インタビュー/記者会見

本格ミステリー作家・島田荘司作品 初の映画化!
映画『幻肢』主演、吉木遼インタビュー!
「作品を通していろいろと勉強させていただきました」

yoshiki001.jpg 本格ミステリー作家の第一人者である島田荘司原作の初の映画化となる『幻肢』が9月27日(土)より公開。島田荘司は2012年に発表された国内ミステリー作家別ランキングで、3位に江戸川乱歩、4位に松本清張といった顔ぶれの中、横溝正史に次いで2位にランクされるなど、その評価はずば抜けており、存命作家の作品ランキングではデビュー作が堂々の1位を記録している(2012年「東西ミステリーベスト100」文藝春秋より)。
本作は、これまで自作の映画化を拒み続けた島田荘司が初めて映画化のために書き下ろしたラブ・ミステリー。監督は伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』でメジャーデビューした藤井道人で、いま大注目の20代の若手監督。本作で主演に抜擢され、交通事故に遭い恋人の記憶を亡くしてしまい精神のバランスを崩して行く主人公・雅人を演じたのは若手俳優・吉木遼。今回はその雅人を演じた吉木遼にデビューのきっかけから現在までの活動、そして本作の魅力について話を聞いた。

yoshiki002.jpg <ストーリー>
雅人と遥はドライブ中に事故にあい、重症を負う。雅人は、意識は戻ったが遥と事故の記憶がまったくなくなっていた。記憶障害と診断され入院生活が続く。遥のことを思い出せない苦しさと、事故のことを思い出せない恐怖が次第に精神を蝕んでいく。日増しに精神状態が悪くなる雅人に亀井がある提案をする。「TMS治療を受けてみないか?」TMS治療で脳に、ある刺激を与えることで失った記憶を呼び戻すという仮説は彼が授業で発表していたものだった。TMS治療を受けた雅人に奇妙なことが起きる。写真で見た遥が目の前に立っているのだ。だが彼女は言葉も発せずただ彼のそばに寄り添っているだけ。雅人はTMS治療を続けていくうちに遥の記憶を取り戻していき、会話が出来るようになる。そして事故の記憶を取り戻し始め、ついにすべてを思い出す。雅人がみている遥は幻なのか。記憶が戻ったとき衝撃の真実が明かされる。

●幻肢とは?
手や足を失い、喪失の衝撃がその人の存在を脅かすほどのことになると、脳は自衛のために手や足の幻を見せ精神の安定をはかる。これを「幻肢」という。

●TMSとは?
脳の左側前頭部に磁気刺激を与え、脳の活動を活性化する治療法。うつ病の患者に効果が実証されている。米国では精神医学会も推奨している治療法のひとつ。

yoshiki003.jpg Q:まずは、芸能界に入ったきっかけから教えてください。
吉木:街でスカウトをされたことがきっかけですね。その時にはまだこの世界にはあまり興味がなかったんです。ある時友人から、舞台『ハムレット』(蜷川幸雄演出、藤原竜也主演)のDVDを薦められ、藤原竜也さんの演技を観て感動し、興味を持ち始めました。それから本格的に役者を目指すことに。

Q:最初は、舞台を中心に活動されていたのですか?
吉木:そうですね。本格的に芝居を始めるには、どうすれば良いかと考えた時に、蜷川幸雄さんの演出助手をされていた方が俳優私塾をされているとうかがって、そこで1年間勉強をさせていただきました。成果発表という形で舞台があり、自分にとっては初舞台だったんですけど、その時に、俳優を辞めようかと思うほど厳しいお言葉をいただいて……。「ヘタクソ!」、「俳優に向いてない!」、「私が教えてきた中でいちばん才能がない」などなど。でも、今では厳しく指導していただき良かったと思っています。

Q:辞めなかった理由は?
吉木:素晴らしい役をいただいたということと、3カ月も稽古をして来たということから、本番は絶対にやらなきゃって思いがありました。本番後、芝居を観た友人から良かったよって言ってもらったり、本番自体はとても楽しかったので、「う〜ん、でもなぁ〜」って少し決意が揺らいでも、もうちょっと続けてみようかなと。その後に入った芝居の稽古がすごく楽しかったことと、今度は褒められたりもして。それから今まで続けることができています。わりと単純ですね(笑)。

Q:それから映画の世界に?
吉木:そうですね。最初に短編映画『恋は考えるな、愛は感じろ』(内藤隆嗣監督)に出演させていただきました。藤井監督のワークショップに参加させていただき、そこで何回かレッスンを。そのレッスンの延長線上での撮影でした。

Q:初めての撮影はいかがでしたか?
吉木:舞台だと始まりから終わりまでリアルに芝居が進んでいきますが、映画では自分が演技したものに音楽だったり効果音が付いてと、編集され上映されるので、その感覚が新鮮でした。

Q:演じている時と映画完成を試写で見た時の感想は?
吉木:映像として完成すると「こんな風に観えるんだ!」っていう驚きがありました。「ここにカメラが設置されていた理由はそういうことだったのかぁ!」といった感じです。

yoshiki004.jpg Q:それでは、今回の映画『幻肢』についてお話を聞かせてください。
今回は普通の恋愛とはひと味ちがった、存在しない人との演技というところでは、いかがでしたか?
吉木:過去は楽しい、現在は記憶をなくして気持ちが重いといった、過去と現在での気持ちの違いはありましたけど、心の中では自分が作った幻だってわかっている「幻肢」の遥も本物だと思い込んでいるので、本物として接しました。「幻肢」の遥と本物の遥との演じ分けは考えなかったですね。

Q:映画撮影中のエピソードがあれば、教えてください。
吉木:「TMS」の撮影は大変でした。頭を固定することに時間がかかってしまうので、時間のロスを少なくすために、そのシーンは一度に撮影しました。4〜5時間も固定され、ずっと同じ体勢だったので腰が痛くなってしまって。

Q:監督・脚本の藤井道人さんについて教えてください。撮影中はいかがでしたか?
吉木:普段は優しくて、撮影になると熱い人でした。「お前は全然この映画に命を懸けていない!」って言われて、それほど映画に情熱を注いでいる監督。「俺たちは命を懸けてこの映画を作っているんだ」と。私の出来ていない部分や、もっとこうした方が良いといったところを、熱く指導していただきました。撮影は短期間でしたが、その前に何度も監督とリハーサルをしました。
監督から感情の機微が少ないと言われたことがあります。私のやっている演技は、感じて結果を出すこのふたつしかなくて、人間というのは、もっと感情が動いていて、途中にいくつもの起伏があって、その感情表現が出来ていなかったんです。何かに気づくシーンについても、見て気づくんじゃなくて、見て、考えて、思い出して気づくといった流れです。もっと中身のある演技をするように指導されました。セリフを喋るタイミングが早いとも。たっぷりと時間をかけていいから、ちゃんと感じてからセリフを喋るようにと。この作品を通していろいろと勉強させていただきました。

yoshiki005.jpg Q:現象としての「幻肢」体験については、どう思われますか?
吉木:この映画の撮影前までは、なんとなく知っているといった感じでした。腕をなくした人が幻を見るんだなと。この映画が決まって「幻肢」についての本をいろいろと調べ、セリフの中にもあるんですけど「幻肢とは、脳の防御機能によって精神の安定を図るために見せている現象である」といった、現実の出来事なんだと理解することが出来ました。それを幽霊現象に関連させて雅人は考えるんですけど、それも理に適っている。もともとそういった科学的な話が好きで、自分の中でもなるほどなって思える部分も多く、このような現象があることを私は信じます。

Q:もし、ご自身が、映画と同じような体験をされたらいかがですか?
吉木:自分の性格的には、そんなに追い込まれる気はしないんですよ。あそこまでの出来事も想像できないし、ショックは受けるとは思いますけど……。でも、あのショックは相当だろうしな……(みなさん、映画館でご確認を)。あそこまでだったらすがるでしょうね。すがると思います。

yoshiki006.jpg Q:それでは、共演者の方々について教えてください。
今回、共演シーンが多かったのは谷村美月さんだったと思いますが、共演されていかがでしたか?
吉木:最初は、お互いが人見知りだったので、まったく喋らなかったんです。同じ場所でお互いが台本を読んでいても会話はなし(笑)。なので、最初はちょっと恐い印象でしたね。でも、一度雨で撮影が延びて待ち時間が長かった時にお話しすることができて、それから仲良くなれました。

Q:どのような会話から仲良くなりましたか?
吉木:メイクさんを交えて3人での会話だったんですけど、メイクさんが町田に住まわれていて、私も以前、町田近辺に住んでいたことがあり、私の町田に住んでいた友人から、町田には宇宙人がいるって話を聞いていたので、メイクさんに「町田には宇宙人がいるんですか?」って尋ねたら、「吉木さん、なに言っているんですか?」って谷村さんが……。それから会話が盛上がったという(笑)。私は今でも「町田には宇宙人がいる」って信じてます。町田の駅前にオブジェがあるんですけど、そのあたりを歩いていたようです。

Q:撮影中のエピソードはありますか?
吉木:デートのシーンは楽しかったですね。そのシーンはセリフもなくアドリブでした。彼女に告白するシーンも途中からアドリブで、素が出てしまっているので、あのシーンは恥ずかしいですね。
Q:そこは見どころということですね。
吉木:そこはあまり見なくてイイです(笑)。

yoshiki007.jpg Q:遠藤雄弥さん、宮川一朗太さん、佐野史郎さんの印象はいかがでしたか?
吉木:遠藤さんは、お兄さんのように、「昨日の撮影はどこに行ったの?」といった感じで、気さくに話しかけていただき、撮影中はリラックスすることができて助かりました。演技の話はほとんどしていないんですけど(笑)。
宮川さんは、私の恩師の役で、最初のカウンセリングや「TMS」のシーンにしても優しくしていただきました。あまり現場ではお話ししていませんけど、役のイメージ通りの方でした。
佐野さんは、実際にも脳について興味を持たれていて、監督とのやりとりの中でも、自ら調べてきた脳についてのことを意見交換されていました。台本にも書き込みが多く、本当に脳の話が好きなんだなって印象でした。
脳については自分自身でも色々と調べました。「幻肢」を見せるメカニズムもそうですけど、実際には脳の使われている部分は全体からするとかなり少なく、解明されていない部分が多いんです。科学では証明できない幽霊現象など、そういった面白い話も多いんです。

Q:今後はどういった作品に出演してみたいですか?
また、これからの活動について教えてください。
吉木:今、一番の目標は、NHKの朝の連続テレビ小説に出演することです。女性が主役の作品ですので、その相手役として。最近は、過去の作品を観て勉強しています。大河ドラマだったり、時代劇にも挑戦してみたいと思っているので、殺陣の稽古などもしています。稽古では、最初は「立ち位置が遠いよって」言われたり、距離感がよく分からず恐かったですね。上段の構えまで振りかぶると後ろに人がいると刀が当たってしまうので、正眼の構えくらいまでで留めるなど、基礎的なことから学んでいます。

Q:朝の連続テレビ小説ですと方言が多いですよね?
吉木:両親の出身が山口県なので、山口弁なら(笑)。実は、NHK制作の京都発地域ドラマ『鵜飼いに恋した夏』(11月12日(水)22:00〜BSプレミアム)に出演することが決まり、これから京都弁の勉強を始めます。イントネーションなど難しそうですが、がんばります。
ドラマの主役が伊藤淳史(笹本薫平役)さん、ヒロインが忽那汐里(立花夕浮役)さん、その夕浮の学生時代に付き合っていた相手役で出演させていただきます。今回はモテモテの役なので、どう演じるか?
今まで自分の人生の中ではモテたことがないんですよ!
昔は、喋ることが苦手で、小、中、高校と女子と会話した回数は両手で収まるくらいしかないんです(笑)。実体験が生かせない役なんです。いろいろと経験豊かな方にお話を聞きながら進めたいと思います。

Q:それでは、最後に映画の観どころをお願いします。
吉木:医大生の純愛をベースに、最新の脳科学や精神科学をからめて、テンポ良く展開するストーリーです。そして、最後には大きな謎解きがあります。私的には、音楽と映像が綺麗なところも観てほしいですね。みなさんぜひ、劇場でご覧ください。

yoshiki008.jpg ■インタビュー写真
撮影:尾崎康元
ヘアメイク:山岸直樹(aiutare)
スタイリスト:櫻井まさえ(イラクサ)

衣装
・グレーTシャツ ¥14,000
・ベスト ¥48,000
・パンツ 参考商品
・シューズ ¥110,000
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お問い合わせ/03-5463-1500


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出演:吉木 遼 谷村美月 宮川一朗太 遠藤雄弥 佐野史郎
監督・脚本:藤井道人
原作:島田荘司「幻肢」(文藝春秋刊)
主題歌:「それでも生きなくちゃ」さめざめ(ビクターエンタテインメント)
配給:ディーライツ
公式HP:www.genshi-movie.com
公開:9月27日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国順次ロードショー

©2014映画「幻肢」製作委員会


 

 












エンタメ インタビュー/記者会見   記:  2014 / 09 / 22

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