インタビュー/記者会見

映画『転がるビー玉』
宇賀那健一監督にインタビュー!!
吉川愛、萩原みのり、今泉佑唯、
3人の魅力とは!?

korogarubidama0124_01.jpg カエルム株式会社より発行している女性ファッション誌「NYLON JAPAN」の創刊15周年プロジェクトとして製作された長編映画『転がるビー玉』。ガングロギャル映画『黒い暴動』、娯楽が禁じられた世界を描いた映画『サラバ静寂』、そして2019年に童貞が魔法使いになる映画『魔法少年☆ワイルドバージン 』が公開された、宇賀那健一が監督と脚本を勤める。本作の舞台にもなっている渋谷にある、2019年11月22日(金)にグランドオープンした新生「渋谷パルコ」内の「ホワイトシネクイント」にて、2020年1月31(金)に先行公開、2020年2月7日(金)より全国順次公開となる。今回は、宇賀那健一監督に本作について話を聞いた。

■STORY
再開発が進む、渋谷。その片隅にある古い家の床は少し傾いている。ここで共同生活する愛、瑞穂、恵梨香の三人は夢を追い求めながら、悩み、もがき、飲んで、愚痴って、笑っては、泣いた。彼女たちが手にいれたのは、〈宝石〉なんて眩しいものではなくて、どこかで紛れ込んだ一つの欠けた〈ビー玉〉だった。そんなある日、部屋の立ち退き勧告の通達が来る。街の再開発で家の取 壊しが決定したのだ。これは、いずれ出て行かなくてはならないその部屋で三人が過ごした、ささやかな日常の物語。絶え間なく変化するこの街で埋もれてしまいがちな幸せは確かにそこにあった。

korogarubidama0124_02.jpg 尾崎:前々作「サラバ静寂」、前作「魔法少年☆ワイルドバージン」と、また違ったテイストの作品ですが、この作品を作るきっかけは?
宇賀那:僕の中では映画制作としては、やっていることはあまり変わっていないと思っています。ただ、ジャンルとしては色々と新しいことに挑戦したいなと。「魔法少年☆ワイルドバージン」では、ひとつやりきった感はありますね。今回の『転がるビー玉』のようなテイストの作品は、昔、自主映画を撮っていた時の感じに近いです。原点に立ち返ったのかなと思います。

尾崎:女性ファッション誌「NYLON JAPAN」の創刊15周年プロジェクトとして製作された映画と伺いました。
宇賀那:夢を追う若い人たちのことと、渋谷の物語を描きたいと思っていて、そのふたつを描くことを考えた時に、頭に浮かんだのが「NYLON JAPAN」だったんです。その話を先方に持っていったところ、向こう側も映画を作りたいと思っていて、翌年がちょうど創刊15周年だったんです。
尾崎:そんなにうまくタイミングが合うことがあるんですね。
宇賀那:自社内で「NYLON TV」という動画チャンネルを持っていたりと映像に興味があったようです。

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尾崎:若い人たちの夢として3人の女性が登場します。彼女たちの夢とは?
雑誌の編集者、モデル、ミュージシャンという設定ですが......。
宇賀那:僕は3人という設定が好きなんだと思います。「黒い暴動」も馬場ふみかさん、柳英里紗さん、平松可奈子さんの3人、「サラバ静寂」も吉村界人さん、SUMIREさん、若葉竜也さんの3人、「魔法少年☆ワイルドバージン」も前野朋哉さん、佐野ひなこさん、芹澤興人さんの3人。自分の作り方として一番はまっているのかなと思います。もともと若い人たちの夢を撮りたい思ったきっかけは、ワークショップで出会った、若い役者たちの悩んでいる様が美しいなと思ったところからです。モデルという
設定を選んだのは、役者に近い役柄だというのもありました。ミュージシャンという設定を選んだのは、僕の過去の映画の中でも「音」というのはずっとキーワードとしてありましたし、何かが大きく変化する物語ではないからこそ、曲が完成されるという形を遺したいと思い決めました。最後に、モデルやミュージシャンは自分発信になるので、その中で、ひとりでは進められない誰かと協力してやっていく部分も見せたかったので、雑誌の編集者を描きました。「NYLON JAPAN」とのプロジェクトいうこともあってNYLON編集部にしたいなと。

korogarubidama0124_04.jpg 尾崎:渋谷の片隅にある古い家で共同生活をする愛、瑞穂、恵梨香の3人は夢を追い求めながら、悩み、もがき、飲んで、愚痴って、笑っては、泣いたという物語ですが、ある意味、夢を叶えた宇賀那さんからみて20歳くらいの彼女たちの夢はどう映りますか?
宇賀那:今ももがいているので、基本的に彼女たちと変わらないです。ただ、20歳の時の自分を振り返ると、今より焦燥感はとにかく強かったですね。同世代と常に比較して、落ち込んだりイライラしたりしていました。

尾崎:本作のオーディションのシーンで「強みは何ですか?」と聞かれて、答えられない場面がありますが、宇賀那さんの強みは何ですか?
宇賀那:その場面は『転がるビー玉』のオーディションで、萩原みのりさんが実際に「強みは何ですか?」と質問されて、迷っていたところを採用したんです。僕の強みといえば「う〜ん......」。難しいですね。すぐに出ないですね(笑)。
尾崎:オーディションを受ける時には色々と想定して、その答えを用意しておかなければならないですか?
宇賀那:僕は、答えが出せないで迷っている方が好きです。でも台本を読んだ、僕の他の演出部はそうではなかったみたいで、みんな厳しいなって思いました(笑)。今回の作品は、悩んでいる若者の美しさをすくい取りたいと思っていたので、実際に僕の周りで現実にあった若者の悩みをリミックスして使っています。

尾崎:今回の作品の中で「夢を諦める才能がない」というセリフが印象深いです。
宇賀那:僕は一度、映画がなかなか撮れなくて、夢を諦めてサラリーマンになったことがあるんです。そのときに誰かが「夢を諦めるのも才能のひとつだから」って言ってくれて。まあ、結局僕に諦める才能は全くなくて、戻ってきてしまったんですが。

korogarubidama0124_002.jpg 尾崎:愛(吉川愛)モデル、瑞穂(萩原みのり)編集者、恵梨香(今泉佑唯)ミュージシャンの3人の役どころについて、また、本人たちの魅力や彼女たちを選んだ理由をお聞かせください。
宇賀那:愛の魅力は"誰よりも真面目"なんです。今回の3人のタイプの元になっている実際の人物がそれぞれに20人くらい存在するのですが、愛で言うとどんなにお酒を飲んでいても、体調が悪くても毎朝走るストイックな女性がいて、その人からは分かりやすく影響を受けています。オーディションに受からないとか、芝居がうまくなりたいとか、明確な解決策がないことで悩む中、走れば体力がつくとか痩せるとか明確な前進があるじゃないですか。それを求めて走っているらしくて。
大野いとさん演じるテテは、愛と比べてお酒も飲むし男遊びもするし全然ダメなキャラクターなんだけど、彼女の方が売れている。愛だって、ストイックに走れば走るだけ、オーディションに受かるわけでもないことは分かってるんです。分かっているけど自分には走ることしかできない。そんな愛の不器用さ、愚直さが僕は大好きです。
吉川愛さん自身の魅力は、そのシーンで何を求められているのかをすぐ察知して実現できる。それだけだと、ただ器用なだけなんですけど、そこに更にとんでもない爆発力みたいなものを持っています。最後の感情が溢れ出るシーンがまさにそうで、あそこは本当に吉川さんだからこそ成立したシーンだと思っています。

korogarubidama0124_003.jpg 宇賀那:瑞穂は、器用にやっているように見せるのがうまいんだけど、実は全然不器用。人間味に溢れるキャラクターです。元々は瑞穂を主役に脚本を書いていたんですけど、僕が好きなキャラクター過ぎて、これは良くないなと、二番手にしたんです。うまくいかないのに格好をつけちゃうし。それがどんどん自分を追い込んでいって、自分の思っている方向にはいけない、その駄目さと弱さが愛おしいんです。
萩原みのりさんは、応募総数が2000人以上のオーディションで選びました。演技の上手い人だったり魅力的な人はたくさんいましたが、瑞穂役に関しては、何回オーディションをしても彼女を選ぶと思います。それだけこの役に求めるものを彼女は持っていました。
尾崎:映画と同じイメージだったんですか?
宇賀那:ルックスは、オーディションの時とは違って、本作のために髪を切って染めてもらいました。彼女自身の持っている弱さと強さ、そしてそれを曝け出す覚悟があることにとても魅力を感じました。また、普通役者って台本読んでやりたいことが出てきてしまうと思うんですけど、彼女はすごく良い意味で、ただそこにいてくれるんです。自分が目立たなかろうが、関係ない。場所と時間と周りの人の芝居を感じて、必要なことだけやる。棄てる覚悟があるんですよね。シンプルなことですけど、すごいことです。

korogarubidama0124_004.jpg 宇賀那:恵梨香は、能天気なキャラクターを装っているけど、誰よりも空気を読んでいます。愛と瑞穂は、かまってほしくてちょっとだけ辛い状況だってところや悲しいんだよってことを周りに見せるんですが、恵梨香は周りを思って、元気でい続けようとするキャラクター。その健気さと、でもやっぱり彼女は彼女の中でも悩みを抱えてしまっているところが彼女の魅力です。
今泉佑唯さんは、役のように周りに気を使い常に元気で、彼女がいることで現場が楽しくなります。助けられたことが何度も何度もありました。あと今泉さんのお芝居は本当に自由なんです。1テイク目と2テイク目だと全然違うアドリブが入ったりして、でも僕は固まった芝居が何よりも嫌いなので、見ていて本当に楽しかったですし、吉川さんも萩原さんもいつも新鮮に演じられたはずです。
アドリブって言っている側もより説得力が出るけど、それを受ける側も説得力出ますからね。今回の作品に関しては、ここはアドリブで撮ろうと決めているシーンがありました。食卓での食後のシーンを始め、コンビニでの会話、スイカ割り、電気が突然切れるところです。特にそのシーンでは今泉さんのぶっ飛んだアドリブの力もあり、3人の魅力が瑞々しく切り取れたのではないかなと思います。

尾崎:コンビニのシーンはアドリブだったんですね。キャラクターの濃いコンビニ店員でした。「童貞?」は前作につながるオマージュですか?
宇賀那:あの台詞は萩原さんのアドリブです(笑)。

korogarubidama0124_05.jpg 尾崎:恵梨香が演奏する、曲が全て素敵でした。全曲、佐藤千亜妃さんの作品ですが、音作りはどのような感じで進められましたか?
宇賀那:僕が脚本を書いている時に、ずっと「きのこ帝国」の曲を聴いていたんです。なんとなくこの作品のイメージに近いなと思って。その後、オファーをさせていただいたんですが「きのこ帝国」が、ちょうどそのタイミングで活動休止になったので、メンバーで作詞、作曲を手掛けていた、佐藤千亜妃さんにお願いしました。本作に使われている3曲とも書き下ろしです。一旦、映画で何を伝えたいか?恵梨香がどういうキャラクターなのか?どういう曲を聴いてきたのか?というお話しをして、後はお任せで作っていただきました。クランクインギリギリだったので、今泉さんはあまり練習する時間がなかったと思いますが、しっかりと演じてくれました。
尾崎:全作、書き下ろしということが、作品全体のイメージに合った感じになっているんですね。
宇賀那:今回は、劇伴も佐藤さんにお願いしましたので、全体がこの作品のイメージに合ったんだと思います。

尾崎:再開発中の渋谷でのロケでしたが、撮影はいかがでしたか?
宇賀那:せっかくなので実際に再開発中の場所で撮影しようと思っていました。宮下公園、パルコ、銀座線などがちょうど工事中でしたが、ロケハンしているときは工事中だったのに、インする直前に完成してしまった場所もあったり(笑)。工事中の場所で撮影することは難しかったです。7月に撮影して1月末から先行公開ということで、ほぼ半年前なんですけど、すでに撮影した場所の景色は変わっているんです。これが1年後、3年後にはどうなるのか?そういう意味では、今の渋谷を切り取れたことは良かったと思います。劇中では、工事中のパルコがちらっと写っていますが、今は完成して、その新しいパルコ内の映画館で先行上映します。感慨深いですね。
彼女たちが住んでいる設定の元ネタとなった場所は、実際に1年間期間限定で貸し出しされていたマンションで、古くてビー玉が転がるくらいに傾いていたのですが、家賃のわりにとても広かったんです。今は、もう取り壊されてなくなってしまいましたけど。

korogarubidama0124_001.jpg 尾崎:部屋の内装が凝っていました。美術へのこだわりは?
宇賀那:撮影をする1週間前に想定していた場所が使えなくなって、その場所は、実際に人が住んでいる所だったので部屋の装飾はあまり必要なかったんですけど、新しく撮影場所になった現場は会議室のような感じで生活感が全くなかったんです。なので、照明とか色々持ち込んで、部屋の雰囲気を作っていきました。美術部は「サラバ静寂」の時と同じ方なので、僕の趣味も分かっているし信頼できる方なのでとても助かりました。愛、瑞穂、恵梨香は、それぞれ「どんな音楽を聴いているのか?」というところから3人の暮らすスペースを作りました。萩原さんは、この部屋に入って瑞穂の人物像が見えたと言っていました。

尾崎:本作は、特に映像が美しかったと思いますが......。
宇賀那:今まで、人物をカッコ良く撮ろうと思ったことがなかったんですけど、今回は初めて思いました。夢を目指している彼女たちの美しさみたいなものを、中身もそうなんですけど、映像としても美しく切り取りたいなと思いました。撮影から照明、衣装から美術まで意思統一は出来ていましたので、撮影に入ってからはスムーズに進みました。実際、彼女たちが可愛いですからその要素も大きかったと思います(笑)。

尾崎:本作についての見所をお聞かせください。
宇賀那:勿論たくさんあるのですが、役者の芝居や渋谷、そして美術以外で言うと音ですかね。色々な方に今回の作品は今までの僕の作品にないリアルなものを作ったと言われるんですが、でも僕の中ではある種、一番ファンタジーな作品だなって思っています。今までは、派手な設定の中でどれだけリアリティに落とせるかだったんですけど、今回の設定はリアルだけど、その中でどうテーマを浮き彫りにできるのかなと考えていて、部屋のシーンの工事音などは、普通ありえないくらい大きく入れています。あれほど聞こえたら、欠陥住宅みたいな(笑)。彼女たちが工事音の中、期限付きで引っ越さないといけないということが頭の隅にありながら、ご飯を食べていることが重要だなと。渋谷の街の中にいる彼女たちを出せたらなと思っていたので、恵梨香のギターを弾いているシーンも普通の映画の演奏シーンと比べて雑踏の音をかなり持ち上げています。個人的には、美しく切り取った撮影や照明、衣装、ヘアメイクという要素の最後に音の仕上げで、よりテーマが浮かび上がるようなファンタジーな作品に仕上げられたんじゃないかと思っています。

korogarubidama0124_06.jpg 尾崎:宇賀那さんにとって「ビー玉」とはなんですか?
宇賀那:ローリングストーン、転がる石ころというフレーズが入ったことわざがありますが、_石ころになれるって良いことだと思うんです。オーディションとか受かんなくても気にしないよって言える奴は強いですよね。彼女たちは気にしてしまうんです。且つ、宝石のように分かりやすい評価もアイデンティティもまだ得れていない。でも、だからこそ、石ころにも宝石にもない魅力。光が当たった時に屈折した輝きを見せる。悩み続けているからこその美しさを持った存在が僕にとっての「ビー玉」です。

尾崎:最後にメッセージをお願いします。
宇賀那:この作品を作るきっかけになった、ワークショップを受けていた若い役者たちに「大丈夫だよ」って言ってあげられる映画を作りたかったんです。その_大丈夫とは、いつかは、売れるから大丈夫、好きな監督の作品に出れるから_大丈夫ではなくて、あなたが苦労しているとこ、それでも頑張っていること、それはどんどん自身の魅力になっていって、結果にはすぐには結びつかないかもしれないけど、それを分かってくれる人は絶対にいるんだよって作品で言いたいなって。誰にでもうまくいかないことってあると思うのですが、そんなときにこの作品を観ていただければと思います。是非、劇場へお越しください。


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出演: 吉川愛、萩原みのり、今泉佑唯
笠松将、大野いと、冨手麻妙、大下ヒロト、日南響子、田辺桃子、神尾楓珠、
中島歩、徳永えり、大西信満/山中崇 ほか
監督:宇賀那健一
プロデューサー:戸川貴詞 
共同プロデューサー:小美野昌史
キャスティングプロデューサー:當間咲耶香(SKALY inc,)
脚本:宇賀那健一、加藤法子
音楽:佐藤千亜妃
制作:VANDALISM
主題歌:「転がるビー玉」 作詞/作曲佐藤千亜妃
配給:パルコ
【Twitter】 https://twitter.com/korogarubidama/
【Instagram】 https://www.instagram.com/korogarubidama/
公開: 2020年1月31日(金)ホワイトシネクイントにて先行公開
2月7日(金)より全国順次ロードショー

©『転がるビー玉』製作委員会
 














エンタメ インタビュー/記者会見   記:  2020 / 01 / 24

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