インタビュー/記者会見

【ボートレース】年末の風物詩"決定戦"スタート(その2)
黒須田守の「賞金王決定戦の見どころ」

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(撮影・中尾茂幸)
旅ゆけば博打メシ』でおなじみボートレース誌『BOATBoy』編集長の黒須田守さんによる、ボートレース界年末の風物詩“決定戦”の見どころの後半です。
前回お送りした「賞金女王決定戦」は、女子賞金ランク1位選出の平山智加(香川)が優勝、「優勝予想!」として挙げた海野ゆかり(広島)は優勝戦に進出も、平山に続く2着でした。
さ、今回は「賞金王決定戦」の見どころにいってみましょう。

優勝賞金1億円、賞金王の行方は?

第28回賞金王決定戦12月20日(金)トライアル初日11R
1,池田浩二 2.新田雄史 3.太田和美 4.井口佳典 5中島孝平 6.田村隆信

第28回賞金王決定戦12月20日(金)トライアル初日12R
1,瓜生正義 2.松井繁 3.毒島誠 4.篠崎元志 5.湯川浩司 6.齋藤仁
※出走表は主催者発表の物とご照合ください

――ボートレース芦屋での「賞金女王決定戦」に続きましては、大阪のボートレース住之江で12月18日、今日からから開幕する賞金王決定戦(注・同時に行なわれる「賞金王シリーズ」が18日に開幕、上位12名の決定戦は20日からスタート)です。
黒須田●そんなわけで昨日の前検日から住之江におります。その模様は『BOAT RACEビッグレース現場リポート』で、どうぞよろしくお願いいたします。
――よろしくお願いいたします。ではまず、今年1年間の賞金王レースを振り返ってみて、いかがでしたでしょうか。
黒須田●そうですね……今年の賞金王決定戦、ある意味で“混戦”で迎えると思います。ここまでにSGが7レース行なわれていますが、優勝者が全部違うんですね。
――例年、いま乗ってるなあって選手がSGを複数優勝しているってことも多いですよね。
黒須田●たとえば3月の「SG総理大臣杯」を優勝した池田浩二(愛知)などそのまま突っ走る勢いかと思いましたが、その後に意外にも伸び悩みまして賞金ランクも2位に落ちています。そしてここに来て尻上がりに調子を上げている選手がいるかというとそうでもない。先日のチャレンジカップでは、地元の開催である井口佳典(三重、7位)が優勝してその勢いで……とはなりませんで、レース中の事故から途中帰郷になったりもしました。そしてそのレースを勝って、いちばん波に乗れそうだった森高一真(香川)は、残念なことに優勝しても12位に届かず不出場(13位)なんですよね。なので、今年を通してみますと、抜けて強い選手がいなかった気がしますね。
――混戦を突いてくれば誰にでも……なんて考えてしまいますが、そんなところで黒須田さんの注目選手を教えてください。
黒須田●ボートレースの場合はなによりも動力であるモーターが抽選(いいとされるモーター12基が選抜されている)ですし、このインタビュー後も賞金王前にレースに出ている選手がほとんどですから、そこでのアクシデントなどもあります。それを考慮しないで……と最初にお断りした上で……。
――はい。
黒須田●松井繁(大阪)ですね。

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絶対の注目は“王者”松井繁。
座右の銘は「Time is Money」
(撮影・中尾茂幸)
――松井繁! 現在ボートレース界の第一人者ですね。今年は獲得賞金4位で選出されています。
黒須田●単純にスゴいんです、というのもなんなので説明をいたしますが……2年前に賞金王決定戦を含むSG3優勝を果たした池田浩二は、昨年は賞金王決定戦に出場できませんでした。
――はい。
黒須田●実を言いますと昨年というのは、ボートレースのルールがひとつ変わり、これまで選手の持ち物で規定の範囲内で加工を自ら施していたプロペラが、レース場の持ち物になりました。詳しい説明は省きますが、それで大きく成績が変動したケースが山ほどあって、池田ほどの実力者もそこに左右されたようですが、対して松井は昨年も賞金王決定戦に出場を果たし、今年も当然のように出場しているわけです。
――松井は“王者・松井”と呼ばれていますが、毎年どんな動きがあろうともしっかりとここに照準を合わせてくる、というわけですね。
黒須田●それと今年6位以内に入ったことにすごく大きな意味を感じているのですが、これは前回に言いました来年のシステム変更に関わる大きな話になるので、来年に取っておきます。で、松井にはまだあって、その来年の開催地が住之江ではなく、東京のボートレース平和島なことでも注目しています。
――と言いますと?
黒須田●賞金王決定戦は28回のうち、なんと24回も住之江で行なわれています。松井は住之江が地元ですから地の利があり、また逆に平和島は苦手、あまり成績が良くないレース場なんですね。さらに言いますと昨年の賞金王決定戦、松井は優勝戦1号艇で敗れています。なんの不利も瑕疵もないレースだったと思いますが、山崎智也(群馬)に勝たれてしまいました。
――ボートレースは最初のターンマークにいちばん近い1号艇(1コース)がいちばん有利です。
黒須田●そこで松井が勝てなかったわけですからね、来年は平和島ということも併せて是が非でも今年は勝っておきたいと考えているはずです。
――なるほど。
黒須田●1号艇の話が出たのでもうひとついい? 1号艇が有利なら、当然6号艇がもっとも不利になるわけですが、賞金王決定戦のトライアルの枠順は、冒頭でも紹介しているように初戦は賞金ランクに合わせて決定済みなんですが、2走目と3走目は抽選なんですね。そこで……必ずと言っていいほど1回は6号艇を引いちゃうんですよ、松井は。
――くじ運……ってのもあるわけですね。
黒須田●だから……いや、松井は「違う違う」と言うでしょうが、松井は最近、6号艇ですごく成績がいいんです。これは予行練習なのか……とか思ってしまうくらい。まあ完全な裏読みですけれどね。今年は1号艇を2回引くかもわかりませんし(笑)。ただ、“艇番ごとの勝率”というデータで1号艇の次に勝率がいいのが、たいていの選手がもっとも悪い6号艇なんです。これは裏読みもしますよね(笑)。
――着々と勝ちへ向けて準備しているように思えますね。
黒須田●そうそう。特にこのレースに照準を合わせてくる選手ですし、それだけに裏読みしても本人は「違う」と言うと思いますけれども、勝つ流れは見えてきますよね。
――プロなんだから賞金を稼ぐことが重要だと言っている選手ですしね。
黒須田●はい。プロ意識の捉え方が、選手間とかではなくどんな分野の人と比べても次元が違います。最近、その次元の違いが段々わかってきた……気もします、はい(笑)。
――どうか実際にレースを観て、松井のレースに少しでも触れてほしいですね。

“王者”だけじゃない! イケメンがドラマを作るか

黒須田●そうですね。……松井だけじゃなくてもうひとり上げても?
――どうぞどうぞ。
黒須田●元志……篠崎元志(福岡)にも注目ですよ。
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SG優勝戦でのフライング……悪夢の果ての快挙を目指す篠崎元志
(撮影・中尾茂幸)
――賞金ランク8位で選出、イケメンレーサーとしても名高い選手ですね。
黒須田●ボートレースには“フライング(F)”というのがあります。まずその説明をいたしますと、水面上でボートのモーターはアクセルレバーを握っていないアイドリング状態でも、少しずつ前方に進んでいきます。
――競馬や競輪のように横一線でドーンとスタート、というわけにはいかなのですね。
黒須田●なので、スタート地点を目指して6艇がアナログ時計(大時計と呼ばれる)を見ながら突っ込んでいき、スタートラインを規定の1秒以内に出なければなりません。これが規定より早かった場合はF、遅くても“出遅れ(L)”となって、最初からレースに参加をしていなかったことになります。参加をしていなかった、なので、その選手に対する舟券の売上はすべて買った人に同額で払い戻しとなります。
――懐に入れた売上を手放さなければならないから、ってわけではないですが、FやLには罰則があるのですね。
黒須田●Lの場合は選手責任外として放免もありますが、Fはすべて罰則の対象です。まずF1回で30日のレースへの斡旋停止があったりするのですが、篠崎はあるレースでFをしてしまいました。それが8月のSGモーターボート記念の優勝戦で……。
――SGの優勝戦は売上も業界最高峰ですから、斡旋停止だけで済まないのですよね。
黒須田●向こう1年間はSGレース自体に出られないのですが、例外がひとつだけあって、それが賞金王決定戦なんですね。賞金集計の最終日に賞金ランク12位に入っていれば出場ができます。
――今年、そこまでの賞金がモノを言って参戦できました。
黒須田●賞金王の歴史で、その例外が適応された選手は今回の篠崎が初めてです。大きな痛手を負ってではありますが、それから4カ月。ここで活躍できるかというのは、彼にとってもとても大きな意味を持つことになると思います。言うまでもなく優勝したらすごいことでして、ビハインドを背負った人間によるドラマが見られるとしたら、その主役は篠崎元志ですね。
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毎年安定感抜群の走りを見せる瓜生正義。
今年は賞金ランク1位で堂々の登場
(撮影・中尾茂幸)
――“王者”と呼ばれる選手、そしてドラマを創り出すかも知れない選手……。黒須田さんに挙げてもらった2選手はともに賞金4位、8位でして、当然注目されるだろう1位の瓜生正義(福岡)も含めて、まだまだ10人も登場します。松井、篠崎を覚えつつも、ぜひトップ12選手のレースに注目してほしいですね。
黒須田●そうですね。ぜひとも住之江でお待ちしています。まだまだ未経験の方は、ボートレースやレース場がどんなところか想像も付かないかも知れませんが、特に賞金王のレース中の熱狂……7年後の東京オリンピックと比べても……なんて言っていいのかはわかりませんが(笑)、すごい熱狂に包まれています。ぜひともそれを体験しに来てください。レースだけでなく、“B級グルメ”も2回登場してますし(これこれ)、暮れの大阪の街も楽しいと思いますしね。
――やっぱりアッキーナ(南明奈)も来ますしね(笑)。
黒須田●ははは。もちろん選手にもイケメン、いますから。そこにもご注目ください(笑)。
――2回に渡ってありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。そして暮れの住之江、臨場感溢れるリポートを期待しています。
黒須田●ありがとうございます。みなさん住之江で見かけましたら声、掛けてくださいね(ニッコリ)。











エンタメ インタビュー/記者会見   記:  2013 / 12 / 18

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