何度も何度も「始めなきゃ良かった」と公開するシェリルだったが……。

実は、本作は個人的に訳あり作品だったのである。SNSでアメリカの友人から薦められていたのもあり、試写のラインナップに加えてはいた。が、スケジュールの関係で結局マスコミ試写の最終日にようやく行けることに。だが、家を出た途端に忘れ物に気付き、引き返したことで予定より1本遅い電車に乗ってしまった。とは言え、開始10分前には試写室に到着予定なので慌てず騒がず悠々と歩いていた。私の前に二人くらい歩いていたのだが、その人達が受付を済ますのが見え、私も受付を通ろうとしたところ、「恐れ入ります、ここで満員です」と。なななななんと! え! マジか!? ウソぉ! あぁ、あの時、忘れ物を取りに戻らなければこんなことには……、まったく私ってヤツは本当に……。と、がっくりと肩を落とししつつ、来た道をとぼとぼと2?3分ほど歩いていると、後ろから「すみませーん!」と声が。なななんと、席が一つ空いたので追いかけてきてくれたとのこと(超猛暑で汗だくの日だったのに)。マジか、嬉しすぎるぜベイベー! と喜び勇んで試写室へ戻ったのだが、「ここまでしてくださったのに、映画が面白くなかったらどうしよう」と、開始前にいらぬ心配が頭をよぎった。……のだが、それは全くの杞憂に終わった。ここ何年かでもないくらいに号泣してしまうくらいの感動ものだったのだ。宣伝会社さま、追いかけてきてくださって本当に本当にありがとうございました。

sine20150824_02.jpg日本語タイトルからついつい想像してしまうのだが、本作は私のようなドジ女による「アウトドア女子のほのぼの珍道中、でもラストはお決まりのハッピーエンド(テヘペロ☆)」でも、「”死ぬまでにしないと後悔する○○個のこと”的なライフハックもの」でもない。原題の「Wild」のとおり、まさに野性味あふれる作品だ。主人公が出くわす肉体的な意味での痛み。そして彼女を旅立たせることになった、過去における精神的な痛み。その両方が生々しく、痛々しく、現実に即し、“美しくない”状態のまま描かれる。

原作では、なぜ彼女が歩くことに決めたのか、その理由が最初に明かされる。だが、映画ではミステリー仕立てで物語が進み、その理由は時系列を逆に巻き戻しながら徐々に明かされることになる。彼女の人生を紐解く手法も実に巧みな脚本によるものだ。彼女がトレイルで遭遇する出来事や人々との会話をきっかけとして、それに関連した過去の記憶が思い起こされていく。普段の我々も、日々の何でもない出来事から、忘れてしまっていた記憶が掘り起こされることがあるはずだ。そうした人間の心の仕組みに即して物語が進むものだから、気づけば自然とストーリーに入り込んで没頭している自分がいる。自分自身がシェリルになりきっているのだ。これはまさに「脚本の勝利」だろう。

本作は、言うなれば一つの詩編だ。取り立てて起伏のあるストーリーがあるわけでも、スター性のあるキャラが派手に奮闘するシーンがあるわけでもない。だが、本作を流れる体液は、ゆっくりと心に届き、伝い、染みこみ、堪えようのない涙を、とめどなくあふれさせてくれるのだ。


原作:シェリル・ストレイド『わたしに会うまでの1600キロ』
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
脚本:ニック・ホーンビィ
出演:リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、トーマス・サドスキー
配給: 20世紀フォックス映画
公開: 8月28日(金)、TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/1600kilo/


 

© 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.





 










エンタメ シネマピア   記:  2015 / 08 / 24

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