ikkieの音楽総研

第104回 洋楽編 Adrian Vandenberg――オランダのスーパーギタリスト、17年ぶりの復活!

2014 / 05 / 13

連載100回記念として4回続いたジェイク・E・リー祭りも前回で終了、今回から通常営業に戻ります。もっと書きたい気もするけど、今回紹介するのも俺にとっては特集したいぐらいのアーティスト。ジェイク同様、先ごろ17年振りの復活を果たしたギタリスト、エイドリアン・ヴァンデンバーグです!

adrian.jpg
見ての通りの男前だけど、デイヴィッドはエイドリアンのことを
チューイ(スター・ウォーズのチュー・バッカのこと)と呼ぶ。
似てなくもないかな……(笑)
エイドリアンはオランダ出身で、VANDENBERG WHITESNAKEでの活動でよく知られています。俺はVANDENBERGのころにエイドリアンの事を知ったんだけど、当時中学生だった俺の頭には、オランダといえば風車とかチューリップ、あとはせいぜい木靴なんかの牧歌的なイメージしかなく、そんな国からハードロックバンド? って意外だったっけ。でも、メロディアスで憂いを含んだ彼らの楽曲は俺の好みにぴったりで、すぐにファンになったんだよね。特に、エイドリアンのドラマティックなギターが素晴らしかった。ミュートを多用した音程差の激しいフレージングは今聴いても斬新だし、他の誰にも似ていない。ただ、エイドリアン以外のメンバーは影が薄かったかも……。

VANDENBERGの解散後、エイドリアンはニューアルバム  のレコーディング中にデイヴィッド・カヴァデール以外のメンバーが脱退していたWHITESNAKEに加入。このアルバムのツアーメンバーが凄かった! デイヴィッドにエイドリアン、元DIO  のヴィヴィアン・キャンベル、さらにオジー・オズボーンのバンドなどで知られるルディ・サーゾとトミー・アルドリッジという、HR/HM界のスターが勢揃い。レコーディングは別のメンバーだったから彼らは演奏していないんだけど、このメンバーでのPVは凄い迫力で、夢中になったよ。録画して何百回も観た。何千回かもしれない。そして、そんなメンバーが揃ったバンドが成功しないはずもなく、ツアーは大盛況、アルバムは1000万枚を超える大ヒットを記録する。


VANDENBERG 『Burning Heart』
VANDENBERG時代の名曲。当時の欧州のバンドらしく、垢抜けないルックスなのはご愛嬌

当然このメンバーでの新作が期待されたけど、ヴィヴィアンが脱退、デイヴィッドとエイドリアンを中心にレコーディングに入る。しかし、エイドリアンは右手首を故障してレコーディングには参加出来ず、代わりにスティーヴ・ヴァイ  がギターを弾いたとのニュースには耳を疑った。スティーヴはデイヴ・リー・ロスのバンドやALCATRAZZ  で活動していたテクニシャンで、ユニーク過ぎるほどのオリジナリティに溢れた本物の天才だけど、ブルーズが苦手だと公言している彼がブルージーなWHITESNAKEに合うはずがない。案の定、発表された新作  はスティーヴ色に染まった、それまでのWHITESNAKEとはまったく違う音数の多いゴージャスなアルバムだった。完成度は高く、大ヒットもしたけど、古くからのファンの反感を買ってしまう。ただ、これはスティーヴの責任ではなく、デイヴィッドの人選ミスだ。デイヴィッドは有名人好きとの評判だし、音楽性よりも当時のナンバーワンと言っても過言ではなかったスティーヴのネームバリューを重視したんじゃないのか……と勘繰ってしまう。このアルバムのツアーにはエイドリアンも復帰、俺は来日公演を観に行ったけど、WHITESNAKE feat.スティーヴ・ヴァイといった趣きで、エイドリアンがちょっとかわいそうなほどだった。そして、そんなバランスの悪さが祟ったのか、来日公演を最後にWHITESNAKEは解散……。


WHITESNAKE 『Here I Go Again』
オールスターキャストによるPV!
PVとレコーディング時のメンバーは違うけど、ギターソロはエイドリアンのプレイ。全米No.1を記録。
デイヴィッドの愛車と当時の奥さんも登場します(笑)

WHITESNAKEの解散後、エイドリアンはルディとトミーとでMANIC EDEN  を結成。WHITESNAKEでの鬱憤を晴らすかのようなブルージーなサウンドで、VANDENBERGのような叙情性はなかったけど、これはこれで素晴らしく、来日を期待してたらWHITESNAKEが再結成。エイドリアンも参加し、MANIC EDENは呆気なく解散する。そして、WHITESNAKEはアルバム  を発表、ワールドツアーを行なうも、たった一度のツアーでまた解散。アルバムはちょっと地味でもWHITESNAKEらしい内容だったし、エイドリアンのプレイも素晴らしかった。ライヴでは初期の名曲もやったりして、本当のWHITESNAKEが戻って来た! と大喜びしてたのに……。そしてその後、エイドリアンは画家としての道を選び、音楽業界からの引退を表明。もちろん残念ではあったけど、失踪に近いジェイクの引退とは違ったから、まだマシだったかな。いつか戻ってくるかも、っていう期待も出来なくはなかったしね。


VANDENBERG’S MOONKINGS 『Lust And Lies』
エイドリアンのニューバンド。エイドリアンやデイヴィッドっぽいシンガーもいいけど、若いリズム隊がいいね!

そんなエイドリアンが新しいバンドを結成して、今年の2月にはアルバム  も発表した! 最後に参加したWHITESNAKEのアルバム  から、なんと17年振りだ。またこれがWHITESNAKEを彷彿とさせるブルージーなハードロックでね。予想以上の出来! 思わず小躍りしちゃったよ。エイドリアンも完全復活! 今年はベテランが活躍する年なのかも? 期待しちゃうね。


おまけ
わたくし、ikkieによる『Here I Go Again』のギターソロ。
後半がちょっとCDとは違うけど、エイドリアンはライヴでこう弾いてたから、こう弾きたかったのかな? と。
……いや、ほんとはCDのはどう弾いてるかわかんなかったからです……



※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













エンタメ ikkieの音楽総研   記:

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