インタビュー/記者会見

ハイテンションミュージカルコメディ♪
映画『おー!まい!ごっど!神様からの贈り物』
六車俊治監督インタビュー!

ohmygod_01.jpgあの世とこの世を行ったり来たり、歌って、踊って、笑わせる、ハイテンションミュージカルコメディ『おー!まい!ごっど!神様からの贈り物』。新感覚ミュージカル映画の誕生だ。

ヘキサゴンで人気者になった俳優の崎本大海、グラビアアイドルの紗綾、お笑い芸人のつぶやきシロー。この三人の異色の組み合わせ、それに加えてハードゲイたちが歌って踊って悶える???
SMAPの『らいおんハート』、『SHAKE』の作曲で知られるコモリダミノルの書き下ろしのオリジナル楽曲に乗せて歌って、踊って、笑わせる。すでにCDデビューもしている崎本大海の歌、キャバ嬢に扮した紗綾の意外な一面、加えてドラッグクイーンに扮したつぶやきシローのダンスもなかなかの出来栄えで見どころ満載。そんな映画にて今回、監督を務めた六車俊治(むぐるま しゅんじ)氏に、映画監督になったきっかけや本作の魅力について話を伺った。

ohmygod_02.jpg——映画監督を目指すきっかけは?

六車監督:2歳か3歳のころに父親に連れられて『ゴッド・ファーザー』を観に行ったのですが、その年で観た記憶があるわけがないですよね。ただこれが小学生の時にテレビで観ると、その記憶が断片的に残っていた。映像の力って凄いなと。それが最初の映画体験で、70年代の映画は父親に連れられてオールナイトで観に行っていました。暗い街を車で走ったドキドキ感を今でも憶えています。真夜中の二本立てで『ロッキー』と『ケープタウン』。ラストで額を撃ち抜かれるシーンは今でも鮮明に記憶に残っています。地元に米軍基地があったので70ミリのオールナイトで上映している大きな映画館が多数ありました。深夜に朝まで映画を観させる親もどうかと思いますけど(笑)。

その後、父親の仕事の都合で全国を転々としたのですが、いわゆる「転校生」としての「いじめ」体験にもあいました。その辺は、今回の映画にも影響していると思います。日本中どこへ行っても映画は友達だったということも大きかったでしょう。映画からもらったメッセージは数えきれません。

映画をやりたいという思いで東京の大学に進学したのですが、唐十郎さんの舞台を観て「これは、なんなんだ!」と。そこでは『ジャガーの眼』を再演していたんですよ。ライブ感とぶっ飛んだところが田舎者からすると斬新だった。だから大学では映研ではなく劇研に入ってしまった。そしてそのうち劇研の活動だけでは物足りなくなって、自分たちで劇団を作ることになり、唐さんの真似をしてテントも立てました。やっぱりテントだろうって(笑)。幕は明治大学の実験劇場にあった、むかし唐さんが使っていたものを借りて。明治大学は唐さんの出身母体でしたし、だんだんと唐さんマニアになっていましたからね。がんばれば100人くらい入れる幕でした。イントレを2段に立てて、無茶やりました(笑)。

ohmygod_03.jpg——映画会社ではなく、なぜテレビ局に?

六車監督:もともと映画をやりたかったので、就職は映画関係をと思ったんですよ。しかし、大学四年の春にも劇団公演をやってて、気づいた時にはもう、大手の映画会社の募集はすでに終わっていた。残っていた映画会社と映画関係の会社、映画会社の面接の練習を兼ねてとテレビ局も受けました。その映画会社とテレビ朝日の2社が最終の5次面接までいった。だいたい同じ人たちが各社の面接に来ているので、何度か面接をしている間に仲良くなって、面接が終わった後に飲みに行ったりしましてね。そのうちテレビ朝日の面接に来ている学生と仲良くなって、こいつらといたら楽しいなって。テレビから映画も撮れるだろうと。それで、映画会社ではなくテレビ朝日に入社しました。というわけで同期の何人かとは入社する前から飲んでましたね(笑)。

——テレビ局時代は?

六車監督:テレビ局に入って良かったことは、すぐに現場に行かされたことです。もともと映像がやりたかったこともあり、ADでもカチンコ持っているだけで楽しかった。28歳のころ深夜ドラマの演出をやって、それからゴールデンタイムの番組を担当しました。現場では監督と呼ばれるんですけれども、放送でのテロップには「演出」となっているのですが、これ、映画監督がテレビドラマを撮る場合は「監督」と出るんです。なので、僕も映画を撮った後は監督とテロップ出してよって頼みました(笑)。

ohmygod_04.jpg六車監督:誰でもがあるかと思いますけど、同じ仕事を続けているとモチベーションが落ちてくる時があります。その時に黒土三男監督とテレビドラマ『ボディーガード(主演:長渕剛)』で一緒に仕事をすることになりました。映画『オルゴール(1989年/主演:長渕剛)』『渋滞(1991年/主演:萩原健一)』、『英二(1999年/主演:長渕剛)』、『蝉しぐれ(2005年/主演:市川染五郎)』を撮られた監督です。
黒土監督は僕を“ろくしゃ”って呼ぶんですけど、彼が「ろくしゃ! テレビも映画も一緒だ!」と。僕は、監督に自宅に呼ばれ、原稿用紙に脚本を書いている前で座らされるんです。じっと何時間も。それで「読め」と言われる。怖いもの知らずとは若さの特権で、いろいろ生意気言いました。「もっとここはユーモアがあったほういいんじゃないですか?」とか……。一瞬、ムッとしていることはわかるんですけど、直した原稿が腹をかかえるほど面白かったり。テレビの監督って、現場から離れた奥のほうにモニターがあって、ベース(椅子)に座って観ているんです。現場は助監督とカメラマンと役者に任せている形ですね。でも黒土監督はベースに座らないでカメラ横で指示を出す。わたしの監督のイメージもずっとそうでした。監督の居場所はカメラ横。あの体験が今の自分にとって初めての映画的な感覚でしたね。自分で作っている、そんな感じでした。「これだ!」って。それから僕もできるだけベースには座らずカメラ横です。
黒土監督からはいろんなことを教わりました。そうそう「ろくしゃ! 監督になりたかったらゴルフがうまくないとダメだ!」って。むりくりゴルフに連れていかれましたよ。モノ作りよりゴルフの方が厳しかったかもしれません(笑)。

いつのときか、年末のスペシャルドラマ『恋人はスナイパー EPISODE2』の制作が始まりました。評判が良く、続編をということになったのですが、スペシャルドラマのはずが、映画にしようかと、急遽映画化となりました。脚本は君塚良一さんで、香港ロケをと脚本を書き始めた矢先に大陸で“SARS(重症急性呼吸器症候群)”が流行してしまいました。なので香港ロケができなくなったり、紆余曲折ありましたけれども、やっぱり映画は楽しいなって思いましたね。その後、また『エースをねらえ!』などのドラマを撮っていましたが、映画を作りたいという思いが募り、今に至ります。いまだ茨の道が続いている感じですけど(笑)。

ohmygod_05.jpg——今回の映画『おー!まい!ごっど!神様からの贈り物』のメイン出演者それぞれの魅力とは?

★藤本世紀役:崎本大海(さきもと ひろみ)
六車監督:崎本くんはもともと“テニプリ系”(ミュージカル『テニスの王子様』出身)あがりで、そういった若いイケメン俳優は僕もたくさん仕事をしたことがあるんですけど、彼のようなタイプは絶対に心のどこかで自分のことを2枚目だと思っていることが多いんですよ(笑)。今回は、それが芝居に出たら終わりだと思ったんです。3枚目役を徹底的にやってもらいたいと。たとえとしてジョニー・デップの話をしました。彼は3枚目の役をよくやるけれども、ジョニー・デップは世界一自分が面白いと思う時があっても、自分が2枚目だとは思っていない、と。彼に「そこまで達してくれ」と言いました。心の底から2枚目を捨てないと無理だと。そうしたら彼は「わかりました」と。チャップリンを見て勉強したそうで、よくやってくれたなと思っています。
彼の芝居の作り方は、細かくてデリケートで、ソフトタッチ。これ、面白い話があって、車での移動中、後部座席に紗綾さんと崎本くんが乗るんですけど、崎本くん側のドアが半ドアなんです。「ちゃんと閉めて」って言っても、また半ドア。一事が万事でソフトタッチなんです(笑)。

ohmygod_06.jpg★二階堂セリナ役:紗綾(さあや)
六車監督:紗綾さんは崎本くんとは真逆なんです。彼女は重戦車みたいな感じですね。ガチャガチャガチャ〜って(笑)。役作りのためにキャバクラに一緒にいったことがあって、当然、彼女は初めてなんですけれど、キャバ嬢に「可愛いね!」、「どっかで見たことある……」って言われる中で、怖じ気づくこともなく、しっかり観察してました。迫力がありました。ど真ん中に投げてくるピッチャーのようなタイプ。度胸があるというか腹が座ってました。現場では、一所懸命練習していましたよ。そういったひたむきでストイックなところと、ドーンといっちゃうところが、今回の役には向いていたと思います。

ohmygod_07.jpg★ウメちゃん:つぶやきシロー
六車監督:つぶさんは昔からの知り合いで、共通の友人もあり、年も近いんです。AD時代に彼がまだブレイクする前の深夜ドラマで仕事をしたこともあり、飲みに行ったりも……。彼のことを僕はずっと役者向きだと思っていて、今までにも芝居の経験はありましたけど、お笑いのキャラクターを生かした役だった。本来はちゃんと役作りをした役が向いていると思っていて、いつか映画で……と思っていたところ、今回のウメちゃん役がぴったりでしたね。彼は役に近づきながらも、役を自分側に持ってくる歩み寄りができるタイプ。デーモニッシュな色気ももっている。現場でもブツブツつぶやいていて毒っけがある感じ。本当は良い人なんですけど(笑)。

ohmygod_08.jpg——ミュージカル映画用に今回はオリジナル楽曲を書き下ろしとのことですが……。

六車監督:これは、無茶でしたね。成立したことがラッキーだった。主役の男が死んで始まるという設定のファンタジー。最初はロードムービーにしようという案もあったのですが、設定にリアリティがない。ドラッグクイーンの役は原作にあったので、彼に唄わせようと……。ミュージカルにという考えが浮かんだその時に、たまたまコモリタミノルさんを僕に紹介してくれたプロデューサーが隣にいて、その場で彼にコモリタさんに電話してくださいと。ダメもとで電話をしたんですけど「曲を書きます」とOKをいただけました。光の筋が見えました、これしかない!!と。
曲の制作には時間がかかるので、シナリオ作りは大変でした。普通は撮影間近にシナリオがあればいいんですけど、そうはいかない。何曲入れるのか? イメージは? 歌詞で伝えたいことは? など、前後の流れがないと曲が作れないので、曲作りはぎりぎり。最後は優先順位をつけて、この曲からあげてください、と。僕もこだわった部分もあり、意見交換する中、一曲全部まるごと作り直してもらったこともあります。「このストーリを読んで、手を抜けない」と言っていただきましたし、「映画は自由で楽しいですね」とおっしゃっていました。

ohmygod_09.jpg——この映画の魅力とは?

六車監督:今ではミュージカル映画の多くが舞台で成功した作品の映像化で、映画のためのオリジナルミュージカルって少ないと感じています。僕はMTV世代ということもあり、映画オリジナルのミュージカルは面白いはずだと思っているので、映像と音楽を皮膚感覚で楽しんでほしい。そもそも映画に絶対的に必要な要素は、映像しかなくて、極端な話、セリフはいらないと思っています。どうせセリフをしゃべるのなら、歌っちゃえ、という感じ。映画は言葉より音楽に近いという考えがあるんです。となると、映画でしか出来ないミュージカルがあるはずなんですね。ファンタジーだから今回は入りやすいのではないでしょうか。突然人間が歌い出すことは最近の映像の感覚でいうと違和感があって、現在はCGの技術が発達してリアル指向に進んでいることもあり、人間が歌いだすと「なんで歌うの?」ってなるんですよね。でも歌うんです!ただ、観てる人が乗っかれないと意味がないので、今回はファンタジーの形をとって違和感がないようにしたつもりです。だって、最初から死んでますからね(笑)。

ohmygod_10.jpg六車監督:こんなミュージカル映画は、もう一本、予算をかけて作ってみたい。今回、いろいろな理由でできなかったところもあり、もっとやれるだろうと思ったりもしていますので。難しくなってしまったミュージカル映画をみなさんに楽しんでいただけるものにしたいですね。

もうひとつの要素は「いじめ」です。どうにも、人間は差別をやめることができない動物だと思っていて。とはいえ、人類の歴史を見ると、確かにゆっくりと進歩している。今、現在、差別が世界から突然なくなるものではないことは明白ですけど、それでも生きて行くのだ、生きて行く意味がある、生きてゆけ、というシンプルに直球投げてます。あとは、ストライクに入っていることを祈るのみです。(涙)

ohmygod_11.jpg■ストーリー
ビルからの飛び降り自殺に巻き込まれ、突然貰い死にしてしまった藤本世紀、気が付けばここは天国と地獄の境目、生前の無気力教師ぶりが祟り、まさに運命の分かれ道に立たされる。これがラストチャンス、この世に戻された藤本の使命は4 人のどうしようもない女たちを一人前のレディーに仕立て上げること、名付けて「プレミアム・ビューティーキャンプ」……!
それぞれが訳ありの女たち、中でも一番の問題児はキャバ嬢の二階堂セリナ、それだけでいっぱいいっぱいなのにさらに登場する、謎の女流作家、次々と起こる難題、果たしてマニュアル頼みの藤本が、自称天界のドラッグクイーン?ウメちゃんの力を借りてこのテストを見事にクリアーし無事に天国へ行く事が出来るのか……。

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企画・製作:影山塾株式会社
製作総指揮:影山龍司
原作:中島理江(電子書籍・影山塾文庫)
脚本:牧野圭祐/六車俊治
ミュージカル音楽:コモリタ ミノル
監督:六車俊治
プロデューサー:林 哲次
サウンドトラック音楽:谷地村 啓(アーバンギャルド)
出演:
崎本大海/紗綾/つぶやきシロー
渡里安衣/藤原明莉/渡辺あさ美/永山舞/結那/高野渚/寺本理絵/厚澤みのり
制作協力:(株)ティー・オーエンタテインメント
配給:TO ブックス
公式HP:http://ohmygod-movie.com/
公開:2014年1月11日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷にてレイトショー公開!!
 

©影山塾株式会社












エンタメ インタビュー/記者会見   記:  2013 / 12 / 25

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